英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

ブラジルW杯と日本チーム

2014年06月15日 13時52分34秒 | スポーツ
 生活水準向上をめぐるブラジル国民の政府への不満を横目に見ながら、待望のW杯が始まった。開幕戦のレフリーは日本人。PK判定をめぐってクロアチアの監督が記者会見で西村雄一主審を批判した。筆者はサッカーの素人ファンだが、クロアチアの選手の手がブラジルの選手の体を掴んでいたようにも見える。「誤審」かどうかは分からないが、もし「誤審」なら、それもサッカー試合の一コマである。西村氏は日本人らしく、誠心誠意、フェアープレーの精神で審判を務めたことだけは確かだ。
 日本時間の15日午前10時から行われた日本―コートジボアール戦では、ドログバ一人に日本選手はやられたように感じた。36歳の国民の英雄は、日本人、コートジボアール両選手の中でひときわ目立ったプレーをしていた。何よりもサッカー場全体を見渡し、両チームの選手全体の動きを一瞬のうちに把握して的確に走っていたように思う。軍人に例えれば戦略眼に富んだ、すばらしい人物となる。コートジボアールの勝利を祝福する。
 日本チームは敗北した。1次リーグ突破の可能性は著しく低くなった。ギリシャはともかくコロンビアは強敵だ。その上、南米で開催しているため、地の利がある。だが日本チームが最後の最後まであきらめずに、フェアプレーの精神でこれからも戦ってほしい。
 イングランドもイタリアに2-1で敗れた。イングランドチームも最後まであきらめずに全力をだした。イングランド人(英国人)のスポーツへの姿勢はゲームを楽しみ、勝ち負けは2番目に重要だという。そしてフェアプレーの精神の重要性を心に秘める。
 20世紀の英国の作家アンソニー・グリンは「公平な考えは人生のすべてには規則があるという前提から来ている。ルールを無視したり、侵害すると、『アンフェア―』『スポーツマンらしくない』『それはクリケットに反する』となる。英国人にとり、規則から免除される者は誰もいない。たとえボス(国王や首相)であっても、自分の好きなように法律を起草することはできないし、自分に都合のよいように法律を改正することもできない」と述べた。
 また、英国のジャーナリスト、ジェレミー・パックスマンもこう話している。「英国人はユーモア―の感性を誇ると同時に、フェアプレーに対する情熱を誇る。これは英国の国民性のうちでもっとも大きな、核心的な性格である。英国人が政治思想や政治制度対する世界への貢献は『フェアーな精神』の確信から由来している。公平な精神を持った人々はすべてにおいて正しいという信念である」
 スポーツ言語はイングランド人の国民意識に深く根を下ろしている。今日では少しばかり時代遅れになっているが、男性や女性に「グッド・スポーツ」と言えば、それは褒め言葉だ。グード・スポーツ」と褒められる人は、自分の敗北を認め、最高の人が勝利したと発言できる人である。
 クリケットの名選手のロバート・ウィンダーが1960年代にインドで同国と国際試合した。その時の感想をこう述べている。「英国人はスポーツを楽しむ。しかしインド選手は国家の威信をかけて戦っている。敗北したら自殺するのではないかと心配だ。西インド諸島(カリブ海)の選手はチームが敗れたら、地球が今晩なくなるような嘆き方をする」と語っている。
 日本人も日本人選手もW杯を楽しんでほしい。筆者も楽しみたい。おせっかいかもしれないが、韓国人もそうあってほしい。韓国人は勝ち負けにことのほかこだわり、民族至上主義を露骨に表す。ロンドンオリンピックでの韓国人サッカー選手が日の丸をかざして「竹島(独島)」の韓国領有権を主張。今年開かれたソチ冬季五輪でもフィギュアスケートで、ロシアの選手が金メダルをとり、韓国のキム・ヨナ選手が2位だった。韓国人は不満で、国際スケート連盟に提訴した。この行動に対して韓国人の6-7割は賛成している。さらに、フィギュアスケートの世界選手権で日本人の浅田真央選手が優勝すると、キムがいなかったから1位になれたと言っていた。これに対し、日本人や中国人から批判がわき起こった。
 韓国人を観察すると、情緒的で感情的な国民性のため、衝動的な行動に走るようだ。日本人が絡むと、過去の歴史問題(植民地問題)が彼らの感情を倍加させ、激情へと走らせている。韓国の新首相に指名された韓国紙、中央日報元主筆の文昌克(ムン・チャングク)氏が、朝鮮半島の日本による統治や南北分断について「神がわが民族に与えた試練」と発言したことなどで、徹底的な袋だたきに遭っている。
 文氏の発言は、「神」がしたかどうかは分からないが、歴史を真摯に見つめている。朝鮮王朝末期に言及し「朝鮮民族の象徴は怠けること。怠惰で自立心に欠け、他人の世話になること。それが民族のDNA(遺伝子)として残っていた」と述べた。(産経 6月15日付朝刊)
 フェアプレーを称賛できる民族は、冷静で客観的な観察眼を持っている。他人と比較して優劣をことのほか強調する文化を持っている韓国の国民性は感情的で、客観的にものごとを見る観察眼に乏しいようだ。われわれの国民性も情調的な側面がある。それを否定できない。
 W杯で、各国チームがフェアプレーの精神でこれから1カ月間戦って、素晴らしい大会にしてほしい。日本人も韓国人も勝ち負けにこだわらず、すばらしい試合を楽しんでほしい。