散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

20150501ギャラリー巡り

2015年05月01日 15時09分10秒 | ART
本日は近美→資料館→富士フイルム→アートスペース→三越→スカイホール→さいとう→道新→時計台の9か所と少なめ。CAI02、たぴお、大同など開いていないギャラリーがいくつかあった。

■北海道立近代美術館「アール・ヌーヴォーのガラス」。多分、結構な名品が来ているのではあるまいか。
作者不詳「象の頭の飾付花器」:北斎の「布袋図」をデザインした花器。オリエンタルデザインのものが結構多かった。
作者不詳「花器(龍)」:龍の頭部のはずだが、なぜかタコっぽいという面白い作品。
エミール・ガレ「花器(マツムシソウ)」:深い緑をバックに咲く花。かなりきれいだ。

エミール・ガレ「花器(永遠の幸せ)」:金属の飾りが付き、黒と緑の花器。装飾性が非常に高い。
エミール・ガレ「花器(コウモリ)」:なぜかヨーロッパのガラスには鯉とコウモリのデザインが多いような気がする。中国でコウモリは発音の関係で縁起物なのだが…。誰か理由を知らないだろうか。
エミール・ガレ「壁付ランプ」:映像コーナーで実際に壁につけてランプを点灯させていた。なかなか。

エミール・ガレ「ランプ(風景とツバメ)」:ランプシェードに金属製のツバメが付けられている。酸化していい具合の色彩になっているのだ。
エミール・ガレ「ランプ」:もやもやした模様が絶妙。キノコのような自然の微妙な色彩を模したものに見える。「風景とツバメ」と合わせ、今回出品の名作だと思う。
ドーム兄弟「花器<スイセン>」:近美の展示室の窓から光が差し込んでいるのだが、何かシートのようなものがあり、白い霧の中で作品を見ているような気になる。不思議な空間。

ドーム兄弟「花器<キノコ>」:ベニテングタケ、テングタケ、アンズタケ、アセタケ、マッシュルームなど非常に具象的、図鑑のようなキノコの模様である。

■同「新収蔵品展」。平成26年度は232点の新収蔵があったのだが、全て受贈なのだそうだ。予算が無いのね~。

■同「菊川多賀展」。画風が好みではないのだが、じっくり見るに値する作品ではある。

■同「春季名品選」。
林竹治郎「積丹風景」:そうか、小樽で見たことがあったのか。山から海にかけてのダイナミックな風景。明るくていい。



そういえば、2階の奥側の通路に彫刻3点が展示されていたので、見るのをお忘れなく。

高田博厚「美しきエミー」、佐藤忠良「演劇生」。

 

中原悌二郎「若きカフカス人」。



札幌市資料館には「SIAFラウンジ」ができていた。割としゃれたカフェのような感じ。

 

北海道庁前を通る際に「北方領土啓発の広場」というのを発見。こんなのが存在しているとは、全く知らなかった。



国後島材木岩岬海岸で採取された角内安山岩というのが置いてあった。

 

平日しか開いていないアートスペースへ。「風間雄飛展 おかわりさんたろう」が開催中。写真撮影可能ということなので「すたこら」という作品を撮るが、何とも写りにくい淡い色彩だ。



■三越「大黄金展」。長さ2.7m、重さ65kgの象牙が2本、科学特捜隊のバッチ17万円、ウルトラセブン18cm立像1千万円、Doleのシール付き黄金のバナナ5400万円など、相変わらずの品が揃う。

■時計台ギャラリー「山下かさね水彩展」。期待しすぎたか。
「舎」:赤れんがの向こうに、実に壁の細やかな模様まで描いたビルが建っている。左下に道庁前の本郷新「北の母子像」が描かれているところは、心憎い。
「吹き流し」こいのぼりとカラフルな吹き流し。風の中で流れるような、ねじれる様な形がいい。

建物は私好みの細かさなのだが、人物画は大胆な線でざくっと捉えたものが多い。その辺が少々好みの分かれる所である。

国立西洋博物館傑作選 他

2015年04月26日 21時29分08秒 | ART
こちらも4月19日に訪問した時のもの。

カルロ・クリヴェッリ「聖アウグスティヌス」。1400年代作なのに、何ともきれい。



ヨース・ファン・クレーフェ「三連祭壇画:キリスト磔刑」。16世紀前半。優雅な雰囲気がある。



コルネイユ・ヴァン・クレーヴ「ヴィーナスとキューピッド」。18世紀初頭。さりげなく置いてある。



クロード・モネ「黄色いアイリス」。



シャルル・コッテ「行列」。



ジャック=エミール・ブランシュ「若い娘」。これはまた可愛らしい。



その他、美術館外の彫刻も掲載しておこう。

確か銀座。作品名、押さえ損ねた。



六本木にて、ニケのレプリカ。



大塚亨「Empty closet(m13)」。



ジョエル・シャピロ「無題」。



大倉集古館。2018年頃まで休館らしい。



羽田空港のディスカバリーミュージアムで大久保雪貢「御入国御行列之図」。細川家の千人を超える行列図。



以上。

東京国立博物館傑作選

2015年04月26日 21時20分05秒 | ART
4月19日、東京にて。

「平治物語絵巻 六波羅行幸巻」。人物の表情の描写が素晴らしい。一人一人に個性がある。国宝。



狩野栄川「象の写生」。



「如意輪観音菩薩坐像」。



「吉祥天立像」。



仁阿弥道八「色絵桜樹図透鉢」。



「白糸威鎧」。あまり武具には興味が無いのだが、国宝。



「白糸威鎧」のうち「栴檀の板」。鎧は14世紀、この板は19世紀初頭に復元されたもの。



平櫛田中「森の仙人」。



何か、以前に掲載したのがあるなあ。まあいいか。

20150425ギャラリー巡り

2015年04月25日 17時19分51秒 | ART
本日は紀伊国屋→大丸→エッセ→道銀→大同→たぴお→時計台→道新→グランビスタ→大通→富士フイルム→CAI02→市民→HOKUBU→ARTスペース201→さいとう→スカイホール→三越の18か所。

■紀伊国屋ギャラリー「ハンナ カント リーサ カリンタウス作品展」。フィンランドの現代女流作家展とのこと。ハンナ カントの作品が好みであった。

■大同ギャラリー「二科 北海道支部展(絵画)」。
中田登「ART in ART '15」:下半分に描かれた、線描の大通公園風景がいい。
柴崎康男「船のある風景(青い群れ)」:実は船が見て取れないのだが、実に気持ちいい青の色だ。

■市民ギャラリー「第四十二回北海道抽象派作家協会展」。
小川豊「心のひだ2015-4-20」:今回は緑色のひだなので、ともすれば「葉っぱ」に見えてしまいそうだが、配置のせいかそうはなっていない。
柿崎秀樹「カタチを埋める」:マンガチックな形の中を細かい幾何学模様でびっしりと埋めた作品。
今荘義男「古里ハ」:無骨な感じの四角に線が引かれており、日本昔ばなしに出てくる変わった人の顔のようだ。

田中季里「think-BLUE-」:56点の版画を一気に展示し、季里ブルーの集大成といえそうだ。
丸藤真智子「悲しみの赤い月」:月というよりはひげの生えたナマズのような形。落ち着いた色彩と、太くのびのびした線がいい。
後藤和司「river2015」:同傾向の5連作。それぞれの作品でわずかに色が変わり、色彩の帯が上下している。しばらく眺めてから、タイトルを見て「なるほど!」となった。

名畑美由紀「靄(もや)」:青主体と水色+ピンクの2連作。両方を同時に視界に入れると、色彩の違いが不思議な感覚をもたらす。一瞬にして片目にブルーフィルターがかけられたようだ。

■HOKUBU記念絵画館「湿り気の表象」。
片平菜摘子「Untitled-II」:夢の中のムカデ競走。顔の無い子供たちが走っている。全体に白い霧が覆っているような表現で、この辺が「湿り気」か。
筆塚稔尚「時の回廊3」;白く煙る世界に、2本の線と黒くとがった島が浮かぶ。こちらも夢の中のイメージのよう。

ここでコーヒー休憩。いつもありがとうございます。


春の東京(7)

2015年04月20日 11時27分40秒 | ART
六本木に到着。まずはサントリー美術館「若冲と蕪村」展である。そう、そうなのだ。今日の仕事は午後からなのだよ。やむを得ず、午前中は時間をつぶすのである。などと心にもないことを書いて見たが、若冲ファンとしては、この展覧会を見逃すわけにはいくまい。会場への入場は3番目、終始、第1~2グループで見たため、ほぼストレスなく見ることができた。

若冲「隠元豆・玉蜀黍図」:墨の濃淡とぼかしの表現力。
若冲「花卉双鶏図」:こちらは若冲カラフル。
若冲「枯木鷲猿図」:鷲の透き通るほどの白い羽が素晴らしい。

若冲「松図」:無限大マーク(∞)形の枝が強引過ぎる。
若冲「粟に雄鶏図」:墨の濃淡をMAXまで使い切った作品。
若冲「布袋唐子図」:布袋様の頭の上に立つ子供。みんなニコニコ。

蕪村「猛虎飛瀑図」:虎の毛なみが繊細でいい。
若冲「烏賊図」:コウイカだろうか。2匹のイカがペタッと寝ている。
若冲「双鶴・霊亀図」:非常にユーモラスな作品。亀の毛は真っ黒に描かれ、鶴の羽根は真っ白。対比も見事。

若冲「達磨図」:服の朱色が鮮やか。達磨は一つの山のように雄大な描き方をされている。
蕪村「「学問は」自画賛」:ほんわかのんびり顔。蕪村の飄々としたタッチは今回目立っていた。
若冲・応挙ほか「棲欒園画貼」:若冲の「墨梅図」では、黒い枝が微分不能の角度で描かれている。

蕪村「山水図屏風」:水あり、山あり、人の家々あり。一つの世界が出現した。
若冲「石峰寺図」:何だろう外国のアニメかイラストのような画風。この多彩な表現が凄い。
若冲「菜虫図」:隠元豆や葉っぱも可愛い、ホッとするデザイン。

若冲「象と鯨図屏風」:鯨は水面に顔を見せず、黒い背中から真っ白の潮を噴き上げている。象は黒の混じった牙を振り上げ「パオーン」とでも鳴いているだろうか。雄大な2つの世界が並び立つ作品。

展覧会は全223品の出品なのだが、相当入れ替えが多く、全て見るには3回は来なければならなさそう。蕪村の国宝「夜色楼台図」も最後の一期だけとあって、見ることができなかったのは残念だ。

ネットで「鈍器」とまで言われていた分厚い図録を購入し、強引に鞄の中に押し込める。


春の東京(2)

2015年04月19日 16時01分45秒 | ART
速足で歩くと少し暑い。そんな中、上野公園内を歩いて、東京藝術大学美術館へ。今回やっているのはボストン美術館と東京藝大の所蔵品を並べた「ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」である。ダブル・インパクトと聞くと、ロードウォリアーズやヘルレイザーズを思い浮かべる私は、プロレスファンである。



河鍋暁斎「蒙古賊船退治之図」:船が大爆発、やり過ぎだと思う。
歌川芳虎「蒙古賊舟退治之図」:こちらは上空から四天王が降りてきて、蒙古船に鉄槌! とんだ国粋主義だ。
歌川芳虎「万国名勝尽競之内仏蘭西巴里須府」:完全にパリを想像で描いてしまったという大胆な作品。

高橋由一「花魁(美人)」:以前は「この花魁、鬼婆みたいだな」と思っていたのだが、そうでもなく見えて来た。これは私が年を取ったせいか。多分、40前後なんだろうなあ。
鈴木長吉「水晶置物」:台座が波と龍でダイナミックな形の上に、球形の水晶が鎮座。向こうを歩く人が天地逆に見える。
高石重義「竜自在」:金属製の自在置物で160センチ以上はあるだろうか。何となく「ジャンボマシンダー」という言葉が思い浮かんでくる。

柴田是真「野菜涅槃図蒔絵盆」:お釈迦様の姿は大根になり、その周囲に野菜たちが。これは精密でいい作品だ。
濤川惣助「七宝瀟湘八景図額」:墨絵に見えるほどの七宝。さすが。
河鍋暁斎「地獄太夫」:三味線を弾く骸骨の頭上で坊主が踊りを踊るというアバンギャルドな作品。

河鍋暁斎「狂斎百図」:「人を呪わば穴二つ」「一寸先は闇」等のことわざにカラフルな画をつけた作品。
作者不詳「猿蒔絵盆」:猿が百匹は描かれているだろうか。服を着て遊んだり、掛け軸を観賞したり、楽しい作品。
作者不詳「半諾迦尊者蒔絵置物」:人物が手にした鉢から象牙の龍が立ち上がるという工芸作品。

豊原国周「泰平有名鑑」:明治の有名人図。岩倉具視の名前は書いてあるが、さすがに明治天皇の説明書きは無い。
揚州周延「チャリネ大曲馬御遊覧之図」:陛下、サーカスを見るの巻。片足の曲芸師が多く、当時の団員の様子が分かる。
安達吟光「貴女裁縫之図」:ピンクでヒラヒラの服を着た女性たち。もう「カワイイ」化は浸透している。

五姓田義松「自画像」:光と影の自画像。カッコいい。
狩野芳崖「谿間雄飛図」:空間に向けて飛び立たんとする鳥の図。異次元への飛翔にも見える、すばらしい作品。
小林永濯「菅原道真天拝三祈祷の図」:祈りとともに帽子を飛ばし、背後には雷が落ちる。道真がいわゆる「JOJO立ち」している作品。

橋本雅邦「雪景山水図」:木々の立体感が凄い。
狩野芳崖「暁霧山水」:芳崖にYESのレコードジャケットを描かせるべきだった。
狩野芳崖「岩石」:これなんか「リレイヤー」を思い浮かべてしまう。

横山大観「海」:くねくねと海。大胆な表現。
菱田春草「月の出」:手前の少し濃い山、奥の山は薄墨で表現。そして月が描かれ、深い景色が想像できる。
竹内久一「神武天皇立像」:明治天皇の顔を重ねて表現したものだそうだ。かなり巨大な立像で神々しさはともかく、威厳は相当ある。

今回は何と言っても狩野芳崖だ。もちろん「悲母観音」も出品されていたのだが、それ以外にこれほどいい作品があるとは思わなかった。また隣に岡倉秋水の「悲母観音」があったのだが、素晴らしく精密に模写されているのに、あの空気感というか漂う気配が出ていない。比較しては申し訳ないが、芳崖の「悲母観音」が実に高度な傑作であることが分かるのだ。

なお、藝大の陳列館では「研究報告発表展」として仏像の修復・模刻の出品がされていた。奈良県円成寺「四天王立像」なんかは大変私の好みであった。

さて、次は東京国立博物館表慶館の「インドの仏」展である。随分久しぶりに表慶館の中に入る(2005年以来か?)。



 

「菩提樹(カナカムニ仏)の礼拝」:菩提樹は仏の象徴で、カナカムニ仏というのは釈迦以前に現れた仏様らしい。そんな人がいるとは思わなかった。
「ムーガバッカ本生」:人生を異時同図法で描いたもの。
「仏伝「托胎霊夢」」:天から白い象が下り、胎内に宿ったのが釈迦になるらしい。

「仏伝「誕生」」:マヤ夫人というのはインドではかなりの肉体派(ボイン)なのだ。
「仏伝「出家踰城」」:白馬に乗り出家する釈迦。足元で小さい人が馬を支えているのだが、もしかしてこれが邪鬼の原型だったりして。
「仏坐像」:釈迦のイメージも時代によって変わり、2世紀頃クシャーン朝時代のこの作品では髪の毛にウェーブがかかっていて、いわゆる螺髪ではない。

「仏頭」:これは精神性が表現されており、釈迦の肉体を感じない。
「仏三尊像」:こちらはマッチョな肉体派である。表現の決まりごとがあったのか、地域やブームで変わってくるのか興味深い。
「焔肩仏坐像」:タイトルの通り、仏の肩口から火炎が飛び出している。これが光背の原型?

「弥勒菩薩坐像」:こんどはどう見てもインドのオッサンにしか見えない、弥勒である。
「観音菩薩坐像」:10世紀頃の作品だが、体にひねりが入ってきた。
「摩利支天立像」「仏頂尊勝坐像」:方や四面八臂、方や三面八臂。いずれも超ボイン。胴のくびれが後ろから良く見てとれる。こういう肉体派に流れた理由って、何故なんだろう。

表慶館はあまり展示向きではないので、順路が分かりにくく見やすいとは言えなかったが、なかなか面白い展覧会であった。ただ、時代や地域で仏像の傾向を把握していると、もっと面白い展覧会なのだろうと思う。

ショップではみうらじゅん考案の、お釈迦さまと花まつりをもっと盛り上げたいという像「花まつり 4月8日(←シャカと読む)」が飾ってあった。

さあ、高速度で東博の常設展を見よう。途中で初めて裏庭に出て見た。気温も寒くはないし、のんびり散歩をしている人も結構いた。

 

続いて、国立西洋美術館へ。前回の「グエルチーノ展」の際に常設展が閉まっていたことから、常設展のみの無料券をもらっていたのである。こちらも急いで展示会場を回る(いくつか作品を撮影したので、後日記事にしたい)。

興味深いのはヨハネス・フェルメールに帰属するという作品「聖プラクセディス」(寄託作品)が展示されていたことだ。調査中であり、研究者の意見も分かれているようだが、フェルメール作という可能性が無くもないらしい。

さて、これで今日の展覧会巡りは終了。疲れたので、一度ホテルにチェックインしよう。ホテルでは新聞無料、ウエルカムサービスのコーヒー無料ということで、ちょっと嬉しい。

20150418ギャラリー巡り

2015年04月18日 16時24分23秒 | ART
本日はレトロスペース坂→道新→時計台→大同→大丸→創→三越→さいとう→スカイホール→アリアンス→EARTH PHOTO→富士フイルム→kitakara→大通→資料館の15か所。

■レトロスペース坂。なにやら不穏な噂を目にするレトロスペース坂なのだが、健在であった。久しぶりに来たのだが、以前はもうすこしおどろおどろしい展示状態だったような記憶があるのだが、今回見たところ、非常にすっきりとした見えた。しかし、展示しているものは何とも言えない奇妙なものが多い。とても残念だったのは、展示物のいくつかが盗難にあっているということで、全く許せない限りである。「てめえら、許せねえ」(by 初代スケバン刑事 麻宮サキ、という感じだ)。



インド料理を食べに行き、裏参道のあたりで谷口顕一郎「橙」を発見。この道を通ってはいるが、目に入ったのは初めてだ。



朝、家を出た時は少し寒かったが、日が照るにつれて暖かくなってきた。雲は少し夏を思わせる感じもする。



■時計台ギャラリー「札幌時計台ギャラリーコレクション展」。コレクションを見られるのもいいが、会場が埋まらないのは寂しい限りである。安田侃の「無何有」を版画にしたような作品は、多分初めて見たかも。

■EARTH PHOTO「ウリュウユウキ近作展layered white, and there」。何気ない写真でもハッとするイメージを捉えている。雪の上でタイヤの跡が交差している写真と、区画整理されていない地域に立っている家が何となく動いているかのように見える写真が良かった。

狸小路付近

 

そうそう、大通美術館の入っている大五ビルジングには、かつてダストシュートがあったのだ。ダストシュートというものも、初めて見たような気がする。



■札幌市資料館「第26回木もれび会展」。
斎藤由美子「宵桜」:やはりこの人の水彩は見るべきものがある。あえてバックを青緑にし、それでいてなお桜の枝と花がきちんと見てとれるのだ。

大通公園あたり。

 

20150411ギャラリー巡り

2015年04月11日 14時39分01秒 | ART
本日は三岸→道新→マリア→時計台→たぴお→大丸→三越→スカイホール→さいとう→ivory→富士フイルム→NEW STARの12か所。

■三岸好太郎美術館「三岸好太郎人物図鑑」。今年も所蔵品展が始まったが、私がこの美術館を訪問するのも何回目だろうか。大体見たことのある作品ばかりなので、もう一つ嬉しさがない。

「腕を組む男」:これは初めて見たような気がする。
「二人人物」:椅子に座る女性の後ろにもう一人の女性が立っている水彩画。これは三岸の洗練されたタッチが分かる。
「雨の日」:これも初見かも。

初めて見るかどうかにこだわらず、絵画作品を見て楽しめる人物になりたい。

昼食を取った店のそばに地蔵仏がいた。逆光で顔が見えない…



■さいとうギャラリー「第19回 竹岡絵画教室展 えすかりゑ展」。
太田れい子「逍遥」:大きな天と地の間に、ゆらゆらした線と四角いカラフルな泡が配置された作品。習作と書いてあったように思うのだが、なかなかのスケール感である。
松崎祐哉「(無題)」:とても面白い線で金魚を描いていた。

狸小路商店街ではアーケードの下にモニタースクリーンが新設されたようだ。



GALLERY NEW STARは今回の展示DMによると「ギャラリーニュースターは本展終了後ビル内に移転するそうです」とのこと。ギャラリー部分がどうなるのか分からないが、外見を撮影しておいた。

 

20150404ギャラリー巡り

2015年04月04日 16時14分15秒 | ART
本日は札幌で資料館→富士フイルム→スカイホール→さいとう→道新→大同→大丸の7か所。小樽に移動して、市民ギャラリー→小樽美術館→小樽文学館の3か所で計10か所。

■札幌市資料館「中原宣孝展2015」。展示がほとんど無くとも(他、いけばな展が1つだけだった)、これは必見だろう。
「Der Schrel」:鉛筆スケッチ以外に1点だけあった油彩画。祭壇を思わせる静物画。見ていて気持ちいい。

それから「おおば比呂志記念室」の展示が復活。今回は北海道消防新聞に昭和30年頃に連載されていた「ひのみ一家」という4コマ漫画が見どころ。火災の互助会の勧めや、煙草のポイ捨てへの警鐘など、火災に特化したマンガである。

ウリ信用組合前の女性彫像。表示はハングル語のようで、良く分からず。土日はシャッターが閉まっているのだが、ちょうどシャッター工事をしていたため、近づいて撮影してみた。



■富士フイルムフォトサロン「増田鐵也「ジオラマフォト」作品展」。六本木で見たような気がする。

このジオラマは撮影自由だそうだ。



■スカイホール「坂みち代個展」。
「ひとり」:公園に向かって歩み出す子供を描いた版画。夏の日を思い起こさせる。

■小樽美術館「小樽水彩画会 歴代会長の風貌」。
宮崎信吉「少女像」:いわゆる水彩で思い浮かべる優しい風景がではなく、赤い着物に強い表情の少女。油彩に決して負けない力強さがある。この人は斎藤清(版画)が弟子入りしたり、今田敬一と二人展を開催したり、なかなかの人のようだ。
中島鉄雄「市街風景」:札幌だろうか? 1935年作にして、街にはサッポロビール・長崎カステラ・「ランチ」と言った看板が見て取れる。
中島鉄雄「初冬(札幌)」:戦時中の作品だが、緑の葉に暖かな茶色の樹木がカラフルに見える。モダンな作品。

坂東義秋「雪晴れの町」:雑貨店の横にある雪の坂道が小樽らしい風景。
森田正世史「サーカス小屋」:私の年代だと、お祭りのときにサーカスが来ていた記憶がまだギリギリある。
森田正世史「運河残雪」:この辺の作品では空と水に点描が使われている。あらゆるものを点描で描くのはどうかと思うが、光のちらつく空と水には必然性のある技法と言えるだろう。

笹川誠吉「運河待春A」:どっしりとした建物と船。さすがの構成力だ。



■小樽文学館「伊藤正展」。この文学館ゆかりの作家でもあり、正統派の文学展示となった。有名人ともなると子供の頃の通信簿や作文を公開されてしまうのである。辛いなあ…。

 

ここでコーヒー休憩。



ところで最近は重大犯罪の容疑者になっただけで、子供の頃の写真や文集、当時の人柄などが思いっきりマスコミに出るのだが、いかがなものだろう。当然、容疑者は容疑者であって、裁判の判決が確定するまでは犯罪者ではない。また犯罪者だからといって、全てのプライバシーを暴露されるのも問題だ。という真面目な論点もあるのだが、昔からマニアックな人間にとっては、過去を暴かれるという恐怖は犯罪の抑止力になるような気がするのだが、どうだろう。

20150328ギャラリー巡り

2015年03月28日 16時19分45秒 | ART
本日のギャラリー巡りは芸森→大丸→大同→チカホ→グランビスタ→たぴお→クロスホテル→時計台→道新→ivory→さいとう→スカイホール→三越→教育文化会館→資料館→大通→富士フイルムの17か所。

日中は暖かかったが、朝はまだ涼しい札幌。今日は芸術の森に行くため、少し早い出発なのだ。



■芸術の森美術館「笠井誠一展」。なんとか会期ぎりぎりで訪問。
「札幌北一条風景」:近年の画風とは全く異なる古典的風景画。
「札幌郊外」:写実という感じではなく、混沌とした色彩と形の風景画。こういうの好きだ。
「田園」:小川原脩の初期プロレタリアート絵画とヨーロッパ古典画のミックスされた味わいがする。

「カップとノコギリ」:フランスのパリ留学時代に、突如、赤が目立つようになる。
「水差しと椅子」:この輪郭線の太さはルオー的だ。
「卓上静物」:この作品でも赤が目立つのだが、現在の笠井テイストに近づいてきた。

「室内(ストーブと椅子のある)」:1975年の作品で、ほぼ現在の作風と言っても良いだろう。
「フルートとドリルのある静物」:最近の作品は穏やか過ぎると言っていいくらい穏やかなのだが、この作品にはドリルが描かれており、何となく異物感がある。単なる静物の一つと言われれば、その通りなのだが。
「卓上静物(ランプと洋梨とウニ)」:こちらも結構ごついランプとスパナが描かれている。しかしウニはマンジュウウニでちょっと可愛い。

「ヴァイオリンとランプのある卓上静物」:ヴァイオリンが描かれている作品があるのだが、見たままなのか、それとも女性の隠喩なのか。色が木材の色と言うより赤に近い所に、女性の感じがある。
「水差しとかりんとあけびのある静物」:フルーツのバリエーションの多さも特筆すべきこと。
「空豆」:リトグラフの作品だが、すんなりとした形と緑色がいい。

「二ツの卓上静物III」:テーブルは台形に描かれており、卓上の果物は即座に転げ落ちるだろう透視法などあったものではない作品。他の観覧者の声にもあったが、セザンヌ感はあるな。
「静物A」:2014年の作。笠井カラーというと灰色と黄色という感じがするのだが、これはオレンジ色のポットと水色の壁が描かれており、少々変わった色の使い方に見える。

年代に沿って作品を見ると何か理解が深まるかと思ったが、実はそうでもなかった。熱狂的でもなく、単なる静かで平板な作品でもなく、どう言っていいのか分からない。

 

芸術の森入口付近の小池はまだ凍っていた。帰り道で橋から見下ろす景色にも、まだ雪は多い。

 

■大丸画廊「祈りと祝祭 村越由子日本画展」。色彩を非常に多く使いながら、日本画として落ち着いて見ることができる。

■札幌駅前通地下歩行空間札幌駅側イベントスペース「PARC 4 OPEN STUDIO」。
野原万里絵の作品。

 

■札幌駅前通地下歩行空間北1条イベントスペース「mori-forest つながろう2015」。



砂金隆則「森の大地」。



内藤克人「森と生き物」。エッシャーの黒と白の鳥が交差する作品を思い出す。



中島義博「森ニイルカラ」。



菱野史彦「The depth of the forest」。



SHIMAUMA DESIGN「森の人」。体まで緑色だ。



富樫麻美「quattron」。金属のキノコ。しまった、音が鳴るらしい。試してこなかった。



平向功一「ワンダーランド王子の秘密」。いつもの作風とは少し違う感じ。



金兵直幸「森への入口」。ならの木にシイタケ菌をうったホダ木なのだそうだ。



川上りえ「trace」。針金の犬たちが地下街に登場。



菊地さくら「大きな月と樹の下で」。



経塚真代「星の子moment」。最近活躍の人形作家。



JOBIN.「とある役目、とある森」。星や雲の部分が作品だろう。



■クロスホテル「米澤卓也個展 プリズム」。リアルな果物とマンガのごとき集中線の対比が面白い。レストラン内の作品も見せてもらったが、一部は食事中の人がいるのでダメだった。やはりレストランや喫茶店に併設された画廊の展示は難しい。

■時計台ギャラリー「北海道教育大学岩見沢校 芸術課程美術コース 日本画研究室展 いわならべ」。
吉田弥生「凛」:雪の中、こちらを睨む白い狼。上手い。
佐藤佳奈子「つくよみち」:月下にすっくと立つ鹿。こちらもいい作品だ。

■ivory「花由版画展」。上手く感想が書けなかったが、なかなか面白い。

教育文化会館に行く途中、関根伸夫「北のまつり」。存在は知っていたが、写真は初めてか?



石2点。STVの前に意味ありげに置いてある石には、作品名などの表示はなかった。ただの石なのか?

 

20150321ギャラリー巡り

2015年03月21日 16時08分33秒 | ART
本日は近美→教育文化会館→資料館→富士フイルム→大通→三越→スカイホール→さいとう→ivory→道新→大同→プラニス→JR ART-BOX→大丸→市民→鴨々堂の16か所。

天気は良いが少し肌寒い西区を出発。写真の公園は冬の雪捨て場になっているだけに、こんな時期に地面が見えるのは非常に珍しい。



■北海道立近代美術館「もうひとつの眺め 北海道発:8人の写真と映像」。映像作品を見るのに時間がかかるため前回断念した、佐竹真紀の作品を中心に見る。

佐竹真紀「暮らしあと」:おそらくもう取り壊すであろう祖父母の家の現在の映像と過去の写真を重ね合わせた作品。親族があつまりゲームをしたり、お寿司を取って食べたり、見る人のいろいろな思い出をも引き出す作品だ。つい私も「自分の子供の頃のアルバム、親の家にあったっけ」と見たくなってしまった。
佐竹真紀「おもかげ」:こちらもコマ落としの映像と写真を使い、家族や自然の時間の流れを表現した作品。当然前者の時間の流れは目に見え、後者の時間の流れはなかなか簡単には見てとることができない。



■札幌市資料館「ぽんち展」。
福本昌史「訳あり物件。」:訳ありというか廃墟物件なのだが、言い方の面白さか。
大友はずみ:家族で沖縄旅行に行ったのだろう。「手」による空手チョップで店の外壁が切り裂かれている写真が面白い。
大友亜希子:沖縄ゆいレールの写真が何となくいい。札幌の創成川沿い、札幌駅より北側のような殺伐とした感じがする。
大友俊治:すごい顔でご飯を食べる子。本当にすごい顔。


→ここも雪解けだ。

■スカイホール「TURNER AWARD 2014」。
小林あずさ「あつらえ」:中心に蛸。その周囲にひらひらした布の帯と、髪の毛のように見えるもの。女性の暗喩か?
森丈人「赤いロッカー」:程よく歪んだ形がいい。

■さいとうギャラリー「ハナゴオリ 瀬川綺羅個展」。
「やんごとなきブーン」:あまり可愛くない子が飛行機のように手を広げて空を飛ぶ。
「グッバイ、マイ世界」:自分をシャボン玉に吹き込んで、飛ばす。何物にもとらわれない自由さを描こうとする拘り(不自由さ)を感じるのは気のせいか?
「食卓の男爵」:箸のようなひげを生やした男が男爵なのか。もしかしてテーブルに上がり込んでいる犬が男爵なのかも。

■プラニスホール「札幌夜景空撮展」。作家がちょうどトークショーをやっており、かなりの混雑。写真撮影のためにセスナ機を1時間チャーターすると9万円なのだそうだ(ヘリコプターは40万円だとか)。
「石狩湾と増毛山地・遠く利尻山-手稲山地上空より 2014.6.23」:北海道の西の海岸線のカーブ。本当に利尻山まで見えていて、鳥瞰図さながら。これには驚かされた。

■JR ART-BOX「TELECINE 南俊輔」。フィルム映写機による動画を中心にした展示なので、実物を見ないと何のことやら。



祝日のため昭和ビルはCAI02しか開いていない。飲食店街の方は扉では入れないようになっていたのだが、そこにこんな表示が…。地下2階に麻雀クラブなんてないよね?



■古民家ギャラリー鴨々堂「第二回アール・ブリュット札幌展」。
荒岸学:黒い線にいろいろな色彩を配置した連作群。私の眼には「連作群」としか見えない、似た形式の作品が並んでいるのだが、「バラ」「野の花」などのタイトル作品の横に「野幌」「JRタワー」など予想もしないタイトルの作品がある。
田湯加那子「セーラームーン2011」:体にはUHBのマーク、足元にはHTBのマーク。どっちの局で放映されたんだっけ。ちょっと見ていると背筋が寒くなるような所もある。(3/22夜に追記)

それからチカホ北1条付近で今日から開始されるはずの展覧会は、思いっきり展示設営中。来週行こう。

東京アート的写真

2015年03月20日 23時45分22秒 | ART
東京で目に付いたものを撮影してみた。

言わずと知れた西郷さん。これを撮影していると、全くのド田舎もん観光客だ。



彰義隊の墓。



重文の寛永寺。「月の松」は無理やり過ぎ。痛々しい。

 

「博士王仁碑」。古墳時代前半に百済の国から渡来した人らしい。昭和15~16年に建立されたもの。



本多正直「時忘れじの塔」。関東大震災、東京大空襲を忘れないための碑。



人形町の店で柳原良平のイラスト発見。



歯科医の梟像。



羽田空港美術館ディスカバリーミュージアムに行ったのを忘れていた。展示は「華麗なるセレブリティの世界」ということで、伊勢物語「歌かるた」を撮影(この美術館、写真撮影が可能)。

 

こんなところで。

春の東京(10) ルーブルマジック

2015年03月15日 11時08分16秒 | ART
7時頃起床。あまり胃の調子は良くない。何か少しは食べておくかということで、ホテルの朝食へ。ナポリタン、ミートボール、サラダ、スープ、オレンジジュース。パンがいまひとつだったので、ナポリタンを主にしてみた。

軽くうとうと休憩をして、9時頃にホテルを出る。まずは新国立美術館へ。先頭から遅れること10分くらいで「ルーブル美術館展」に突入。



大混雑の1,2室を後回しにし、3室目以降から見たところ、それほどのストレス無く見ることができた。一言感想は、フェルメールの「天文学者」って地味だな。でも、予想もしていなかった名作が多かったので良かったということにしておこう。

クエンティン・マセイス「両替商とその妻」:金と信仰がないまぜになった二人を描いた興味深い作品。1514年の画だが、金属やガラスの細密描写、鏡像の細かさにびっくり。
マリヌス・ファン・レイメルスウァーレに基づく「徴税吏たち」:金に汚い下司野郎な感じと律儀なオジサン風の二人。生々しい作品。
ヘリット・ファン・ホントホルスト「抜歯屋」:歯を抜く大げさな表現と、そのすきにスリを働く男。

ピーテル・ブリューゲル1世「物乞いたち」:当時の物乞いであるから、全員からだが不自由なのである。精密で色彩豊かながら、かなり怖い作品だ。
ルーカス・ファン・レイデン「トランプ占いの女」:1508~1510年頃の作品なのだが、良くこれだけ色彩が鮮やかに残っているものだ。
フィリップ・メルシェ「手品師」:見物する上流階級側の光と、手品師の闇を対比して描いた作品。

シャルル・パロセル「象狩り」:狂象が大暴れし、ターバンの男たちが取り押さえようとする図。「魁!男塾」のような画風だ。
フランス・ファン・ミーリス1世「身づくろいをする女性と召使の黒人女性」:これも光と闇を表現。金属器と布の質感が素晴らしい。
フランソワ・ブーシェ「オダリスク」:これ、有名な作品だよね。

ジャン・シメオン・シャルダン「猿の画家」:これも知っている。なかなかの作品が来ているね。
ルイ=レオポール・ボワイー「アトリエでボナパルトの胸像を制作するアントワーヌ・ウードン」:上手さ世界レベルの作品が実に沢山あるのだ。


春の東京(6) 宗教画

2015年03月14日 14時32分48秒 | ART
まあ、一旦ここまでにしておき、国立西洋美術館の「グエルチーノ展」へ。観想を一言で言うと、デカイ宗教画満喫、というところか。作品数は他の画家を含めて44点しかなかったのだが、大きな作品が多くて、1枚ずつかなりの見ごたえがある。



「聖カルロ・ボッロメーオの奇跡」:目の見えない子の目が見えるようになった奇跡を描いた作品。天上界と子どものいる現実、足元の炎(地獄のイメージ?)と構造的な作品だ。
「聖三位一体」:左右にキリストと神、中央に精霊である鳩が描かれている。キリストと神の足は天使(胴体の無い不気味だが高級な天使)を踏んでいるかのように見え、何となく仏像の邪鬼を思わせる。
「幼児キリストを崇める聖母と悔悛の聖ペテロ、聖カルロ・ボッロメーオ、天使と寄進者」:縦長で上に聖母が描かれているのは、人物こそ伸びていないもののエル・グレコを思わせる。

「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」:ペテロの足元はかなりマッチョ。ルネサンスの名残でもあるのか?
「聖母被昇天」:ドラマティックな作品。こういうのが聖堂に映えるね。
「聖母のもとに現れる復活したキリスト」:聖母子というよりは、マリアのすがりつく様が男女の生々しさにも見えるのだが、錯覚だろうか?

春の東京(4) かなり地味

2015年03月14日 11時26分32秒 | ART
昨日から腰痛が発症。あまり無理せず、10時近くなってからホテルを出発する。まずは人形町から日比谷に移動し、三菱一号館美術館の「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」へ。感想を一言で言うと、かなり地味だった。

 

ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィルの浜辺風景」:上流階級の男女が大勢で浜辺に繰り出している図。豪勢である。
エドガー・ドガ「競馬」:ドガの色彩はちょっとした所だけでも際立っている。
ポール・セザンヌ「愛の争い」:セザンヌも遠くから見ただけで不思議と分かる。

オディロン・ルドン「ブルターニュの村」:カラフルな風景画。ルドンの多様な才能が分かる。
ジョルジュ・スーラ「《グランド・ジャット島》の習作」:画が小さく、相対的に筆のタッチが大きく見える。
ジョルジュ・スーラ「海の風景(グラヴリーヌ)」:こちらは筆のタッチが小さく、いろいろ試行錯誤していたのが分かる。絵の中に点描で額縁が書き込まれているのもスーラらしい。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー「芸術家のアトリエ」:コローも特徴的だ。
エドゥアール・マネ「タマ、日本犬」:絵の中に「TAMA」とローマ字で書き込まれている。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「カルメン・ゴーダン」:小品ながらいい。

アントワーヌ・ヴォロン「バターの塊」:油彩でギラッとバターを描いたもの。さすがに日本にこの発想はない。
アンリ・フォンタン=ラトゥール「皿の上の3つの桃」:背景の木の色が圧倒的で、桃の境界線が曖昧になっている。
ポール・セザンヌ「3つの洋梨」:普通に洋梨を描いて、まさしくセザンヌ。

エドゥアール・ヴュイヤール「コーヒーを飲む二人の女性」:モザイク画のようで、遠近感も不明な作品。
ピエール・ボナール「画家のアトリエ」:室内風景で、カイユボットを思わせるところがある。今回、ヴュイヤールとボナールは「アンティミスト(親密派)として紹介されていたが、確かに非常に個人的な視点で作成されているように見える絵画であった。

※途中で展覧会とは別にルドン「グラン・ブーケ」が展示されていた。248.3×162.9と巨大な花の画なのだが、色彩と形が結実したなかなかの傑作に感じられた。(2015.3.21追記)