英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

極貧な生活から抜け出せない人々は世界に12億人

2013年11月14日 16時33分58秒 | 生活
 歳月はたつのが早い。もう1カ月が過ぎた。相変わらず、わたしのくだらない持論を読んでくださっている読者の皆様に感謝します。このひと月はプライベートでいろいろなことがあり、忙しかった。母が92歳になり、11月9日には母の住む街、浜松で誕生日を祝った。祝ったのはわたしだけ。当然と言えば当然な話ですが・・・。フランスレストランで母と食事をした。そこで見知らぬ親子から一輪の花を母が頂いた。最初驚いたが、92歳の母は心温まる気持ちになったようで、わたしもうれしくなった。日本人の優しさと心の温かさを感じた。われわれは失ってはならない心の宝だろう。
 こんな気持ちになれるのも、日本人が勤勉で、正直、努力の民族だからだと思う。そして豊かな生活をしている。日本社会を基準にすれば、生活が苦しくたいへんな毎日を過ごしている人々が何百万人もいることを理解しているが、世界にはわれわれが想像を絶する困窮の中で暮らしている人々がいることも忘れてはならない。
 フィリッピン国民は、100年に一度か二度来襲するかどうかわからない強烈に強い台風にやられ、何千人もの人々が亡くなったようだ。この国の経済成長はここ数年著しいものがあるが、それでも比国国民の生活水準は世界の中ではそんなに高くはないだろう。
 確かにこの30年間、極貧生活を強いられている世界の人々の人口は驚くほど減った。それでも7億2100万人の人々は1日に1.25ドルで生活している。日本円に換算して約125円。このようにAP通信は世界銀行が発表した報告書を報じている。米国で貧しいと定義される人々の生活は一日60ドルという。この数字だけ見ても、世界にはわれわれが考えることができない極貧な人々がいる。
 世銀によれば、約12億2000万人は極貧な生活から抜け出せないでいる。そのうち4億人は子ども。極貧に甘んじている3人に1人は13歳以下の子どもだ。国でいえば、バングラデシュ、ハイチ、チャド、ケニアなどだ。この国に住んでいる貧しい人々の生活を向上させなければ、世銀の目標である2030年までの「極貧撲滅運動」は成就しない。
 世銀は次のように報告している。「確かに中貧国ーパキスタン、ウクライナ、チリーの極貧な人々の数は1981年から50%減少した。また中国やインドの非常に貧しい人々も減少した。しかしそれとは対照的に35の低所得国の極貧人口の減少は大きく減らず、33%以下でしかない。最貧国の極貧人口は1億300万人も増えた。低所得国35カ国のうち26カ国はアフリカ諸国だ。開発途上国の極貧な人々の生活は30年前となんら変わっていない」
 極貧な中で生活している人々は自助努力だけではそこから抜け出せない。だからと言って自助努力もせずに「ぼんやり」と他人の援助だけを期待してもそこからぬけだすことはできないだろう。自助努力と援助がうまくかみ合えばよいのだが、そんなにうまくいくはずもない。どうして極貧から抜け出せないのか。多分、それぞれの国民の歴史の中に答えがあるのかもしれない。国民性の中に答えを見いだせるかもしれない。
 なぜ日本が豊かなのか。戦後の荒廃した社会と貧しい生活から日本人はなぜ抜け出せたのか。明治以来、欧州列強の植民地からなんとか逃れて、国力と見合わない背丈以上の地位を戦前に得て5軍事大国にまでにのし上がった。
 この解答は日本史の中にあると思う。しかし日本人ほど歴史に無頓着な国民はいない。日本人はもっと自国の歴史を紐解いて自らを見つめなおすべきだろう。そうしてこそ、地に足がついた援助を開発途上国の人々におこないことができると思う。