ヒュースタ日誌

相談機関「ヒューマン・スタジオ」の活動情報、ホームページ情報(新規書き込み・更新)を掲載しています。

2012年度の業務終了のお知らせ

2013年03月29日 13時12分21秒 | 運営
 一時的な寒の戻りはあったものの、再び暖かな日差しに包まれている神奈川県東部です。

 さて、当スタジオは明日を臨時休業と、原則休業日にあたる本日の業務を午後1時までと、それぞれさせていただいている関係で、今年度の業務が終了いたしました。

 今年度は自他共に認める看板業務であるメールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』が創刊10周年を迎え、多くの方にあらためておほめいただいたほか、記念企画のひとつとして実施している当ブログにおける「コラム再録」にも多くの方にご注目いただいております。

 来年度は創刊200号を迎えるほか、地元を中心とした個人・団体と協力して新団体を設立し、新しい生き方を提案・提供していく元年となります。どうぞ倍旧のご支援ご参画を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、来年度は業務日を変更させていただく関係で、最初の業務日が4月2日(火)となります。詳細はその日にお知らせいたしますのでご了承ください。

 では、2013年度も当スタジオをよろしくお願い申し上げます。
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「第19回青少年支援セミナー」2日目の報告

2013年03月28日 11時06分19秒 | ホーププロジェクト
 当スタジオ伝統の標記イベント。今回は横浜・桜木町の紅葉坂を舞台に「講座」と「シンポジウム」の2日間の日程を消化しました。

 きょうは2日目の報告です。

 前日だけの1日参加の申し込みだったのを両日参加に変更された方や当日申し込みの方を含め、この日の参加者は想定内の35名でした。

 会場にはパネラーに関連する資料を閲覧または入手できる「資料コーナー」と、今回の趣旨に関連する団体の案内資料を入手するだけでなく代表者に質問もできる「団体紹介コーナー」が配置され、支援などの情報入手にも役立つレイアウトとしました。

 最初のプログラムは、毎回恒例の代表講演。講師の丸山は、去年のノーベル賞や先日のワールドベースボールクラシックの話題に絡めて「異能」という用語をなぞらえた造語「異生」という言葉をキーワードに、各界の「異能の人」の生き方が不登校・ひきこもりからの生き方の参考になることを説明しました。

 まず、数年前のノーベル賞受賞者と二十世紀梨を初めて栽培した人の、人が無視することに着目して成功した生き方から、人が無視することにこだわる不登校・ひきこもりの人々が豊かな人生を送れる可能性を主張。

 続いて、プロ野球のイチローこと鈴木一朗選手のバッティングフォームの変遷から、不登校・ひきこもり状態のままでできること、やりたいことを実行することを「自律力を発揮する」と表現し、それを積み重ねて初めてその先の広い世界に適応できる(=適応力が発揮できる)ようになるのであって、一般的な支援は最初から適応力を発揮させようとするからうまくいかないのだ、と主張しました。

 次のプログラムは、前回初めて採用して好評を博した、(元)当事者4名によるパネルトーク。
 今回は「当事者トーク」と銘打ち、タイプの違う各人の生き方を中心に語るスタイルとするため、前半を「体験トーク」として「不登校編」「ひきこもり編」に分かれてふたりずつ語り、後半を「今後トーク」として全員で支援や社会の課題、そして自らの将来像を語り合いました。

 4人全員で支援団体批判や社会批判を含め縦横に語り合って盛り上がった前回と比べると面白味に欠けた一方、社会ががいかにかつてと変貌しているか、自分の生き方を将来にわたって貫くことがいかに難しいか、など現実的な発言が多く、当事者が置かれた困難な状況が浮き彫りになった、地に足の着いた内容のトークとなりました。

 さらに、最後には3団体の代表者による自己紹介「関係団体紹介」を通じて状況打開を模索する動きが始まっていることも伝えられ、理想論にも悲観論にも偏らないありのままの現在を理解する1日になったのではないかと思われます。

 2日間ご参加いただいた延べ64人の参加者の皆様、講師・パネリスト・関係団体の皆様の多大なるご協力に、心からお礼申し上げます。

 次回は1年後の来年3月を予定しております。当スタジオ単独開催だった今回までの19回の反省を踏まえ、他団体との共催などさらなる発展をめざして再検討していきます。どうぞお楽しみにお待ちください。


※「団体紹介コーナー」参加団体(☆印は最後の「関係団体紹介」で自己紹介)

NPO法人「コス援護会」

NPO法人「アート・ビーンズ・ファクトリー」

☆一般社団法人「COYOTE」

☆当事者会「STEP」

☆支援団体「湘南ユースファクトリー」(新年度に団体として正式に設立予定のため公式サイトなし)
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コラム再録延長(5)『ハードランディングとソフトランディング』

2013年03月27日 16時59分34秒 | メルマガ再録
 ここ2回の本欄をお読みになって「自分(の子)の場合とはぜんぜん違う」「そこまで落ちないと不登校やひきこもりは終わらないのか?」などと違和感を感じた方が少なくないと思います。
 そこで最後に、私のようなケースとそうでないケースを、比喩を用いて比較してみましょう。

 飛行機の着陸の仕方で「ハードランディング」と「ソフトランディング」という用語をご存じだと思います。前者は強行着陸=減速せずに激突して着陸すること、後者は軟着陸=減速しながらふわりと着陸すること、ですね。

 ご存じのとおり、このふたつの用語は、いろいろな分野で比喩として使われますが、私は、不登校やひきこもりの“終わり方”にも使えると思っています。

 すなわち、私のように<底つき>までいったことで楽になる、という“終わり方”は「ハードランディング」と表現できます。
 「<学校復帰、社会復帰しなければならない>というこだわりがとれないまま、文字どおり走り続け、壁に激突してようやく止まった(=葛藤を抱えたまま生き続け、ついにはその生き方が破綻した)」というイメージです。

 それに対し<底つき>までいく前に、徐々にこだわりがとれ、楽になってきた、という“終わり方”は「ソフトランディング」と表現できます。
 「前記のようなこだわりが徐々にとれ、走る速度が落ちてきて、壁の前に立ち止まった(=葛藤がうすれていき、新しい生き方を探せるようになり、ついにはそれが見つかった)」というイメージです。

 そこで、このふたつの終わり方を比較すると、本人にとって、より楽なほうは「ソフトランディング」でしょう。
 つまり本人の葛藤が早く収まれば、暴力や神経症的症状などの二次症状と呼ばれる行動も、あまり続かないか起こらないですみます。
 さらに、早く心理的安定を取り戻せば、自分で家庭の外に居場所を探してそこに通えるようにもなります。

 近年、フリースペースやスリースクールなど、学校や一般社会以外に居場所や学びの場が増えていくにつれ、私のような「ハード~」が減っていき「ソフト~」が増えているようです。
 この事実は、彼らの選択肢が増えれば、彼らから無用の苦しみが取り除かれ、人とのつながりが回復しやすくなることを示しています。

 ただ、ここで注意しなければならないことがあります。
 それは<学校復帰、社会復帰しなければならない>というこだわりがとれないままで、学校や社会に復帰する青少年がいることです。

 すなわち、不登校やひきこもりは、一般に「学校に行くべき」「就職すべき」という規範意識と「学校に行きたくない」「就職したくない」という本音とが拮抗していて、わずかに後者が勝っている状態です。ということは、前述のこだわりを抱えたまま、学校や社会に復帰する青少年の場合「規範意識が本音に勝った」と言うことができます。

 見かけ上は、このような終わり方も「ソフトランディング」です。そしてこれは、学校や社会にとっては、とても望ましいことでしょう。しかし本人にとっては、必ずしもそうとは限りません。なぜなら、終わり方に無理があるからです。本人が無理しているからです。

 これまで繰り返し述べているように、無理なプロセスは、あとでもっと深刻な事態を引き起こす可能性をはらんでいます。
 実際、ひきこもりや神経症に悩む青年のなかに「子どもの頃、不登校になりそうだったけど我慢して学校に生き続けていた」という人がいるのです。

 規範の大切さにとらわれて、無理して見かけ上の「ソフト~」を演じるくらいなら、苦しみ抜いた末、規範より大切なことに気づく「ハード~」のほうが、得るものははるかに大きいです。
 もっともこれは、不登校とひきこもりの終わり方が「ハード~」だった私だから言えることかもしれません。

 確かに私は、相談を受けるにあたって「早く終わらせるべきだ」ではなく「どんなに苦しんでも大丈夫、必ず終わる」という前提に立ちます。
 本人の苦しみを無理に除去することより、苦しんでいる本人の支えになる対応を重視しているわけです。
 不登校とひきこもりの“終わらせ方”はなく、終わらせることができるのは、当の本人以外にいないからです。

 ただし私は「ハード~」を勧めているわけではありません。「最悪、ハード~でも大丈夫」ということなのであって、もちろん「ソフト~」に越したことはありません。要は、不登校とひきこもりの終わり方は、どちらでもいいのです。

 なぜなら「ハード~」「ソフト~」のどちらの終わり方も、前号で述べたプロセス──「常識」とか「あるべき自分」といった“つくられたもの”ではなく「自分の命」という“もともとあったもの”を基準に、物事を感じ、行動に反映させるようになる──であることに違いはないからです。その最中に現れた葛藤が、強いか弱いか、葛藤が長く続くか短く終わるか、という違いに過ぎないからです。


2005.03.16 [No.97]


『不登校・ひきこもりの“終わり”へ 〔中〕「命」という出発点に立ち返る』を読む
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コラム再録延長(5)掲載のお知らせ

2013年03月27日 16時42分14秒 | メルマガ再録
 去年10月から3か月間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』の創刊10周年を記念して本欄で実施していた「コラム再録」を3か月間延長のうえ、半分の頻度で実施する「コラム再録延長」も、いよいよ最終回を迎えました。


 きょう転載するのは『不登校・ひきこもりの“終わり”へ 〔下〕ハードランディングとソフトランディング』。この3回シリーズの第1回『〔上〕心は不死鳥』を去年12月に転載した際、末尾に〔中〕のリンクを貼っておきましたので、続けてお読みになった方もいらっしゃるかと思いますが、あえてきょう転載するのは、不登校やひきこもりが終結するときの様相とその意味を伝えるものとして、7年以上経った今でも高く評価していただいているからです。

 特にタイトルの「ハードランディングとソフトランディング」というたとえ言葉は、筆者の周りの当事者や親御さんや研究者の方々によく引用されています。

 不登校やひきこもりがどのような感じで終わるのか、そして無理のない終わらせ方はどういうものなのか、対応や支援を考える参考にしていただければ幸いです。



 では、遅くなりましたがこのあと掲載します。
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「第19回青少年支援セミナー」1日目の報告

2013年03月25日 13時02分15秒 | ホーププロジェクト
 当スタジオ伝統の標記イベント。今回は横浜・桜木町の紅葉坂を舞台に「講座」と「シンポジウム」の2日間の日程を消化しました。

 まずは1日目の報告です。

 前回同様可動式のパーテーション(仕切り壁)で仕切られたひと部屋だけで行う予定だった1日目の「講座」。ところが事前申込期間中に定員を大幅に超過する初めての状況に、パーテーションを外して広さを2倍にして対応しましたが、当日申込の方を合わせて29名と、定員のほぼ2倍にふくれあがり、スタッフは右往左往でした。

 講座1『当事者はなぜ支援を拒むのか~支援思考と生活思考~』の冒頭、講師の丸山がこの日のテーマ「不登校・ひきこもりの支援再考」に関連して、かつてのセミナーでは毎回支援をテーマにして支援関係者・団体に出演してもらっていたが、実際には多くの当事者が支援を受けられないという状況について考える必要を感じ、前回から当事者の視点を発信するという路線に変更したことを説明しました。

 続いて「当事者の心理」「支援の目的」「当事者に向けられる言葉」の3点について、それぞれのどこに支援を受けにくくさせる要因があるのかを、レジュメの空欄に言葉や数字を記入する作業をはさみながら明らかにし、最後の15分間で質疑応答を行いました。

 とりわけ、支援者だけでなく親御さんまで<支援思考>の立場で本人を見てしまうのではなく<生活思考>で見ることの重要性については、多くの親御さんがふたつの意味を理解し、わが子への接し方を振り返ってお考えいただけたようでした。

 講座2『ひきこもり支援への疑問~当事者の「声」を聴く難しさ~』では、講師の石川良子氏が豊富なインタビュー経験のなかからいくつかのエピソードを取り上げ、当事者と周囲とのコミュニケーションの難しさや当事者が自分のことを語れないことの原因は、往々にして「話す側の当事者」ではなく「聴く側の周囲」であることを、ある当事者へのインタビューをホワイトボードに記載して説明するなどしながら明らかにしました。

 そのため「当事者が求める支援メニューが考案されない」「体験談を語っていて反応が悪かった話は以後できない」「聞き手に話を合わせてしまう」などの悪影響が生じるとし「当人の意思に沿って支援が行われているかのように見えてしまう」などの現象をうのみにすることの危険性など多くの重要な指摘がありました。

 そのあとは聞き手をつとめる丸山との対談に移り、丸山が自分が出会った親御さんとのやりとりにも共通する場面があったことを語ったり、受講者から質問やお悩みなどをお話しいただきながら時間が過ぎていきました。

 ところで、このセミナーや親の会など当スタジオの集まりでは父親の方の比率がおしなべて高く、この日も受講者の多くを占める親御さんのうち3分の1以上が父親の方でした。そこで「父親の方が多いでしょう」「驚いている」という会話で講座2が終了しました。

 「少人数制の講座」として企画された1日目がこれだけの参加者を集めたのは「支援再考」というこの日のテーマに多くの方が惹かれたからではないかと考えられます。不登校・ひきこもりの支援は当事者になかなか利用されず、曲がり角に来ているのではないでしょうか。当事者の側に立って支援の理念や方法を再検討することが求められていると実感した今回の1日目でした。


「第19回青少年支援セミナー」1日目の要項を振り返る
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「第19回青少年支援セミナー」2日目の事前申し込み締め切り

2013年03月21日 19時43分32秒 | ホーププロジェクト
 本日午後4時、標記イベント2日目の事前申込期間が終わりました。これ以前にお問い合わせくださった方を除き、以後事前申込は締め切りとさせていただきます。

 おかげさまでこちらにもセミナー史上最多の事前申し込みをいただき、期間終了時点で、定員40名に対し残席数は14です。これが当日参加枠になりますが、セミナーは事前申込制であっても当日参加者の多いイベントですので、今回は定員オーバーとなってしまう可能性が考えられます。

 そこで、座席を増やすことができない会場のため、やむを得ず定員を厳格に守らせていただくことがあります。あらかじめご承知おきのうえご来場くださいますようお願いいたします。

 なお、当日は冷たい雨が降ると予報されています。どうぞ暖かい服装でお越しください。また、会場の横浜市教育会館へ徒歩で来られる方は、桜木町駅からより京急線日ノ出町駅からのほうが高低差が少なく楽ですので、最適なルートをご判断ください。

 講師・パネラー・スタッフ一同、皆様のお越しを心からお待ちしております。
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「第19回青少年支援セミナー」1日目の事前申し込み締め切り

2013年03月20日 16時06分45秒 | ホーププロジェクト
 本日午後4時、標記イベント1日目の事前申込期間が終わりました。これ以前にお問い合わせくださった方を除き、以後事前申込は締め切りとさせていただきます。

 そこで、これまでの回でしたら「当日会場で受け付け」となるのですが、今週に入って次々にお申し込みが来て、事前申込期間中に満席になるという、これまでの18回にはなかった史上初めての事態に直面したばかりか、すでに定員を超過しています。当日は座席を増やして対応できますが、当日にお申し込みいただくことは難しい状況です。

 つきましては、不登校・ひきこもりの当事者の親御さんは、よろしければセミナーではなく4月13日(土)に開催する親の会「しゃべるの会」のほうにお申し込みをいただければ幸いです。ご検討いただける方は、告知ページをご覧いただくとともに下記宛てメールにて案内チラシをご請求ください。

husta@@nifty.com(@をひとつにして送信ください)

「しゃべるの会」告知ページを見る

 なお、当事者の親御さん以外の方、あるいは当事者の親御さんでも「どうしても『支援再考』の話が聴きたい!」という方は、事前にお問い合わせください。

 これほど多数の方にお申し込みいただけるとは予想しておらず、ご迷惑をおかけすることになりましたこと、また勝手を申すことをお詫び申し上げます。不登校・ひきこもりの「支援」をめぐる現状と問題点について、関心の高さを感じさせる事前申し込み状況でした。

 会場スタッフならびに講師一同、当日は皆様のご期待に沿えるよう進行しますので、よろしくお願いいたします。
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「第19回青少年支援セミナー」2日目のご案内

2013年03月20日 12時41分16秒 | ホーププロジェクト
 4週間前に発表した2012年度の標記イベント。いよいよ開幕まであと3日となりました。

 広報の浸透にともない今週に入って続々と事前申し込みをいただいており、おかげさまで2日目は事前申し込みだけで定員の半数が埋まっています。これは事前申込制の回としてはトップクラスの人数です。

 明日午後4時の〆切を過ぎたあとは当日会場でのお申し込みとなりますが、受付をスムーズに進めるため、可能な方は事前にお申し込みくださいますよう引き続きお願いいたします。

 さて、今回は『不登校・ひきこもりからの生き方を考える』という全体テーマのほかに、初めて各日ごとに小テーマを設定しました。
 講座を開講する1日目は『不登校・ひきこもりの支援再考』と、シンポジウムを実施する2日目は『バリアフリーな生き方を求めて』としています。

 つまり、1日目にこれまでの不登校・ひきこもり支援の考え方とありようを問い直して当事者側から違う考え方あり方を提示し、それを受けて2日目に当事者時代からこんにちまでを生きてきた経験者がその生きた証を示す・・・という構成になっているわけです。

 そのうち、きょうは2日目の詳しい趣旨と内容と担当者をご紹介します。1日目は2週間前の本欄に書き込んでありますので、そちらをご覧ください。

          ●

 2週間前に書き込んだように、不登校・ひきこもりの当事者を支援から遠ざけているものは、当事者の“人生という道”の先に用意されている<支援>が、当事者によっては<障壁(バリア)>になっている、と丸山は考えるようになりました。

*ある時期を過ぎたら早く「家庭訪問」や「フリースペース」などの支援の場や人間関係につなげる
*「居場所支援」→「学習支援/人間関係訓練」→「学校復帰支援/就労支援」という“階段”を昇らせる

 現在はこのような考え方が主流となっているわけですが、これらの考え方は当事者にエネルギーが回復していなければ実現しません。

 たとえて言えば、現在の状態から上がるべき“支援の階段”の段差が高すぎて「足が上がらない」のであり「それでも一所懸命足を上げようとしているうちにますますエネルギーが減って上がらなくなっている」あるいは「最初の段に上がったけど次の段に上がろうとしたら足が上がりきらずに転げ落ちて大ケガをしてしまった」などといった状況の当事者が少なくないと考えられるわけです。

 したがって「当事者の“人生という道”の先に“支援の階段”だけではなく“スロープ”を用意しよう」というのがこの日のプログラム第一の趣旨になります。

 この場合の“スロープ”とは「当事者がその状態(学校/社会に出られない状態)のままで歩みを進められるような環境」ということです。
 それは趣味のようなことを入り口にしている支援団体のみならず、支援と無関係に当事者が集まれる場や団体、さらには不登校やひきこもりにかぎらず誰でも参加できる場、そして不登校やひきこもりであることを気にしないで当事者と付き合う人、そういったものが多い環境のことではないでしょうか。

 もちろん、その先が「雇用されて経済的に自立する」だけというのも当事者が楽になれない一因でしょう。したがって「雇用されなくても経済的に自立できなくても生きていける社会を構想しよう」というのがこの日のプログラムの第二の趣旨になります。

 これについては「当事者トーク」と銘打ったパネルトークで、各パネラーから自身の人生観や将来像などとともに具体的な提言が語られることになります。

 以上の2点について、単に論じたり提案したりするだけでなく、実際に新年度からスタートする事業や“スロープ型の団体”を紹介するなど、具体像を示すこともこの日のプログラムの目的です。

 「ひきこもりの高齢化」や「雇用環境の悪化」が叫ばれるなか、当事者や経験者の声はますます重要になっています。前回に引き続き支援や社会の側ではなく当事者の側の視点に立った提言を発信する稀有なイベントです。どうぞご来場ください。


代表講演)『不登校・ひきこもりからの生き方って?~異能の人と異生の人~』

 不登校/ひきこもりという“普通でない道”から“普通の道”に戻るしか生き方の選択肢はなく、その生き方に無理があってもそうするしかないのでしょうか。ここでは、ノーベル賞受賞者やプロ野球選手などからひとりずつ取り上げ、特異な才能の活かし方を参考に不登校/ひきこもりからの無理のない生き方を提言します。

講師:丸山康彦(当スタジオ代表兼相談員)
 高校時代の不登校体験と大学卒業後のひきこもり体験に、相談員としての援助経験を肉づけした“体験的不登校・ひきこもり論”にもとづく支援システムを構築。『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』の執筆・配信は11年目に突入。

当事者トーク)『これが私の生きる道~階段ではなくスロープを造ろう~』

 不登校から学校復帰するかどうか、ひきこもりからどう社会と関わるか、人それぞれでいい。今回は前回と同じパネラーを「不登校組」と「ひきこもり組」に分け、体験を語って共通点とタイプの違いを確認したうえ、全員に共通する「雇用されない生き方」をはじめとする多様な生き方を可能にする支援や社会のあり方を、各自の将来像とともに語り合います。同じ考え方の関係団体の紹介もあります。

パネラー(案内書掲載の比較対照表から「不登校/ひきこもり体験の概略」欄を抜粋)

◎不登校編

学校に戻った人:丸山康彦(開業相談員)=司会進行を兼ねる
 高校入学後半年後くらいから3年半の間、毎年大量に欠席し4回連続留年。完全復帰後の3年間は充実した学校生活をエンジョイして卒業。

学校に行かなかった人:伊藤書佳(編集者)
 中学2年の2学期から微熱が続いて休みがちになり、その後ほとんど行かなくなる。ときどき顔を出すときがあった。

◎ひきこもり編

田舎暮らししたい人:勝山実(ひきこもり名人)
 高校3年から学校に行かなくなり2月に中退。ドロップ・インを試みようと、大検を取り大学受験するも3年連続不合格。果てしないひきこもり生活が続く。

街で生活したい人:林恭子(古書店経営)
 高校2年の春に不登校で休学後退学。通信制高校と大検を経て大学に入学するも再び不登校に。アルバイトを経て20代で2年間完全にひきこもる。


「第19回青少年支援セミナー」2日目の要項を見る
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「第19回青少年支援セミナー」の広報とお申し込みの状況

2013年03月18日 11時16分04秒 | ホーププロジェクト
 メールマガジン『ごかいの部屋』を配信した先週の土曜日に、あわせてイベント告知サイト「こくちーず」に2日目の告知を登録し、2日目あるいは両日のお申し込みはそちらからも可能になりました(1日目のみのお申し込みはできません)。

 ここでは、定員を残席数として表示してありますので、当日にならないと参加の可否が決まらない方や当日会場の受付で申し込みたい方は、こちらを随時チェックしていただければ幸いです。

 各日3日前までの事前申込制となっていますので、可能なかぎり事前のお申し込みをお願いしていますが、きょうの時点では両日とも残席数に余裕があり、余程のことがないかぎり当日のお申し込みが可能と予想されますので、当日ぜひ直接会場にお越しください。


「こくちーず」からの申し込みを検討する


 次に、開催情報を掲載してくださったおもなサイトをご紹介します。

湘南新聞販売発行「ふれあい朝日」ウェブサイト「とことこ湘南」

神奈川県のひきこもり支援サイト「ひき☆スタ」
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『ごかいの部屋』2013年3月号外配信

2013年03月16日 17時03分44秒 | ホーププロジェクト
 偶数月配信の当メルマガは、翌月に公開業務(セミナーや親の会などの集まり)を開催する場合にかぎり奇数月にも号外として配信しており、今月はそれに該当しますので、きょう配信しました。

 翌月の公開業務とは「第13回しゃべるの会」。『ごかいの部屋』の最新号をテキストに、筆者の丸山代表を囲んでご家族どうしで語り合う、当スタジオ独自の親の会です。
 これを「来月のスタジオ」欄でお知らせしています。

 メインの記事「特別企画」は、1週間後に開幕する「第19回青少年支援セミナー」の詳しいご紹介。(1)案内書の別紙(挟み込んである用紙)の表面にも掲載されている「主催者の思い」と、(2)本欄で6日に1日目をご紹介し20日に2日目をご紹介する「プログラムの内容」の2点を、案内書から抜粋して掲載しています。

 そのため真新しい内容ではありませんが、全文を読めば今回のセミナーの全体を知ることができるようまとめたものになっています。それに加え、リンクされている「業務カレンダー」掲載の参加要項と会場案内図(リンク先)をご覧いただければ、案内書を入手されていなくても安心してご参加いただけるものと思います。

 なお、案内書には各講師・パネリストのプロフィールの全文や、パネリストの不登校・ひきこもり体験と将来像などを並べた対照表などが掲載されています。そこで、さらなる詳細をお知りになりたい方は、ぜひ案内書をご請求ください。


【請求方法】
 「セミナー案内書請求」という件名で、ご住所と発信人名(「ヒューマン・スタジオ」でよいか個人名のほうがよいか)をご明記ください。

【請求先】
 husta@@nifty.com(@をひとつにして送信ください)

【申込み】
 請求いただいた案内書には申込書を挟み込んでお送りしますが、事前申し込みが必要な状況(満席間近)ではありませんので、当日に受付を簡単に済ませたい方以外は、事前にお申し込みいただかずに当日直接お越しいただいて大丈夫です。


『ごかいの部屋』3月号外を読む
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