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漢字の原音読み―張競先生に大賛成!

2005年10月07日 23時02分53秒 | Weblog

 日本経済新聞夕刊の「プロムナード」というコラムに、明治大学教授の張競先生が毎週執筆していらっしゃる。10月5日付の「漢字の原音読み」は、表記で私が書いたようなことを、中国人の立場から分析して明らかにしておられる。“我が意を得たり”というのはこのこと!という感じだ。
 「中国の地名や人名は日本語読みのほうがいいと思う」
 「原音で表記されるようになったのは、おそらく韓国の人名表記と関係している。が、中国語圏は朝鮮半島とまったく事情が違う」
 「中国語圏では日本の地名と人名は中国語読み、相互主義でいえば中国の地名や人名を日本語読みにするのが筋」
 「歴史の中で漢字の読み方は大きく変化した。漢字が『音』を伴わないからこそ、時代を超えて共有されている」
 「原音読みだと中国語がわからない人は覚えにくく、日本語は音素が少ないので正しい発音にならない」
 「原音といっても表記されているのは共通語。だが大多数の人はふだん方言で話している。方言で表記してもその地方以外の人には通じない」
 そして最後に「原音読みの裏には英語を介して世界を見るという意識があるのかもしれない。せっかく同じ漢字を使っているから、発音ではなく、文字を優先したいと思う」と書かれている。この結論の表すものはとても深い。

 ところで、文中に「中国人は自分の名前が日本語ふうに呼ばれても、まったく気分を害することはない。それどころか、ほとんどの人が大いに面白がっている。」という記述がある。じゃ日本人はどうだろう? 面白がる人は話のネタに使ったりする(財前という姓の方が、「再見と同じに聞こえる」というネタを別れの挨拶に使っていた。財前[cai2 qian2]、再見[zai4 jian4]、日本人にはどちらも「ツァイチェン」に聞こえる)。一方、嫌がる人は「勝手に変な読み方しないでほしい」と嫌がる。名刺などにローマ字が添えてあれば、それを見てちゃんと発音できるはず、と思うのだろう。(実際は、日本語を学んだことがない人にとってローマ字だけ見て正確に発音するのは難しい。英語式に読むと、Inoueは「アイヌウ」、Dateは「デイト」になってしまう^^;)
 といって、中国では漢字の姓名を見たら中国語読みするのが習慣。どうしても日本語読みしてほしかったら、漢字表記を隠すしかない。でも、普通日本人の姓名は漢字があることは知られているから、漢字表記を示さなかったら中国人は変な人と思うだろう。
 それから、芸能人やスポーツ選手で名前にひらがなやカタカナが使われている人は、たいてい“意訳”して漢字を当てて報道される。「よし子」は「善子」とか、「みゆき」は「美雪」とか。これも本人に使う字について承諾をとっているのかどうか? 「こっちの字にして!」とか、「私の名前はひらがななんだから、漢字を使わないで!」と抗議する人が出ても不思議ではない。今までにそういう人は出てないんだろうか・・・
 ドラマ「おしん」は中国語圏では「阿信」で通っているが、ドラマの中で「『しん』という名前は『信』でも『心』でも『芯』でもある、いろいろな意味があって好き」という主旨の台詞があった。中国語にはどんなふうに訳されたんだろう? 漢字を全部出して、日本語の発音が全部「shin」だと字幕に出したかな?
 ひらがなやカタカナで表記してもらえない以上、自分で好きな漢字を選んで「この字を使って!」というのも楽しいかもしれない。かなの名前の方だけの特権かも?
 なお、文中に「胡錦涛はあくまでも『こきんとう』」とあったが、メディアによっては、胡錦涛(フーチンタオ)のように表記したり、漢字にカタカナでルビをつけたりするところもある。
 

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