上野千鶴子、田房栄子著「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」(2020年1月20日大和書房発行)を読んだ。
日本の何が問題なのか?
母娘問題、セクハラ、結婚・恋愛・子育て、団塊世代と大学闘争、性暴力などについて徹底的に語り合った7時間!
・日本の女が大変なワケ
・世代でくくると見えてくるもの
・結婚、恋愛、ナメんなよ!
・子どもを産むのは親のエゴイズム
・オヤジは再生産される!?
・性暴力は女性ではなく男性の問題
・私たちは山ほど洗脳されている!
「私たちの年齢(72歳)で「負け犬」「おひとりさま」の女性って人口の3%しかいない。」
「学生運動とそのシンパ(同調者)だった人たちは大学生のほぼ2割程度。約2割が反対して、後の6割がノンポリ」
「次三男は、婿に出る以外に、基本は結婚できない。長男一家の働き手として生きていくしかない。田んぼを分けることを「田分け」って言うんだけど、「たわけもの」はそこからきた言葉。」「高度成長期になると、この人たちは都会へ出て所帯をかまえることができるようになるんだけどね。」
「抑えても抑えても、抑えきれなくててね。私ある時、死の床にある母にふっと言ったの。『お母さん、私ね、この家を出て、自分を育て直したのよ』って。ほんとに必死の思いで。生まれてはじめて口にしたの。…その時の母の言葉に驚愕したよね。『なら、私の育て方がよかったんじゃない』って。」
ミソジニーとは、男にとっては『女性蔑視』、女にとっては『自己嫌悪』
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
上野さんのわざと反感をかって刺激するような言動と、田房さんの柔らかだがポイントを付く表現が相まって、面白い対談だ。
加えて、田房さんの日常から立ち上る質問に対し、フェミニズムの流れの中で問題を捕えて解説する上野さんの話も分かりやすく、ためにもなる対談になっている。つまり、身近な家庭内の例が取り上げられていて、共感に繋がり、それが世の動向の中で解説される。
フェミニズムの主張、反感と失敗、時代の流れも率直に解説されている。その中で、上野さんの、若い世代に引き継げなかったという悔恨の思いが何か所も出てくる。
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年東京都生まれ。漫画家、ライター。母からの過干渉に悩み、その確執と葛藤を描いたコミックエッセイ
『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)がベストセラーに。
主な著書に『ママだって、人間』(河出書房新社)、『キレる私をやめたい~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』(竹書房)、『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』(大和書房)など。