ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~大人の鑑の、大きな亀裂~

2012-09-12 | 散華の如く~天下出世の蝶~
道があるなら、進むしかない。
軍師不在の今、
帰蝶「我らの手で、軍師を育てるしかなかろう」と、
殿のお好きな書物を持って来た。
『三国志』
諸葛孔明のような軍師を目指す子が育てば、勝機逸する。
「これを読ませれば、」
養徳院「難しいでしょう」
帰蝶「しかし、殿はこのくらいの歳には、」
養徳院「殿は、殿…」
ちらりと、ひとり大きな体を小さく、小さく丸めた男子を見た。
視線の先には、ヤスケがいた。
帰蝶「ヤスケは、ヤスケ…」読解力に差が有り過ぎる。
養徳院「話す内容は、辛うじて理解出来るようですが、」
書物を読み、書きするは困難。
大きな図体で風貌から年齢よりも上に見えるが、新吾と同じく十二、三歳位。
しかし、未だ言葉もままならず、周囲と馴染めず、孤立していた。
子は子供なりに、身分階級制度が意識下で形成されているようで、
上は同格以上と遊び、下は下で戯れる。そして、
異成る者を徹底的排除、居ない事にする…無視。
帰蝶「なんという事か…」
大人の作り上げた鑑(かがみ)には、大きな亀裂が出来ていた。
差別…。
私は、間違っていた。
ヤスケの素性を哀れに思うが故に、
「ヤスケを子供たちの中にお入れ下さい」と殿に進言した。
言葉の習得も子供たちと遊ぶ事で早くなると、他の子供たちと同じ扱いをすれば…。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
養徳院「何処かで、聞いたのでございましょう…」
元 奴隷が殿にその才を買われ、今や奥方のお気に入り。


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