よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

幇派と幇会

2009年06月25日 | ニューパラダイム人間学
このブログをお読み頂いた中国出身で現在日本でITビジネスを行っている方から、「知人→関係(クアンシー)→情誼(チーイン)→幇会(パンフェ)」について興味深いご教示をいただいた。

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1)人間関係を支配する法則としては中国では一般的といってよい。階層、階級を問わず浸透している。

2)幇会(パンフェ)については、ビジネスでの関係よりは政治的関係を含意する傾向が顕著。

3)中国語では「知人」に相当する名詞は「認識人」という。→Simplified Chineseでは「认识人」と表記。ちなみに発音は→"rèn shí rén"(レン シー レン)となる。

4)ビジネスでは知人(認識人)と関係が重要。
実力があっても知人と関係との繋がりがないと相手にされなかったり、話も聞いてくれない可能性がある。その人によると「知人と関係で提案のチャンスを頂き、その後は実力で勝負するのが理想的」だそうだ。

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興味深かったのでさらに調べてみた。

「幇」には、公式的・公開的な「幇派」と非公式的、秘密主義的な「幇会」とがある。さらに幇派には、血縁(同姓の親戚グループ)、地縁(省、県、郷、村)、業縁(業種、業界、専門職)がある。幇会には、政治的な利害を共有するもの(洸門、三合会、致公堂など)と非公然的なマフィア(天地会、海陸山など)がある。

幇派、幇会のいずれにせよ、「幇」の性質として一旦契りを結んで仲間になれば、強固に排他的な仲間関係(自己収束的な集団)を形成していく。

幇は中国に独特な行動様式を形成してきた。幇という集団が消長する歴史が千数百年間も繰り返されてきている。中国社会のシステムを維持する方向で作用してきた。

湯武討伐、易姓革命、儒学官僚支配、共産党一党独裁のように中国社会の体制を外形的に説明する原理は変遷してきたが、幇は中国社会に内在していて一貫して機能してきたようだ。つまり、幇はシナ社会を形成する内在的な社会システムとして見たてられる。

シンガポールのシナ社会を中心とした分析としてシンガポール日本文化協会会長の顔尚強氏のレポートがさらに興味深い。

中国ビジネスをマネジメントするさいには、「幇」の理解が必要だ。中国共産党が主導している開放・改革政策、社会主義市場経済は、資本主義のシナ的なるものへの擬制化だ。「幇」的なるものは姿を変えながら存続してゆくのだろう。