マジカル・ミスってるツアー

MMT社
猫と水どうとするめイカ面達との非常識の中の常識的日常

Drop・その4

2008-04-09 09:05:26 | 小林賢太郎・(有)大吟醸
「おめぇさん、大きくなったら何になりてぇんだ?」

「ひ」と「し」がうまく発音できないその人は、ボクにそう尋ねた。

「うーーーんとねえ。自転車かカウンタックかジェット機」

「ほーーーー。ずいぶんと、かてい(固い)モノばかりじゃねえか。そりゃあ、ボウズ、ちーーーとばかり修行しなきゃならねえなあ」

「えーーー。いっぱい修行すれば、叶うの?」

「おーーー。叶うとも。まあ、柔らかいモノなら直ぐにでもなれるがなあ~」

「えーーー?何々?」

「プリン・ババロア・ゼリー・ムース・はんぺん・・・」

「食べ物ばかりじゃん!」

「絹ごしの方が木綿よりなりやすいし、ちくわぶよりちくわの方がなりやすい」

「ボクは、固いモノになりたいです」

「よーーし!!分かった!!それじゃあ、このドロップを一つやるよ」

そう言って、この世のモノとは思えない色のドロップをくれた。

「いいか、そのドロップが口の中で全て溶けるまで修行を続ける。溶けたあかつきには、お前の願いが叶う」

「うん・・・・。あっ!!固い!!」

「噛み砕いて食おうなんてしてもダメだ。飲み込んでもしゃっくりで口の中に戻ってくるぞ」

「わかったよ。で、修行は、何をするの?」

「おう!!他人の願いを3つ叶えてやる事だ。そんなに難しい事じゃねえ。家に帰りてぇとか、元の場所に戻りてぇとか、しゃべりてぇとかそんな処だ」

「ふーーーん。簡単な願いだね」

「でも、きっちり3つ叶えてやるんだぞ。いいか、おめえは、今日からポツネンドロップ缶魔法使い2世だ」




「と、言う事で、ボクは思春期魔法使いになり修行歴蒸しパン年目です・・・ってボクの話はいいから、早く3つの願いを言って下さい」

「しとつの願いをしゃっぺんにするっ!!」

「・・・・あのさあ、ボクの知ってる、江戸っ子さんじゃないよね?」

「・・・・・・」
コメント (1)
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