日本人は少子高齢化の問題に向き合ってから久しい。難問に向き合っていると言い換えた方がよいだろう。。APが4~5年前、高齢化に関する国連の世界報告書を伝え、「世界はいまだ高齢化に対応できていない」と強調したが、この報告書は現在でも腐っていない。
この国連報告書によれば、大多数の国は、増加する高齢者への対応に取り組んでいるが、世界の高齢化はその取り組みよりも速いスピードで進行している。専門家は、各国の老齢化の進行は想像以上に速く、政府の対応は鈍いと警告する。
2050年までには、歴史上はじめて60歳以上の人口総数が15歳以下の人口総数を上回る、と国連は報告する。
ベトナム人のトォン・テェン・タオさんは数年前、AP通信社の取材に答え、「わたしのような歳の人間はリタイアーすべきでありますが、わたしは生活のためにまだ働いています。私の妻とわたしは年金がありません。健康保険もありません。病気にならないようにいつも気を付けています。もし病気になったら、どのようにして治療費を工面するか見当もつきません」と話した。
タオさんは首都ハノイの裏道の一角で雑貨屋を経営し、タバコ、紅茶、チューインガムなどを売っている。タオさんは65歳で妻は61歳。月に稼ぐ50ドル(約5000円)で生活している。午前6時に店を開け、午後2時に妻と交代する。
日本人にとってもタオさんの発言は他人事ではない。少子高齢化で、若い日本人が父親や祖父母と同じ年金や医療保険制度を政府から受けられる保証はない。若者が老齢に達した時、日本経済は衰退しているのは必至。現在1000兆円以上に達した莫大な借金が、政府の将来の甘い財政見通しから、若者の老後を圧迫し、悲惨な状態に陥る可能性は否定できない。
国連報告書の驚く点は「最も速い速度で老齢化しているのは開発途上国である。ヨルダン、ラオス、モンゴル、ニカラグア、ベトナムのような途上国は2050年までに(60歳以上の)老人人口は若者の3倍以上に達する」
国連報告は、国連、世界保健機構(WHO)、世界銀行やほかの主な国連機関の資料からはじき出しているという。所得、健康度、教育、雇用、そして各国の老人に対するケアー(とりくみ)度などの資料を分析した。
国連報告はもう一つの問題を提起している。「老いて健康でいられるか」「病気や痴呆の中で老いるのか」「安定した生活の中で老後の生活を送れるのか」。報告書はわれわれに色々な、複雑な老後の問題を投げかけている。
年金や公的医療費、住宅サービスなどを提供する日本のような国は世界中を見渡してもまだ少ない。たとえばアフガニスタンでは年金も公的医療も何もかもない。平均寿命は男性59歳、女性61歳。日本より約20歳若い。
BRICSといわれる経済発展が著しい中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカはどうか。老齢制度はBRICSより貧しいウルグアイやパナマよりも貧弱だという。
老人の医療制度や年金制度などのケアーが最も充実したスェーデン、ノルウェー、ドイツではその制度を維持するために、税金負担が重いし、老人の就労を政府は勧めている。これに対して不満をいう国民もいるという。
日本政府は原発、少子高齢化、年金、保険制度、老人介護制度、消費税増税など互いに密接に絡み合った問題を解決していかなければならない。国民の痛みを強いる長期的な戦略が必要だ。国民もその痛みを理解し分かち合わなければならないと思う。
長期的な思考能力、時を見据えた思考・観察眼が試されている。もし政府や国民が目先の損得や既得権死守ばかりに心を奪われていると、若者の老後は暗い。
この国連報告書によれば、大多数の国は、増加する高齢者への対応に取り組んでいるが、世界の高齢化はその取り組みよりも速いスピードで進行している。専門家は、各国の老齢化の進行は想像以上に速く、政府の対応は鈍いと警告する。
2050年までには、歴史上はじめて60歳以上の人口総数が15歳以下の人口総数を上回る、と国連は報告する。
ベトナム人のトォン・テェン・タオさんは数年前、AP通信社の取材に答え、「わたしのような歳の人間はリタイアーすべきでありますが、わたしは生活のためにまだ働いています。私の妻とわたしは年金がありません。健康保険もありません。病気にならないようにいつも気を付けています。もし病気になったら、どのようにして治療費を工面するか見当もつきません」と話した。
タオさんは首都ハノイの裏道の一角で雑貨屋を経営し、タバコ、紅茶、チューインガムなどを売っている。タオさんは65歳で妻は61歳。月に稼ぐ50ドル(約5000円)で生活している。午前6時に店を開け、午後2時に妻と交代する。
日本人にとってもタオさんの発言は他人事ではない。少子高齢化で、若い日本人が父親や祖父母と同じ年金や医療保険制度を政府から受けられる保証はない。若者が老齢に達した時、日本経済は衰退しているのは必至。現在1000兆円以上に達した莫大な借金が、政府の将来の甘い財政見通しから、若者の老後を圧迫し、悲惨な状態に陥る可能性は否定できない。
国連報告書の驚く点は「最も速い速度で老齢化しているのは開発途上国である。ヨルダン、ラオス、モンゴル、ニカラグア、ベトナムのような途上国は2050年までに(60歳以上の)老人人口は若者の3倍以上に達する」
国連報告は、国連、世界保健機構(WHO)、世界銀行やほかの主な国連機関の資料からはじき出しているという。所得、健康度、教育、雇用、そして各国の老人に対するケアー(とりくみ)度などの資料を分析した。
国連報告はもう一つの問題を提起している。「老いて健康でいられるか」「病気や痴呆の中で老いるのか」「安定した生活の中で老後の生活を送れるのか」。報告書はわれわれに色々な、複雑な老後の問題を投げかけている。
年金や公的医療費、住宅サービスなどを提供する日本のような国は世界中を見渡してもまだ少ない。たとえばアフガニスタンでは年金も公的医療も何もかもない。平均寿命は男性59歳、女性61歳。日本より約20歳若い。
BRICSといわれる経済発展が著しい中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカはどうか。老齢制度はBRICSより貧しいウルグアイやパナマよりも貧弱だという。
老人の医療制度や年金制度などのケアーが最も充実したスェーデン、ノルウェー、ドイツではその制度を維持するために、税金負担が重いし、老人の就労を政府は勧めている。これに対して不満をいう国民もいるという。
日本政府は原発、少子高齢化、年金、保険制度、老人介護制度、消費税増税など互いに密接に絡み合った問題を解決していかなければならない。国民の痛みを強いる長期的な戦略が必要だ。国民もその痛みを理解し分かち合わなければならないと思う。
長期的な思考能力、時を見据えた思考・観察眼が試されている。もし政府や国民が目先の損得や既得権死守ばかりに心を奪われていると、若者の老後は暗い。