散歩日記X

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なぜか大阪(21)四天王寺・大阪市立美術館

2017年09月06日 12時32分00秒 | ART
今日は地下鉄で東梅田駅から四天王寺前に移動。四天王寺といえば、相当古いイメージなのである。駅方面から歩いていくうちに、順路の逆と思われる元三太子堂の方から入ってしまう。



どんどん道を逆行し、六時礼讃堂の前にある石舞台へ。この石舞台が重要文化財なのである。





石舞台の両脇には亀の池というところがあり、亀が泳いだり、甲羅干しをしていた。のちに亀井堂というところもあるのだが、なぜかこの寺、「亀」に縁がありそうだ。



こちらが亀井堂。中では湧き出る霊水で経木を清めているとのことで、内部は撮影禁止であった。街中にこういうお寺があり、ごく普通に近所の方がお参りしているというのは、宗教心のない私にとっては新鮮である。



さて、そんな心無い私は宝物館へと向かう。し、しかしである。宝物館の開館日はかなり限定されており、現在は休館中なのであった(今回はどうも外れが多いね)。やむを得ないので、建物の前にある、石鳥居笠石(鎌倉時代)と長持形石棺蓋(古墳時代)を撮影する。

 

境内をふと見ると、野沢菜伝来の碑がなぜかある。非常に不思議に思ったが、もともと天王寺かぶらという野菜があり、これを信州に持って行ったところ、風土の違いから蕪が大きくならず、葉を食べる野沢菜になったという話があるそうなのだ。



何だかいろいろあるねと思いつつ、実はここまでは無料ゾーンなのだ。

いよいよここから西重門を通り、中心伽藍に向かう。さて、この中心伽藍、配置は四天王寺式といって非常に古式ゆかしいもので、そのことは何となく理解していた。しかしここにきて、建造物は火災、落雷、戦乱などで何回も焼け、かなり新しいものしかないことを知ったのである。ま、それはそれで良いか…

ということで、1959年(昭和34年)建立、なんと8代目になる五重塔。何よりも何度も再建するガッツが素晴らしいではないか。私はバルタン星人の6代目が登場した時のウルトラマン80のタイトル「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」を思い浮かべてしまった。



この五重塔、中に階段があり登ることができるのだが、余りにも足が疲れそうなので途中でやめておいた。

次は金堂。中に本尊救世観音菩薩が安置されている。実はここでは毎日11時から「舎利出(しゃりだし)」という法要がされているのだ。しばらくお坊さんがお経を読んだ後、そこにいた人たちが一列にならぶ。セミプロみたいなオジサンが、私が困惑しているのだと思い、「こっちに並びなさい」と指示をしてくれるので、やむを得ず並んでみた。

すると順次、御祈りをしていた内陣に入り、お坊さんから舎利を頂くという儀式のようなものをされるのである。私は宗教心は皆無なのだが、ここは黙って流されておくしかないだろう。



儀式が終わり、最後に講堂へ。ここにも、かなり大きな阿弥陀如来坐像、十一面観音立像が祭られており、何となく四天王寺を満喫した私であった。



建物は新しいものが多いが、風格は十分あるし、ぜひ宝物館の開館日を確認したうえで行くと、申し分ないように思う。

ここから、しばらく歩いて一心寺を経由する。



そして大阪市立美術館へ。建物がおそらく古いものなのだろうが、相当立派である。



館内に入り、展示室に向かうと、東京国立博物館本館を思わせるところもある。

 

■大阪市立美術館「土佐光起生誕400年 近世やまと絵の開化」。展覧会は土佐光起から始まる、いわゆる土佐派のやまと絵を時代に沿って展示したもの。ものすごく目立つ作品はなかったが、品が良く、落ち着ける展示であった。
土佐光起「大寺縁起」:色彩が良く残った、かなり立派な巻物。重文。

この後、「多彩なる隷書 漢の刻石」「中国の彫刻」を見るが、やや時間切れ気味で流してしまった。隷書は紀元前から2世紀くらいにかけてのもの、中国の彫刻は5~6世紀の北魏のものが中心で、なかなか素晴らしいものではないだろうか。こういうのはどうしても東博が一番ということになってしまうのだが、ここ大阪でも十分に魅力ある展示がされていた。

私が北海道という関西から遠く離れたところに住んでいるせいかもしれないが、大阪は美術館不毛の地(予算がない、新美術館はいつできるの?)と思っていた。実際に来てみると、なかなかそうではない良い所もあるではないか、というのが率直な感想である。しかし、この美術館、常設展もすべて撮影禁止なのである(ロビーのみ記念撮影可なのだとか)。この辺は観覧者のニーズにこたえる、新しい取り組みを少し考えてもいいような気がする。


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