かみつけ岩坊の数寄、隙き、大好き

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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

「出版不況」という見方はおかしい

2008年06月06日 | 出版業界とデジタル社会
「クローズアップ現代」についての記事
http://d.hatena.ne.jp/beniya/20080604

あたりまえのように誰もが「出版不況」と見ているが、今の業界の低迷は、「不況」といった表現の性質のものではない。
今ある現実は、「好況」「不況」といった景気循環のようなものではなく、
出版業界に限らず1995年頃をピークにして、明らかに市場縮小化の構造に転換した結果だ。

まだ業界で改善しなければならないことや、打つべき手だてはたくさんあるが、構造そのものは、「不況」といった性質のものではない。

POSデータによるランク依存の問題も、実態はPOSが悪いのではなく、
データのベスト10にばかり偏重していることが問題なので、
2、300坪以上の大型店でも、POSデータ100位から500位レベルの良書をきちんとマークして仕入れが出来ていない店があまりに多い。

鈴木敏文が昔から強調しているようにPOSデータをきちんと読めば、店は個性化する。

市場縮小の時代に入って、みかけの売り上げ維持のために、売り場面積の拡大と新刊刊行点数の増で、経営数字をごまかしているだけのこと。

業種を問わず、今の現実を「不況」といった表現で見ている人たちは、いったい何を待っているのだろうかと思ってしまう。
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4 コメント

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POSを読む (べあ&りーちぇ)
2008-06-13 23:02:24
こんにちは。
投稿は初めてなのでどうやって書いていいか分からないのですが…
POSの100位から500位レベルの良書をきちんとマークするために、POSを読む と書かれていましたが、実際にはどうやってやればいいのですか。
最近文芸のサブから担当へと出世した者です。
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コメントありがとうございます。 (かみつけ岩坊)
2008-06-14 00:45:22
データの読み方は、現実にはお店の規模やシステムなどによって違うかと思いますが、個々の店のデータとしてではなく、共通のデータとして説明するとしたら講談社の受注システムがあるかと思います。
講談社はご存じかと思いますが各ジャンルごとにベスト100位までのランクを週単位の変化で公表しています。このデータをすべてチェックするのは大変ですが、このただ1社のデータのうちの上位から自店の客層にあった商品をチェック仕入れするだけで、かなり商品の打率が上がります。これをそれぞれのジャンルの新刊発売集中日直後にきちんとするレベルのことが、悲しいかな多くの店で出来ていないのが実情です。店の特徴をふまえて自分の得意領域などで、これらの作業をコマメにしていくと、パターン配本に依存することがいかにムダな仕入れをしているかも見えてきます。
大手書店であっても、自店のPOSデータ一覧の上から順に500位までを出力してもあまり意味はないかと思います。自分の店に無い売れる商品のデータを探すことの方が大事だからです。えてして文芸書などは、目利きでないと無理であるかに思われがちですが、お客さんの欲しがっているもの、ニッチでも市場性のあるものを適正在庫で仕入れることは、小売業の仕事の核心部分です。そこに手を入れないで物流業務だけに追われている店があまりに多いのを感じています。
簡潔にうまく説明できませんが、このことは、また改めて詳しく書く機会もあるかと思います。
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補足 (かみつけ岩坊)
2008-06-14 01:06:14
もうひとつだけ補足します。よく金太郎飴化した書店の原因をPOS依存体質に求める議論を聞きますが、お客さんから見て金太郎飴に見えるという現実は、実際には店頭に同じ本があるということよりも、その真意は、そのお客さんの興味のある本がほとんど見あたらないということにあるのだと思います。
多くの書店は、ベスト10は追いかけても、11位から500位は追いかけないまま、まったくランクにもない配本された商品を優先した棚になってしまっているのです。悲しいかな月商3千万円以上のお店でもそうした例は少なくありません。パターン配本に依存せず、ランクに基づいた仕入れをすると、店は必ず個性化してくるものだと私は確信しています。
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ありがとうございました (べあ&りーちぇ)
2008-06-14 09:40:16
確かに普段の発注作業は完全なルーティンワークで無条件にランクの上位を入れてるだけですね。

このご返事は今POしました。じっくり読んでみます。
日々の発注の仕方や方法も変えていこうと思っているので、今後も色々と教えてください。

ありがとうございました。
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