よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

プロフェショナルのA,B,C

2009年07月07日 | 技術経営MOT


A,B,Cにもいろいろあるが、最近英語のプロフェショナルなコミュニティー、とくに上記のようなイノベーションを扱う知的コミュニティではA, B, Cといえば、Academics, Business leaders, Consultants。

なぜかといえば、これらの領域がフュージョンしてイノベーションを創発する契機となってゆくからだ。そしてイノベーションをマネジメントしてゆく国際的、学際的なネットワークがA,B,Cの協働で作られてつつあるから。

Academicsは内側に閉じ込もっていてはダメ。産業ニーズを咀嚼して学問的シーズを市場化して行かなければならない。もちろんそういうシーンではBusiness leadersとのインタラクションがカギとなる。産学連携とよくいわれるやつだ。

日本的発想だと、「産学」と来ればつぎにはなぜか「官」がやってきて、まぁ「産学官」となって、おきまりの「産学官連携~」という紋切型発想となる。

面白いことに、プロフェショナル志向の英語コミュニティー≒国際的コミュニティでは、「官」が入るのではなく、コンサルタントが入るのだ。プロフェショナル志向のコミュニティーが求めるのは、お役人ではなく、実務にたけたナレッジ・ワーカーのコンサルタント。

A,B,Cの逆張りで、Consultant→Business leader→Academicsというように珍奇なキャリアパスをトレース(デザインというよりは浪漫的放浪)してきた自分ではあるが、A,B,Cの全領域に関与するタコつぼのようにいずれか一つに納まってしまうよりはいい。異質な経験、場、知識、イクスパーティーズを溶かし合わせて、遊行できるから。

そういえば、2000年くらいを境にして身の周りの友人、知人がA,B,C化してきている。面白いのは、Consultant→Business leader→Academicsという経路がすべてで、Academics→Business leaders→Consultantは皆無。ふーむ?

たぶんまっとうな知的資本を有するコンサルティング・ファームで経験する知的訓練は、そうとうつぶしがきくのだろう。「つぶし」と言ってしまうと身もふたもないが、ようは形式知と実践によって得られる暗黙知、これらふたつの知をスパイラスさせて高めてゆく方程式のようなものが、そういう環境で自覚的に行動していると体得できるのだろう。

ただし、リニアーにConsultant→Business leader→Academicsとキャリアが形成されるわけではない。Human Capital Theory風にキャリア・ムーブを構想とすると、超えるべき壁のようなものがある。図示すると:

●Salaried person→(壁1)→Consultant
壁1:知的しなやかさと堅牢さ

企業での勤務経験を経てMBA、MSc、Ph.Dを取ってからというのが定石だろう。ある一定の専門性をベースにして、知的しなやかさと堅牢さが求められる。27歳から遅くても30歳くらいまでにはこの壁を超えているべきだろう。

●Consultant→(壁2)→Business leader
壁2:シノギ系当事者能力

インプリ・ステージで活躍してもコンサルタントはやはり、部外の知恵袋、触媒的存在。資金繰り、人的資源マネジメント、葛藤管理、人間関係でのオシ、ヒキ、人タラシなどのシノギ系のスキルと適性がないと、Business leaderにはなれない。

●Business leader→(壁3)→Academics
壁3:帰納的推論、演繹的推論、特殊解の汎用化スキル

Business leaderはしょせん自己の経験の住人になりやすい。閉じた経験は成功でも失敗でも臨場感はあるが特殊事例。ここを汎用化できるか否かが分かれ目ではないか。サイエンスの作法とでもいってよいだろう。