ヒュースタ日誌

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「第19回青少年支援セミナー」1日目の報告

2013年03月25日 13時02分15秒 | ホーププロジェクト
 当スタジオ伝統の標記イベント。今回は横浜・桜木町の紅葉坂を舞台に「講座」と「シンポジウム」の2日間の日程を消化しました。

 まずは1日目の報告です。

 前回同様可動式のパーテーション(仕切り壁)で仕切られたひと部屋だけで行う予定だった1日目の「講座」。ところが事前申込期間中に定員を大幅に超過する初めての状況に、パーテーションを外して広さを2倍にして対応しましたが、当日申込の方を合わせて29名と、定員のほぼ2倍にふくれあがり、スタッフは右往左往でした。

 講座1『当事者はなぜ支援を拒むのか~支援思考と生活思考~』の冒頭、講師の丸山がこの日のテーマ「不登校・ひきこもりの支援再考」に関連して、かつてのセミナーでは毎回支援をテーマにして支援関係者・団体に出演してもらっていたが、実際には多くの当事者が支援を受けられないという状況について考える必要を感じ、前回から当事者の視点を発信するという路線に変更したことを説明しました。

 続いて「当事者の心理」「支援の目的」「当事者に向けられる言葉」の3点について、それぞれのどこに支援を受けにくくさせる要因があるのかを、レジュメの空欄に言葉や数字を記入する作業をはさみながら明らかにし、最後の15分間で質疑応答を行いました。

 とりわけ、支援者だけでなく親御さんまで<支援思考>の立場で本人を見てしまうのではなく<生活思考>で見ることの重要性については、多くの親御さんがふたつの意味を理解し、わが子への接し方を振り返ってお考えいただけたようでした。

 講座2『ひきこもり支援への疑問~当事者の「声」を聴く難しさ~』では、講師の石川良子氏が豊富なインタビュー経験のなかからいくつかのエピソードを取り上げ、当事者と周囲とのコミュニケーションの難しさや当事者が自分のことを語れないことの原因は、往々にして「話す側の当事者」ではなく「聴く側の周囲」であることを、ある当事者へのインタビューをホワイトボードに記載して説明するなどしながら明らかにしました。

 そのため「当事者が求める支援メニューが考案されない」「体験談を語っていて反応が悪かった話は以後できない」「聞き手に話を合わせてしまう」などの悪影響が生じるとし「当人の意思に沿って支援が行われているかのように見えてしまう」などの現象をうのみにすることの危険性など多くの重要な指摘がありました。

 そのあとは聞き手をつとめる丸山との対談に移り、丸山が自分が出会った親御さんとのやりとりにも共通する場面があったことを語ったり、受講者から質問やお悩みなどをお話しいただきながら時間が過ぎていきました。

 ところで、このセミナーや親の会など当スタジオの集まりでは父親の方の比率がおしなべて高く、この日も受講者の多くを占める親御さんのうち3分の1以上が父親の方でした。そこで「父親の方が多いでしょう」「驚いている」という会話で講座2が終了しました。

 「少人数制の講座」として企画された1日目がこれだけの参加者を集めたのは「支援再考」というこの日のテーマに多くの方が惹かれたからではないかと考えられます。不登校・ひきこもりの支援は当事者になかなか利用されず、曲がり角に来ているのではないでしょうか。当事者の側に立って支援の理念や方法を再検討することが求められていると実感した今回の1日目でした。


「第19回青少年支援セミナー」1日目の要項を振り返る
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