SugarCRMとのミーティングがてらサンフランシスコで開催されたオープンソース・ビジネス・カンファレンスに参加してきた。オープンソースの「ビジネス」というところがツボ。オープンソースとビジネスがどのようにつながるのか?という牧歌的な議論さえ先進的とされる日本の状況とは、まったく異質の知的世界が展開されていた。
今回のカンファレンスにあわせる形で、大きなニュースリリースの連発であった。まずは、Microsoft社とSugarCRM社とのアライアンス。あのハロウィーン文書のころのMicrosoftはOSS陣営を先鋭な警戒感のもと敵対視していたが、とうとうオープンソース陣営と融和を図りつつ、SQLサーバビジネスなどのてこ入れという現実的な戦略選択に至ったということか。OracleがSleepyCatを買収したことも会場をざわめかせた。昨年末には、OracleによるSiebel買収が話題になったが、とうとうOracleもビジネスの匂いをオープンソースに正確に嗅ぎつけ、SleepyCatを手中にしたわけだ。
このあたりの動向は、Richard M. Stallmanらによるフリーソフトウェア原理主義的運動から、オープンソース・ソフトウェアのビジネスとの連動を中心とするプラグマティックな現実路線へと展開してきたひとつの大きな節目となる。会場に詰め掛けた誰しもが、この節目を実感していたことだろう。
この節目の意味は、いくつかの補助線を引けばはっきりと分かってくる。
●ソフトウェア・プロダクトの開発体制
雇用した従業員にソフトウェアを開発させる体制はコストを押し上げるのみならず、ソフトウェアにとって生命線ともいえる創造力の発露に限界をきたす。いろいろなスピーカーがOSS Ecosystemというワードを頻繁に使っていたが、OSSの同時並行的、自律分散的なグローバルな開発体制が明らかにアンチテーゼ以上のものに見られている。既存のソフトウェア企業はかつての疑問符つきの見方から、OSS開発体制を驚愕の眼、羨望の眼で見るようになってきている。簡単に言えば自分たちもオープンソースソフトウェア開発コミュニティを持ちたい、ということだ。
●コミュニティの価値
つまり、オープンソース・ソフトウェア・プロダクトの開発体制そのものであるコミュニティの価値が認められつつある。コミュニティの価値というのは市場で期待される経済価値、つまり値段ということになる。既存のクローズドな開発/マーケティング体制に代わり、オープンな開発/マーケティング体制を採用する場合の費用対効果、資産価値はどうやって算出するのか?なるほど、あるパネラー感嘆するように、「コミュニティの形成方法、価値算出なんてどのビジネススクールでも教えていないよ」と言っていたが、今後の極めて重要な研究領域となるだろう。Community Imperativeというセッションでは、暗中模索の状況が浮き彫りになっていた。ただし、模索しながらもとにかくヤルというのは素晴しいことだ。
●ソフトウェア企業のフロンティアとしてのOSS
このようにソフトウェア開発、マーケティングというテーマから見るとき、オープンソース・コミュニティは新しいフロンティアを想起させるにはもはや十分だ。市場ではなく、フロンティア。市場においては、商品やサービスは、それらが提供するソリューションの価値が需給関係において決定されるが、OSSコミュニティの価値を左右しているのは「期待」なんですね。
会場で知り合ったアメリカ人の記者とこんな雑談になった。
「いやー、ソフトウェア産業にとってOSSというのはフロンティアなんですね」
「そうそう、かつてゴールドラッシュのときに、大挙して西部を目指していろんなやつらがやてきたように、今はオープンソースが西部のフロンティアのようなものだね」
OSS企業のエグゼキュティブ、既存のソフトウェア企業、デモ発表者、ベンチャーキャピタリスト、業界アナリストが集う雑踏は混沌としている。そのカオスのなかにこそフロンティアがところ狭しとひしめいているかのようだった。
今回のカンファレンスにあわせる形で、大きなニュースリリースの連発であった。まずは、Microsoft社とSugarCRM社とのアライアンス。あのハロウィーン文書のころのMicrosoftはOSS陣営を先鋭な警戒感のもと敵対視していたが、とうとうオープンソース陣営と融和を図りつつ、SQLサーバビジネスなどのてこ入れという現実的な戦略選択に至ったということか。OracleがSleepyCatを買収したことも会場をざわめかせた。昨年末には、OracleによるSiebel買収が話題になったが、とうとうOracleもビジネスの匂いをオープンソースに正確に嗅ぎつけ、SleepyCatを手中にしたわけだ。
このあたりの動向は、Richard M. Stallmanらによるフリーソフトウェア原理主義的運動から、オープンソース・ソフトウェアのビジネスとの連動を中心とするプラグマティックな現実路線へと展開してきたひとつの大きな節目となる。会場に詰め掛けた誰しもが、この節目を実感していたことだろう。
この節目の意味は、いくつかの補助線を引けばはっきりと分かってくる。
●ソフトウェア・プロダクトの開発体制
雇用した従業員にソフトウェアを開発させる体制はコストを押し上げるのみならず、ソフトウェアにとって生命線ともいえる創造力の発露に限界をきたす。いろいろなスピーカーがOSS Ecosystemというワードを頻繁に使っていたが、OSSの同時並行的、自律分散的なグローバルな開発体制が明らかにアンチテーゼ以上のものに見られている。既存のソフトウェア企業はかつての疑問符つきの見方から、OSS開発体制を驚愕の眼、羨望の眼で見るようになってきている。簡単に言えば自分たちもオープンソースソフトウェア開発コミュニティを持ちたい、ということだ。
●コミュニティの価値
つまり、オープンソース・ソフトウェア・プロダクトの開発体制そのものであるコミュニティの価値が認められつつある。コミュニティの価値というのは市場で期待される経済価値、つまり値段ということになる。既存のクローズドな開発/マーケティング体制に代わり、オープンな開発/マーケティング体制を採用する場合の費用対効果、資産価値はどうやって算出するのか?なるほど、あるパネラー感嘆するように、「コミュニティの形成方法、価値算出なんてどのビジネススクールでも教えていないよ」と言っていたが、今後の極めて重要な研究領域となるだろう。Community Imperativeというセッションでは、暗中模索の状況が浮き彫りになっていた。ただし、模索しながらもとにかくヤルというのは素晴しいことだ。
●ソフトウェア企業のフロンティアとしてのOSS
このようにソフトウェア開発、マーケティングというテーマから見るとき、オープンソース・コミュニティは新しいフロンティアを想起させるにはもはや十分だ。市場ではなく、フロンティア。市場においては、商品やサービスは、それらが提供するソリューションの価値が需給関係において決定されるが、OSSコミュニティの価値を左右しているのは「期待」なんですね。
会場で知り合ったアメリカ人の記者とこんな雑談になった。
「いやー、ソフトウェア産業にとってOSSというのはフロンティアなんですね」
「そうそう、かつてゴールドラッシュのときに、大挙して西部を目指していろんなやつらがやてきたように、今はオープンソースが西部のフロンティアのようなものだね」
OSS企業のエグゼキュティブ、既存のソフトウェア企業、デモ発表者、ベンチャーキャピタリスト、業界アナリストが集う雑踏は混沌としている。そのカオスのなかにこそフロンティアがところ狭しとひしめいているかのようだった。
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