hiyamizu's blog

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五木寛之『下山の思想』を読む

2012年05月28日 | 読書2

五木寛之著『下山の思想』幻冬舎新書240、2011年12月幻冬舎発行、を読んだ。

裏表紙にこうある。
・・・再生の目標はどこにあるのか。再び世界の経済大国をめざす道はない。敗戦から見事に登頂を果たした今こそ、実り多き「下山」を思い描くべきではないか、と。・・・


「おわりに」にはこう書かれている。
私は必ずしも暗い気持ちで下山の時代を見ているわけではない。むしろ必死で登山をしている時よりも、はるかに軽い気持ちで下山について語っているつもりだ。のびやかに明るく下山していくというのが、いまの私の、いつわらざる気持ちだ。


最終章「ノスタルジーのすすめ」は、昔話で、本書の趣旨からは外れている。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

私のように最初からあきらめている人にはスイスイと読める。題名が誇大で、思想ではなくエッセイだ。通勤電車の20分の往復で読めてしまう。

ネットでの評判を見ると、年寄の書で、若い人には害毒のある書との評がある。
国全体はあきらかに経済的に下り坂なことは否定しがたい。しかし、国家全体のアウトプットはゆっくり下がっても、大きな図体の中の無駄を省き、効率的にすれば、考えられないほどのメリットが生まれるはずだ。これからは規模の拡大より高効率だ。社会の細かいところまで充実した仕組みが備わっているのが成熟国家というものだ。
その中で若い人や上昇志向の人はチャレンジすればよいし、疲れた人や年寄は下山を楽しめば良い。

年間3万人を超える自殺者が注)が最近12年間続いている社会は病んでいる。



五木寛之(いつき・ひろゆき)
1932年9月30日(石原慎太郎と同じ)、福岡県生まれ、旧姓松延。
生後まもなく朝鮮に渡り、1947年に終戦で日本へ引揚げる。
早稲田大学第一文学部露文学科入学、中退。
PR誌編集者、放送作家、作詞家、ルポライターなど。
1965年の岡玲子と結婚して親戚の五木姓を名乗る。ソ連・北欧へ新婚旅行に行く。
1966年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞
1967年「蒼ざめた馬を見よ」で直木賞
1976年「青春の門・筑豊編」で吉川英治賞
その他『大河の一滴』『親鸞上・下』『人間の関係』『ふりむかせる女たち』『人間の運命
昔々、トリローグループ(「三木鶏郎をご存知ですか?」)で「日本盛は良いお酒」「日石灯油でポッカポカ」などCMソングの作詞をした。その後も「愛の水中花」などの作詞もしている。
妻の五木玲子は露文科の同窓生だが、後に医師となった。近年、版画を製作し、「他力」など五木寛之の作品の挿画として用いられている。



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