英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

寝不足はアルツハイマー病への道 

2021年06月21日 22時07分32秒 | 生活
 少子高齢化の日本では、間もなく「団塊の世代」の人々は75歳に達し、後期高齢者の仲間を入りする。彼らは太平洋戦争直後に生まれた世代。彼らの父親の多くは招集され、太平洋戦争の最前線に立った。
 戦争が終わり、戦場から帰還した男性は結婚、子どもをもうけた。ベビーブームが訪れ、赤ちゃんが生まれた。1947~1949年に生まれた人々を「団塊の世代」と呼ぶ。
 小中学校での「団塊の世代」の一クラスは50~60人で、15クラスあった。現在の小中学校の生徒は多分、信じないだろう。
 とにかくほかの世代より断トツに多い世代だ。彼らが間もなく後期高齢者になる。これから、当然、孤独死や認知症の人々が多くなり、高齢者施設が足りなくなるだろう。アルツハイマー病の患者も多くなる。
 睡眠不足は、アルツハイマー病につながりかねないとしたらどうでしょう? 米国立衛生研究所(NIH)の薬物乱用研究所(NIDA)所長のノラ・ボルコウ博士らが、2年前に科学雑誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に発表した論文などを参考に、「睡眠とアルツハイマー病」について話す。
 アルツハイマー病を患っている人は、「アミロイドβ」というタンパク質がたまっている。これは脳の活動に伴う老廃物、もっと簡単なことばで言えば「ゴミ」だ。「アミロイドβ」が蓄積すると、神経細胞の働きを妨げる。アルツハイマー病が発症するリスクが高まる。
 脳とつながっている脊髄(せきずい)の内部の液体(脊髄液)の成分を、男女101人(平均年齢63歳、女性65.3%)で検査した。その結果、夜間の睡眠の質が悪く、日中の眠気が深刻だった人たちは睡眠障害のない人たちに比べて、アミロイドβなどアルツハイマー病に関連するとみられる物質が脊髄液中に多いことが分かった。
 またマウスなどの動物実験でも、動物を強制的に慢性的な睡眠不足にさせると、アミロイドβが増える。アミロイドβが脳から取り除かれるのは、主に睡眠中だとの結果が出ている。一晩、20人が徹夜をしただけでも、全員のアミロイドβの量がよく寝た日と比べて約5%増えたという。
 人間の脳内のどこでアミロイドβが増えたかを観察すると、主に右の「海馬」や「視床」だと分かった。「海馬」は記憶を担う場所、「視床」は、目や耳などから入ってきた情報の中継点となる場所だ。
 薬物の研究者のボルコウ博士はハーバード大学の講演で、「コカインは睡眠を妨げる薬。動物にコカインを与えると眠れなくなり死亡する。一方、コカインなしでも睡眠不足になると、薬物で起きるのと同様な「記憶の破壊」と「覚醒の抑制」「肥満」などが生じる」と語る。
 ボルコウ博士は、今回の研究結果にも触れ「徹夜で生じたアミロイドβの増加は、翌日の夜、ぐっすり眠れば元に戻るかもしれない。しかし、睡眠不足が続けば危険なレベルになる可能性がある」と警告した。そして「睡眠は脳の回復に重要な役割を果たす。その証拠は明らかだ」と訴えた。
 では、眠り過ぎはどうか。これもダメ、短命になるという。われわれはの睡眠時間は7~8時間が適しているということになるのだろう。