散歩日記X

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春の東京(2) ビューティフル&画家の目 彫刻家の手

2014年03月16日 14時05分16秒 | ART
さて、本日は休日移動なので、軽く美術館巡り、一発目は三菱一号館美術館の「ザ・ビューティフル」である。東京駅付近の5つの美術館で今年使える共通券を購入。3000円なので、いずれ元が取れるはずである。幸いそんなに混雑していないようなので、早速見ていこう。

ロセッティ「愛の杯」:非常に印象的な作品だが、これ日本にあったのか。国立西洋美術館の旧松方コレクションなのだ。
レイトン「パヴォニア」:筆のタッチが見えないほど丁寧で、ベルベットのような肌と黒髪。反対に服の生地のくしゃっとした感じも上手い。
プリンセプ「アーイシャ」:いやあ、私の好きなプリンセプが来ていたか! テイト美術館の作品である。黒髪で目の辺りに影がかかっており、緋色のケープを着た異国風の女性が描かれている。この人、女性を描くのが上手いんだよね。

アルマ=タデマ「目に見えている結末」:求婚者に指輪を届ける若い男。青空と海、白い石段と明るくドラマチックな舞台がいい。
サンズ「メディア」:エキセントリックな女性、背景は金地である、解説にはギリシャ美術の影響とあったが、狩野派のようでもあり、クリムト(こっちが影響受けたのか)の雰囲気でもある。
ゴドウィン「飾り戸棚」:戸棚の小さな扉に4枚の絵パネルがあるのだが、北斎漫画をベースにデザインした、四季のイメージらしい。

ゴドウィン「アングロ・ジャパニーズ様式の家具デザイン」:すっかり都会的なセンス。1960年代アメリカと言われても、信じてしまいそうだ。
ワッツ「愛と死」:天使のような「愛」と、青白い衣をまとい圧倒的な迫力で迫る「死」が戦っている。壮大な物語。
ムーア「花」:花を象徴すると思われるピンクのローブの女性。様式美、象徴性、そして可憐さがある。

ポインター「メアリー・コンスタンス・ウィンダム」:作品の中に和綴じの本、青磁、金魚、屏風と東洋趣味がたっぷり盛り込まれている。
レイトン「母と子(さくらんぼ)」:ゆりの花が描かれ、いかにも西洋風の母子でありながら、奥に鶴が描かれた屏風がおいてある。ジャポニスムと言えるだろう。
アルマ=タデマ「タウンゼンド・ハウス」:実に17歳当時の作者が見事に意匠に凝った寝室を表現した作品。どの国風とはもう言い切れない、統合された完成形の感あり。

トマス・ジェキル「炉棚の上の装飾」:日本製の漆塗パネル、中国製染付皿、西洋の象徴である大理石円形メダルに加え、私が思うには「科学」の象徴であろう、凸面鏡が設置されている。
デイ「掛時計」:時計の文字盤の周りに女性の画が2点、男性の画が2点。結構疲れる時計だ。
バーン=ジョーンズ「刺繍作品《弓を持ち鳩の群れの下で子供たちに囲まれて立つアモル》下絵」:少女マンガの大先輩に敬礼、と言ったところか。

ピアズリー「アーサー王が吠える獣を見たこと」:狂ったような画のセンス、細かすぎる描写。もはや現代だ。
ピアズリー「クライマックス-サロメ」:白と黒の対比、余白の美は日本を意識しているのではないだろうか。紙も日本製のものを使っているそうなのだ。
モロウ「劇場ポスター「新しい女」」:眼鏡をかけ、周囲には書物を撒き散らした女。枠の外には煙の出るタバコが描かれている。新しい女のイメージって、そんなに昔から変わらないような…

ムーア「真夏」:白い衣にオレンジ色のローブを着た女性が、銀色の椅子に腰掛けて眠っている。両サイドには扇子で風を送る二人の女性。美と安らぎにも見えるし、「真夏」というからには、非常に寝苦しいのかもしれないが…。最後に「ビューティフル」を体現する作品を持ってきたと言ってもいいだろう。



途中に写真、デザイン作品、本もあったので(それも当然、美ではあるのだが)、「絵画を堪能したなあ」と言う感じは少し薄い展覧会であった。

美術館の建物がまたなかなかビューティフルなのである。





歩いてブリジストン美術館「画家の目、彫刻家の手」へ。

ロダン「ピュヴィス・シャヴァンヌ」:ロダンがなんとシャヴァンヌの胸像を作っていたのである。シャヴァンヌは喜んで「いつ取り掛かりましょう」とロダンに手紙を出したらしい。
マティス「石膏のある静物」:色はもちろんマティス、しかし手前に転がりそうな果物はセザンヌの雰囲気あり。
ピカソ「道化師」:ピカソ作のブロンズ像。道化師の帽子の造形が絶妙なのよ。

スーティン「大きな樹のある南仏風景」:ひしゃげた大きな家、台風のように渦巻く樹木。さすがスーティンである。
古賀春江「感傷の静脈」:グレーの地に女性の横顔。周りには幾何学的なマーク、魂? 魚? を思わせる形が描かれている。昔の少年少女向けSF小説の表紙を思わせる。
ジャコメッティ「ディエゴの胸像」:正面から見るとあまりにも薄っぺらい顔に、思わず横に回って見直してしまうと言う作品。3次元から2次元への挑戦状ではないか。

アルトゥング「T 1963 K7」:全体的な黒地の上下に、わずかに青が塗られている。その上に金の糸のような細い線。ハッと見てしまう美しさ。
ポロック「Number2、1951」:こんな近くで見られるとはねえ。黒い線を引いているうちに、細胞やミドリムシ、アンモナイトのような造形が自然に浮き上がってきてしまった感じ。



ここで田町まで移動し、ホテルに一度チェックイン。今回は普段と違う形でホテルの予約をしたのだが、イメージよりずいぶん豪華なホテルで驚いた。部屋は17階。本当は低層階のほうが良いのだが、しょうがないなあ。



なお、今回はPCを持ち歩いているので、ホテルで休憩中にこのブログ記事を途中まで作成してみた。写真を入れるときに少し変更しなければならない可能性はあるが、まだ晩飯を食いに出るには早いし、時間を有効に使うことにしたのである。


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