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劉浩龍「Singing in the Ring」(香港)

2005年01月16日 17時08分25秒 | CD紹介
 CD紹介第1弾がこのアルバムなのは、単に今お気に入りだから。このブログの目的の一つが、その時々の勝手におすすめCDを紹介するということなので。
  2004年にアルバム「Start Up」でデビューした劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)の2nd。この人はレコード会社と契約してから実際にCDが出るまで、7年かかってしまった。華星(キャピタルレコード)倒産のあおりをくったらしい。新人・若手歌手たちの間ではその下積みの長さ故、「師兄(先輩、兄弟子)」と呼ばれているそうな。それがそのままデビュー曲になってしまった。声だけ聞いていると陳奕迅(イーソン・チャン)にそっくり。歌い方や楽曲もかなり似ている。イーソンが“育児休暇”中でなかったら、すんなり売れなかったのでは・・・鬼のいぬ間のなんとやら。けれども何故か、イーソンとは違う、独自のスタイルをそのうち見せてくれそうな気がする。
 「師兄」はアップテンポでノリのいい曲だったが、アルバム「Start Up」は思ったよりバラード中心。ジャズもどきが入ってて、いっぱいいっぱいで必死に歌ってるのが面白かった。そういうのが歌えてしまうのもイーソンに似てる・・・ と思ってたら、2ndもほぼ似たような雰囲気。でも、この水準のものならいつでも作れると証明してしまった。メインの「斷尾」は渋いバラードで、ライブで巧く歌いこなせたらカッコいいかも。ジャズもどき「奇幻世紀」はかなり本格的に、ピアノにRoel Garciaを引っ張り出している。1stでメイン曲だった「思覺失調」の北京語版「遺失感覺」では、ポルタメンテ(上の音から下の音へ流れるように移る)を自然に使っていて、言語の特性を活かした対応をする能力に感心した。(広東語「思覺失調」では入声の関係であまり使えなかったと思われる。)微妙に発声が広東語を歌う時と違うのも鋭い。
  声そのものはあまり個性がなく、環球10周年演唱會で大勢といっしょに歌っていると、どこにいるやら全然わからなかった。それでも気持ちいいのは、GoEast(正東)というレーベルの、この時期の音作りが、私の好みに合ってるってことかな、と思う。(ある時期のあるレーベルの音がなんか好き、っていうことありません? 一時期ファンハウスの音が妙に好きだったんだけど)パッケージが入れ子構造になっていて、CDにたどりつくまで大変なのだった。香港ってこういうところに凝るのが好きなのよね~。
Singing in the ring @YesAsia.com
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2 コメント

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解説 (HO太)
2005-05-13 23:13:01
陳奕迅(イーソン・チャン):

香港の歌手。96年にデビュー。留学中に声楽も学んだ、若手の実力派としてヒット曲多数。映画にも数多く出演している。昨年、恋人の女優徐濠縈(ヒラリー・ツイ)との間に女の子が生まれた。

入声:

広東語の発音の一種。音節の最後にp、t、kの口の形になる(実際には音はほとんど出ない)。日本人には、普通の母音に日本語の小さい「っ」を加えたように聞こえるが、同じではない。北京語にはない音で、広東語の特徴の一つだと思う。

環球:

レコードレーベル、Universalのこと。以前はPolygram(寶麗金)だった。傘下に新藝寶(Cinepoly)、正東(GoEast)を持つ。

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解説2 (HO太)
2005-05-18 00:58:05
Roel Garcia:

香港で活躍するミュージシャン。ジャズピアニストとしてライブ活動のかたわら、ポップスの作編曲、映画音楽を手がける。95年「天使の涙(堕落天使)」で香港電影金像奨の最佳原創配樂奨を、陳勲奇と共に受賞。
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