よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

起業家の幻想

2009年08月17日 | No Book, No Life

The Illusions of Entrepreneurship: The Costly Myths That Entrepreneurs, Investors and Policy Makers Live By

この本は、けっこう本音で書かれている。本音で書きすぎたのか、結論はいたって常識的なものだ。投資回収をきちんと行うためには、白人で男性であり、高学歴で高所得の起業家がスタートアップさせた高成長分野の企業で、すでに投資家による投資実績のある企業を選べ、というもの。 

これ、米国投資家の間では、とるに足らない常識。

また著者のリサーチによると、起業家が女性、黒人、低学歴や貧困者の場合は成功確率が低いということも示している。

これも、米国投資家の間では、とるに足らない常識。ただし差別的な受けとられ方をするので活字にはされない。業界人がレストランなどに集まった時にはけっこう出る話題ではある。

ただし、著者が言うような「女性、黒人、低学歴や貧困者」が起業して投資家に利益をもたらす確率は低いかもしれないが、Base of Pyramidの底でそれなりの起業スキルを学習して、Self employしてゆくのは貧困脱出という目的を達成するためにはポジティブなインパクトがある。現にマイクロファイナンスの仕組みをうまく使って貧困から脱出している事例は、バングラデッシュ、インドでは数限りない。

いくら論理実証的なリサーチをベースにしても、「考え方の考え方」、「感じ方の感じ方」がステレオタイプにはまっていると、生産的な結論は出ないものである、ということを語っているのではないか、この本は。