hiyamizu's blog

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井形慶子『突撃! ロンドンに家を買う』を読む

2011年05月11日 | 読書2
井形慶子著『突撃! ロンドンに家を買う』2010年12月講談社発行、を読んだ。

世界一住宅が高いロンドン、その中でも屈指の高級住宅街ハムステッドに、著者の生涯の夢である家を買うまでのノンフィクション。

日本と違う英国での不動産事情が面白い。

●家は数百年持つ、持たせる。古いほうが価値がます。(英国には地震がない)

●土地柄に価値がある。中はいくらでもお化粧直しで変わるが、ロケーションは動かせない。
(ロケーションのグレードが重要。英国はいまだに歴然とした階級社会だ)

●家屋調査のプロ(サーベイヤー)が中古家屋の価値を査定し、細かい問題点を指摘する。最終的契約は互いの弁護士間で行う。100年も150年も使える家はこうでないと。
(不動産取引に伴う不明瞭なところが少なく、業界が成熟している)

土地の所有形態に二つある。
●フリーホールド:土地や建物の権利は永続的に所有者にある。増改築が自由にできる。
●リースホールド:土地や建物の権利はオーナー(個人、会社)が所有。
内装、外装の修復もオーナーの許可が必要。
リースホールド(借地権)期間は数10年から999年で、90年以下だと銀行融資も困難。
 (999年とは! 90年以下(!)だと将来の売却が困難になる)



英国では初対面の人もバックグラウンドを5分で見分ける方法がある。
一つは英語のアクセント。そしてもう一つがどこに住んでいるかを尋ねることだ。

ブランド物で着飾ってもだめ。

英国の住宅の形態は主なものだけで8種類。例えば、コンバージョンフラットは、大きな家(例えば築100年以上のヴィクトリア朝屋敷)を階ごとに区切り、玄関や階段は共有で、各階住居にドアを付けフラットに分ける。

米のボストンコンサルティンググループによると、世界的傾向として経済格差、富の集中はますます進行しているという。金融資産100万ドル以上を持つ富裕層を最も多く抱えているのは、アメリカがトップで471万世帯、2位は日本、3位は中国、4位はイギリス。



井形慶子
長崎県生まれ。19歳の時、旅したことがきっかけでイギリスに魅了される。
大学を中退後、出版社に勤務。28歳で出版社を立ち上げ、英国の生活をテーマにした情報誌『ミスター・パートナー』を発刊。
『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』『老朽マンションの奇跡』など、イギリス関係の著書や家のリフォーム、インテリア関係などの著書多数。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

日本にいて、あの物件、この物件とインターネットで検索し、現地に行き様々な物件を飛び回り、一喜一憂する。延々とこの話が続くなかに、関連した形で英国の不動産事情、社会の仕組みの解説が挟まる。

英国、とくにロンドンの階級社会の実情が分かるが、家さがしを何回も経験した私には物件に裏切られ続ける物語の部分は新鮮味がなかった。
こんな話で本一冊かく著者はすごい。


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