よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

野心的な若者はアジアのビジネススクールを目指す!?

2009年06月07日 | ニューパラダイム人間学


「検証 ビジネススクール~日本でMBAを目指す全ての人に~」は早稲田、慶応、一橋のビジネススクールの談合本ながらも、そこそこ面白い。ただし、「日本で~」というローカルなフレーズを「世界で~」に代えてみる視点が必要だ。

さて国内の著名大学で学士をとってからベンチャーを起業し、一段落したのでビジネス関連の修士号を取りたいという野心に溢れる若者からキャリア開発の相談を受けた。

その彼と上記のムック本とBusiness Weekの論説をネタにしてディスカッション。遅ればせながら増えてきた日本のビジネススクールの現状が話題に登った。

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In Japan, it has never been easier to find an MBA program. Twenty years ago, only a few universities offered business administration courses, so most aspiring students headed to the U.S. to study. Even as business school degrees gained in popularity around the world, the number of domestic programs edged up only slowly. However, in the last five years the number of Japanese universities with business schools has more than doubled, to 55.

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さりとて、日本のビジネススクールではほんの数校を除いて授業は日本語のみのローカルな内容。大半のローカル系Bスクール卒業生は、日本企業を中心とした長期安定雇用の年功賃金型のジョブ・マーケットを相手としている。企業内のスペシフィックなスキルに重点を置いて保守的な人事部が仕切る日本企業人材コミュニティはMBAにとって実はタフな市場。このセクターにMBAの価値を浸透させるのは容易ではない。

さて、昨今シンガポール、インドのような英語圏につづき、中国、韓国、フィリピンの主要Bスクールも英語による授業を標準化しつつある。ポストモダン化する人材市場で高い付加価値を提供し、リターン(報酬)が高いジョブマーケットに参入を希望する若者のニーズに応えるためだ。

海外のBスクール動向と比較してみると、日本のBスクールは英語が事実上の標準となっているグローバル人材市場ではなく、日本国内のローカル人材市場を主要なマーケットとしているが浮き彫りになる。日本のBスクールは選択的にガラパゴス現象の経路を歩んでいるのだろうか。

昨今、優秀かつ野心的なビジネス志向の若者は(1)欧米の一流Bスクール、(2)日本国内Bスクール、という2つの選択肢から選ぶことができるようになった。しかし、3つめのシナリオが急上昇中だ。それは、英語で勉強できるアジア圏の卓越したBスクールだ。

結局、件の彼は三つ目のシナリオを選び、国内のビジネス系大学院はおろか、アイビーリーグも蹴って、清華大学ビジネススクールへ旅立っていった。

彼は言った。「カリキュラムの骨子はアイビーリーグと比べて遜色ないし、英語で学べますよね。2年間でマンダリンも習得して、その後は、北京でベンチャーを起業することにします」

新しい世界級キャリアの予感か。