英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

インドネシアの森林焼き、地球の環境破壊に貢献   健康被害をもたらす

2015年11月11日 12時44分25秒 | 地球環境・人口問題
 『人類は「2010年4~10月のメキシコ湾での」ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)の原油流出事故以来最大の人災をインドネシアで目撃している。それは森林焼きであり、企業がむやみやたらに燃やしている。原因は森林を焼いて平地にし、ヤシ油と紙製品をつくりだすプランテーション産業を創設することにある。他の方法よりも75%安くつくという」
 英紙「ガーディアン」がこう報じ、気候変動枠組条約締約国会議が間もなくパリで開かれるに際し、英米が関心を寄せるよう呼びかけている。しかし、日本の大手紙は、筆者の知るかぎりでは、この問題を大きく報じていない。
 多国籍企業や地元企業による野焼きがスマトラやボルネオの一部で行われており、深刻な煙害をインドネシアのカリマンタン(スマトラやボルネオの一部)、隣国マレーシアやシンガポールにもたらしている。さらにはタイやフィリピンまで煙が達している。学校は閉鎖され、インドネシアの6県は非常事態令を宣告した。
 インドネシア国民のうち4千万人が煙害の被害を受けており、19人が死亡。東南アジアでは、煙害による健康被害が50万件に上っている。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の森林火災をモニターしている「グローバル・フォレスト・ウォッチ」によれば、今年だけでインドネシアでは12万7千件の森林焼きが行われた。1997年以来最悪の状況だという。
 自然発生の森林火災と違って野焼きには、泥炭などの有害物質が使用されているため、自然発生の森林火災より200倍もの温暖化効果をもたらす、と地球環境保護団体が警告している。
 カリマンタンなどでは健康被害が深刻で、マスクは住民にかかせない必需品になっているという。カリマンタン島中部カリマンタン州のパランカラヤ市が最も深刻な煙害被害を受けており、「企業の貪欲な利益追求がインドネシア国民の健康をむしばんでいる」。
 インドネシア当局は不法な森林焼きをした会社の幹部を逮捕しており、その中には森林伐採会社大手「アジア・パルプ・ペーパー」も含まれる。
 インドネシア民間機関の調査によれば、今年だけで16億2000万メトリックトンのCO2が輩出されており、この4カ月間だけのCO2排出量が、世界のインドネシアCO2排出量ランクを第6位から4位に押し上げた。ちなみに1位は中国だ。
 10月26日現在、過去56日間のうち38日間に排出したインドネシアのCO2排出量は、同期間の米国の排出量を上回っている。
 地球温暖化現象をもたらした大部分の責任は人類にある。人間の物欲などの欲が地球の環境を悪化させているのは間違いない。人間は、目の前に何らかのネガティブな事実が現れるまで、他人事だと考える習性がある。
 それが人間の本質だと言えばそのとおりだが、それを言っては身もふたもない。日本の新聞各紙がインドネシアの煙害被害を取り上げていないのは、日本の読者にとりニュース価値がないと見ているからだろう。
 他人事だと思っているうちに、インドネシアの煙害が日本列島まで届くようなことにでもなれば、中国での都市部の工場煙害とのダブルパンチを受ける。もはや世界は1世紀前のように、他人事を許さない。
 きれいな地球環境の維持について、われわれ一人一人がもっと関心を示し、もっと大きな声を世界に上げなければ、遅かれ早かれ、人類は滅亡するだろう。世界中の民族や人々は同じ船(地球)に乗っていると自覚すべきだ。インドネシアの煙害がこのことを教えている。

写真 衛星写真 左下がシンガポール、マレー半島。右がボルネオやスマトラ

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