よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

CIA暗殺サービスのアウトソーサー

2009年08月24日 | 技術経営MOT
<以下貼り付け>

CIA、アルカイダ暗殺計画を民間業者に委託 (CNN)米紙報道

ワシントン(CNN) 米中央情報局(CIA)がブッシュ前政権下で進めていた国際テロ組織アルカイダに対する秘密計画で、指導者らを狙った暗殺計画を米民間警備会社ブラックウォーター(現社名Xe)に委託していたことが分かった。20日付の米紙ニューヨーク・タイムズが伝えた。

アルカイダへの秘密計画は今年、パネッタCIA長官が就任後に存在を知り、議会に報告したうえで中止を指示した。ただ、同社の関与についてはこれまで明らかになっていなかった。

情報筋によると、CIAは01年に始まったこの秘密計画と当局との間に「距離を置く」ため、ブラックウォーターへの業務委託を決めた。同社が関与したのは06年半ばまでだが、その後も別の業務で他業者への委託が続いていたという。ある米当局者によれば、同計画には「数百億ドル」の予算が使われたが、ブラックウォーターに支払われた金額は不明。

報道を受け、CIA報道官は「計画は依然として機密扱いだ」と述べ、詳細についてのコメントを避けた。そのうえで、「パネッタ長官は、対テロ作戦について議会に知らせる時期が来たと考えて報告し、計画がうまくいっていないとの判断で中止に踏み切ったまでだ」と説明している。

ブラックウォーターは、前政権下でイラクでの軍事作戦などに参加していた。07年9月に起きたイラク民間人射殺事件を機に同国からは撤退したが、その後もアフガニスタン作戦にかかわる業務などの受注は続け、今年2月からは社名をXeに変更している。

<以上貼り付け>

以下コメント。

戦闘において傭兵を活用するのは、古代メソポタミア地域から2000年以上の伝統的手法。暗殺という「サービス」もアウトソーシングするのが定石。

とくに1960年代以降の戦闘要員、特命要員のロジスティクスは外注が巧妙化してきている。

Xe社(旧ブラックウォーター)は戦争が発生するたびに組織を拡大させている。とくに共和党スジと太いパイプを有しており、今回のリークは民主党による共和党への圧力増加の一環。今後、共和党に対するネガティブ・リークは節目節目で出てくるはずだ。

戦争ビジネスはイノベーション創発の一大中心地。各種兵器のプロダクト・イノベーション、その製造方法についてのプロセス・イノベーション、そして、あまり語られないが、兵器の運用、展開、使用に関するサービス・イノベーション。とくに実戦インプリメンテーションにおける「サービスの進化」はすさまじい。

MITのクスマノ教授のワーキングペーパー「Product, Process, and Service: A New Industry Lifecycle Model」(M Cusumano, S Kahl, FF Suarez)のような研究を戦争サービスに適応してみることは重要だ。

Xe社(旧ブラックウォーター)は、米国国務省が契約する戦闘ブラックウォーターは、アメリカ政府の国務省が契約する実戦インプリメンテーション・アウトソーサーの中でも最大規模。特にイラク戦争でのアメリカ軍の正規兵士の慢性的不足により傭兵の需要が増したことから急成長をとげた。

Xe社副会長を務めるコーファー・ブラックは、911の際にCIAの対テロセンター(Counterterrorist Center) の所長であった人物。

年4万人以上の戦闘員=社員は犯罪者の前科を持つ者、過激思想の保持者、反社会的行為の常習者、熱狂的黙示録的思想、キリスト教ファンダメンタリズム思想を持つ者が多い。もちろん戦闘マニア、細菌マニア、爆発物マニア、常習的加虐マニア、殺人マニアの巣窟でもある。

このような特殊人的資源を前線に供給し、政権から対価を得る戦闘派遣業は必然的に共和党とそのバックにある戦争によって利益を創造する寡頭勢力と癒着していた。

CIAの影響力を削ぎたいオバマ政権は、今後もさまざまなキャンペーンを打つことになろうが、CIA、宗教保守、その背後の戦争利益誘導の寡頭勢力との闘争関係に注視する必要がある。

MOT関係者ではめずらしく独特な日米関係史観、権力構造史観を持つ早稲田大学山本尚利教授によるこの論評も面白い視点を提供している。