第87回全日本フィギュアスケート選手権(2018)、男子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
中野耀司 東6 SP:61.77(19) FS:102.77(23) 合計:164.54(22)
サンタナ・メドレー♪ 振付はコーチの駒場幸大。黒の赤の炎のような模様。エレキの音に乗って、トリプルアクセルに挑みステップアウト。2回転になったジャンプもあったが、アクセル・オイラー・サルコウ2-1-3頑張った。
「疾走感があった」と解説・小塚崇彦さん。
唐川常人 東1 SP:56.05(23) FS:106.97(21) 合計:163.02(23)
映画「ラ・ラ・ランド」より「A Lonely Night」♪ 振付は佐藤久美子。ターコイズブルー。佐藤チームの選手だけあって、一歩目からきれいな滑り。ジャンプを跳ぶときの締め方が、肘を高く上げるのが特徴。最後のキャメルスピンで速度が落ちてしまった。
中野紘輔 西11 SP:55.84(24) FS:94.48(24) 合計:150.32(24)
「マラゲーニャ」♪ 振付は横谷花絵。黒に赤のサッシュ。ルッツ・トウ3-3で手をつき、トリプルアクセル転倒。3回転フリップ、後半の3回転ルッツはきれいに入る。ループを跳ぼうとして転倒したのが痛そう でもその後でループ・トウ3-1を跳んだのは偉い
フラメンコのリズムをきっちり取りながらのステップは、なかなか盛り上がった。
笹原景一朗 西6 SP:60.94(20) FS:116.98(18) 合計:177.92(18)
「Salvation」♪ 振付は吉野晃平。白とワインカラー。今季限りで引退の予定。高さのある3回転ルッツ、サルコウ・オイラー・サルコウ3-1-2など。フリップは2回転になったが、最後のダブルアクセルまで転倒はなし。
ジャッジ席に笑顔を向けながら、一歩ごとに伸びていくステップ。大きく一周するようなコレオ、イーグルが気持ちよさそう。そこにいることを心から愛おしむような滑りだった
小林建斗 東4 SP:59.76(22) FS:113.77(19) 合計:173.53(19)
レオンカヴァッロ「道化師」♪ 振付は服部瑛貴。白、襟にフリル。得意の3回転フリップ決まるが、ルッツはシングルに。3回転サルコウはイーグルに繋げる工夫も。トウ・トウ3-2のセカンドで両手を上げ、サルコウ・オイラー・サルコウ3-1-2も決まった。
ステップは「Send In Clowns」のピアノのメロディでしっとりと演じ、コレオは長いイナバウアーで表現。スケーティングもなかなかきれい。
山田耕新 西10 SP:60.13(21) FS:110.92(20) 合計:171.05(20)
映画「ゴッドファーザー」♪ 振付はキャシー・リード。黒シャツに紫スカーフ。トリプルアクセル挑んだが転倒。しかし引きずらず、ルッツ・トウ3-3、サルコウ・トウ3-2などジャンプ頑張った。
手や腕の表情、顔の向きやターンの時の首の使い方など、キャシー・リードに鍛えられた表現が生きる。ステップは映画のセリフが聞こえてきそうな軽やかさ。
終わった瞬間の笑顔 キス&クライには中庭健介と田村岳斗
<G2>
三宅星南 J6 SP:64.16(17) FS:120.99(16) 合計:185.15(17)
「レ・ミゼラブル」♪ 振付は荒屋真理&吉野晃平。白シャツに赤と金のベスト。いきなり4回転サルコウ トリプルアクセル2本 ループが1回転になったり回転不足もあったが、この挑戦は素晴らしい。
「民衆の歌」で手拍子に後押しされながら、しっかり力をスケートに伝えていくステップ。
島田高志郎と同じく、急に伸びてしまった身長と持て余している感があるが、この体を生かし切る体力がついたとき、どんなプログラムができるか。可能性が見えてきた。
キス&クライには長光歌子さん本田武史さん吉野晃平さんと豪華なコーチ陣。
鈴木潤 東3 SP:69.18(13) FS:129.09(15) 合計:198.27(15)
ビートルズ・メドレー♪ 振付は佐藤有香&ジェレミー・アボット。柄シャツに黒タイ。トリプルアクセル2本入った ルッツが1回転になった以外大きなミスなく、後半アクセル・オイラー・サルコウ2-1-3も入った。
コレオはけっこうポップに踊ってて、こんなに踊れるとは 「Let It Be」でのステップもいい感じに乗れていた。
大学院に進んで現役継続だそうで、来季も見られそうで嬉しい
佐藤洸彬 東2 SP:62.30(18) FS:137.04(12) 合計:199.34(13)
ショスタコーヴィチ「交響曲第5番(革命)」♪ 振付は佐藤操。赤から黒。4回転トウループ決まった スケーティングがダイナミックで力強くなって、スピードが最後まで落ちなかった。来季につながりそう。
佐藤駿 J2 SP:64.89(16) FS:140.06(9) 合計:204.95(12)
「マラゲーニャ」♪ 振付は佐藤操。黒系。4回転トウループ挑んで転倒 しかし、ここからが凄い。トウ・トウ4-2、トリプルアクセル+3回転トウループ、単独トリプルアクセル、後半フリップ・オイラー・サルコウ3-1-3、跳びまくる
カスタネットが盛り上げる曲で丁寧にスピン、ステップをこなす。コレオとか、フィニッシュ前のスピン後の見せ方とか、表現の細かいところは少し詰めていきたい。
渡邊純也 西9 SP:64.93(15) FS:105.95(22) 合計:170.88(21)
「ロミオとジュリエット」♪ 振付は吉野晃平。白に花と黒金ライン。ルッツ、フリップ、サルコウ・トウ3-2など。フライングシットスピンでちょっとトラベリングが
長い脚をピンと伸ばしたキャメルスピンがきれい。キス&クライではクレヨンしんちゃんのティッシュケースで遊ぶ
櫛田一樹 西7 SP:65.31(14) FS:119.85(17) 合計:185.16(16)
「GOEMON」♪ 振付は岩本英嗣。ベージュにワイン系と茶のベスト。最初のアクセル、トリプル予定だったのが2回転で下りてしまった。終盤のアクセルもシングルに。しかしルッツ・トウ3-3やループ・トウ3-2は決まった。
太鼓の音にのるステップ、しっかりターンを見せながらスピードを保っていていい。足の怪我があってジャンプの練習に制限があるそうだが、その中でよく頑張った。
<G3>
日野龍樹 西8 SP:69.63(12) FS:129.35(14) 合計:198.98(14)
プッチーニ「ラ・ボエーム」♪ 振付は宮本賢二。紫タートルに黒ジャケ。最初にトリプルアクセル+3回転トウループをきれいに決める。その後も多少ミスがあってもまとめ、最後のジャンプは2回転トウループに頑張って3回転トウループをつけた。
足に痛みがあって跳べない種類のジャンプがあるそうだが、今日はルッツも入れてきたのは気持ちの強さ。
山本草太 SP:71.95(10) FS:140.74(8) 合計:212.69(9)
「信長協奏曲」♪ 振付は宮本賢二。ブルーの着物風。ジャッジに背中を向けて立ち、きっと振り返って滑り出す。4回転トウループ、決まった トリプルアクセルこらえて1回転トウループをつける。次のアクセルが1回転になったが、ルッツ・トウ3-3や単独フリップがきれいに入る。ラスト3回転ループで転倒が惜しい
スピードを保ちながらしっかりコントロールできているステップ、雄大にリンクを縦断するコレオ。SPではスピンで最も点を稼いだそうで、安定している。
壷井達也 J1 SP:69.95(11) FS:144.92(5) 合計:214.87(7)
ドボルザーク「交響曲第9番(新世界より)」♪ 振付は本郷裕子。ブルーにストーンたくさん。最初のトリプルアクセルこと転倒したが、すぐ2本目を2回転トウループ付きで成功させる。フリップ、ループ、ルッツ、ループ・トウ3-3など全てのジャンプに抜群の安定感。
この選手のアクセルは、下から振り上げるというより横からぐるんと回す感じで、ちょっとトゥクタミシェワ選手のアクセルに似てる。
スケーティングもよく伸びていて、全体に穴がない。オールラウンドに伸びていきそう
山隈太一郎 西4 SP:72.73(9) FS:139.50(10) 合計:212.23(10)
映画「ラ・ラ・ランド」♪ 振付は宮本賢二。ブルーシャツに黒タイ、黄色のポケットチーフ。グルーブ感たっぷりの曲から軽妙な動きで滑り出し、トリプルアクセル+2回転トウループを決める ルッツ・トウ3-3も膝を深く使って着氷。2本目のトリプルアクセル、手をついただけで済むかと思ったらこらえきれず転倒 だがその後のジャンプを全部決める。
スローパートのステップ、スピン中にアップテンポに変わると手拍子、はっちゃけるコレオで踊りまくった。本領発揮
友野一希 SP:73.09(7) FS:154.37(3) 合計:227.46(4)
「リバーダンス」♪ 振付は佐藤操。緑系。大きく腕を広げながら滑り出し、サルコウ・トウ4-2決まった 2本目の4回転サルコウ転倒。アクセル・オイラー・サルコウ3-1-3入った 2本目のトリプルアクセルでステップアウト、フリップ・トウ3-3こらえる。
ジャンプは完璧とはいかなかったが、一つ一つの身のこなし、手を差し出す所作一つにも意味を込める。激しいステップや気持ちのこもったコレオに、会場が一体になった。
キス&クライではミーシャ・ジーも微笑んで
木科雄登 J4 SP:72.96(8) FS:141.39(7) 合計:214.35(8)
映画「アンタッチャブル」♪ 振付はキャシー・リード。グレー系。トリプルアクセルをびしっと決め、2本目こそ転倒したが、その後のジャンプはアクセル・オイラー・サルコウ3-1-3など余裕がある。最後のループをコンビネーションにする冷静さも。
スケーティングや身のこなしが柔らかく滑らかになって、ずいぶん成熟した。やっぱりキャシー・リードが鍛えると違う
<G4>
田中刑事 SP:79.32(4) FS:157.13(2) 合計:236.45(3)
ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」🎵 振付はマッシモ・スカリ。ベージュに黒系ベスト。冒頭のサルコウ・トウ4-2、鮮やか 2本目のサルコウはダブルになったが、トリプルアクセルで手をついてもこらえてトウ・ループ2-2をつける。後半フリップにつけた2回転トウループが3つ目で無効になってしまったが、決まったジャンプはどれも余裕があってよかった。
わくわくさせる曲調のコレオはきびきびと会場を沸かせる。無理に力を入れなくても一歩が伸びるので、表現が大きくできるのが強み。
鍵山優真 J5 SP:74.51(6) FS:141.85(6) 合計:216.36(6)
「龍馬伝」♪ 振付は佐藤操。黒にシルバー。膝を柔らかく使ってアクセル・トウ3-2を決め、2本目のトリプルアクセルに挑戦してステップアウト。後半になってもスピードが落ちず、ルッツやアクセル・オイラー・サルコウ2-1-3を決めた。
しっかり緩急をつけたステップは大人顔負け、スケーティングもこれからぐんぐん伸びていきそう。楽しみ
中村優 西2 SP:77.11(5) FS:134.58(13) 合計:211.69(11)
チャイコフスキー「幻想序曲・ロメオとジュリエット」♪ 振付はジェフリー・バトル。黒にブルー。優雅で品のある滑り。トリプルアクセル、1本目は軽くステップアウト。2本目はトウループをつけようとして転倒 その後は大きなミスなし。
リンクを大きく使ったコレオからそのままステップに入っていくクライマックス、なかなか魅せた。スピンはちょっとトラベリングしちゃった
宇野昌磨 SP:102..06(1) FS:187.04(1) 合計:289.10(1)
ベートーヴェン「月光」♪ 振付は樋口美穂子。ブルーグレー。足の状態は心配されていたが、、、4回転フリップ頑張り、次は3回転サルコウに。4回転トウループはステップアウトしたが、次をトウ・トウ4-2で決めた トリプルアクセル単独、アクセル・オイラー・フリップ3-1-3も
コンビネーションが2つになってしまったが、できることをしっかりやり切る。ただイーグルしてるだけのようでいて、それこそ曲を象徴するコレオも高得点。ステップも丁寧に美しいエッジ遣いを見せてレベル4。王者と呼ぶに相応しいプログラム
高橋大輔 西1 SP:88.52(2) FS:151.10(4) 合計:239.62(2)
「Pale Green Ghosts」♪ 振付はブノワ・リショー。黒系。「スタート位置についたときに4回転を入れるかどうか決める」と言ってたが、、、4回転トウループの軌道に入ったが3回転トウループになった。トリプルアクセル+2回転トウループ、見事。2本目のトリプルアクセルもしっかり下りる。ルッツ・オイラー・サルコウ3-1-3で転倒、次のループが2回転に、最後のフリップはステップアウト。終盤は少し体力が厳しかったか。
ステップの美しさ、コレオシークエンスの複雑な動きの芸術性。One and Only。
島田高志郎 J3 SP:80.46(3) FS:139.32(11) 合計:219.78(5)
「ブエノスアイレスの冬」♪ 振付はステファン・ランビエール。黒、左胸に赤い花。4回転トウループに挑んだが2回転に、4回転サルコウも2回転に トリプルアクセルはしっかり、ルッツ・オイラー・サルコウ3-1-3も頑張った。
手や首の動きを音にはめながら、精一杯タンゴを表現していく。さらにこの作品を仕上げていってほしい。
結果、優勝は宇野昌磨で3連覇、2位高橋大輔、3位田中刑事。友野一希が4位。5位島田高志郎、6位鍵山雄真、7位壷井達也、8位木科雄登とジュニア勢が大健闘。9位山本草太、10位山隈太一朗。
どの選手も気持ちの入った演技をしてくれた