核禁条約初会議 日本不参加でいいのか (中日新聞)

2022-06-20 10:04:37 | 桜ヶ丘9条の会

核禁条約初会議 日本不参加でいいのか

2022年6月20日 中日新聞
 昨年発効した核兵器禁止条約の初めての締約国会議が二十一日から三日間、ウィーンで開かれる。核兵器使用が現実味を帯びる中、禁止を訴える意義は大きい。
 日本政府はオブザーバー参加の見送りを正式表明したが、唯一の戦争被爆国である日本の知見が今こそ、求められているのではないか。再考を促したい。
 核兵器を巡る環境は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、大きく変わった。ロシアのプーチン大統領は核兵器使用を示唆し、核の恐怖が世界を覆っている。
 北朝鮮は七回目の核実験の準備を終え、指導者の指示を待っているという。日本では米国の核兵器を日本が共有する「核シェアリング」も浮上している。
 核兵器を巡るこうした緊張の高まりを反映して、スウェーデンのシンクタンクは近ごろ、核兵器の使用リスクが冷戦後で最も高くなり、これまで削減が進んできた核兵器の数が、今後は増加に転じるとの予測を発表した。
 核廃絶に向けた具体的な行動をとらなければ、核軍拡が加速し、核兵器が多くの人命を奪う最悪の事態を引き起こしかねない。
 今回の締約国会議では、核廃絶の手順や核実験を含む被害者への支援、環境汚染の修復を巡って討議する。締約国を増やす方策なども話し合われる見通しだ。
 日本からは被爆地広島と長崎の市長が出席、演説し、若者らも締約国関係者と意見交換する。
 「核軍縮がライフワーク」とする岸田文雄首相は核禁条約を評価しつつも、条約加盟やオブザーバー参加には一貫して否定的だ。
 首相は日本が議長を務める来年の先進七カ国(G7)首脳会議を広島で開催することを決め、今年八月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議には自ら参加することを検討中とされるが、核廃絶に向けた本気度は伝わってこない。
 締約国会議へのオブザーバー参加は二十カ国以上で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツとノルウェー、NATO加盟を申請したばかりのフィンランドとスウェーデンも含まれる。
 米国の「核の傘」の下でもオブザーバー参加は不可能でない。
 核兵器廃絶を訴える日本政府が核禁条約会議だけを無視するのは矛盾する。国際社会の理解を得るためにも、せめて次回からオブザーバー参加するよう求めたい。

核禁条約初会議 日本不参加でいいのか

2022-06-20 09:59:06 | 桜ヶ丘9条の会

核禁条約初会議 日本不参加でいいのか

2022年6月20日 
 昨年発効した核兵器禁止条約の初めての締約国会議が二十一日から三日間、ウィーンで開かれる。核兵器使用が現実味を帯びる中、禁止を訴える意義は大きい。
 日本政府はオブザーバー参加の見送りを正式表明したが、唯一の戦争被爆国である日本の知見が今こそ、求められているのではないか。再考を促したい。
 核兵器を巡る環境は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、大きく変わった。ロシアのプーチン大統領は核兵器使用を示唆し、核の恐怖が世界を覆っている。
 北朝鮮は七回目の核実験の準備を終え、指導者の指示を待っているという。日本では米国の核兵器を日本が共有する「核シェアリング」も浮上している。
 核兵器を巡るこうした緊張の高まりを反映して、スウェーデンのシンクタンクは近ごろ、核兵器の使用リスクが冷戦後で最も高くなり、これまで削減が進んできた核兵器の数が、今後は増加に転じるとの予測を発表した。
 核廃絶に向けた具体的な行動をとらなければ、核軍拡が加速し、核兵器が多くの人命を奪う最悪の事態を引き起こしかねない。
 今回の締約国会議では、核廃絶の手順や核実験を含む被害者への支援、環境汚染の修復を巡って討議する。締約国を増やす方策なども話し合われる見通しだ。
 日本からは被爆地広島と長崎の市長が出席、演説し、若者らも締約国関係者と意見交換する。
 「核軍縮がライフワーク」とする岸田文雄首相は核禁条約を評価しつつも、条約加盟やオブザーバー参加には一貫して否定的だ。
 首相は日本が議長を務める来年の先進七カ国(G7)首脳会議を広島で開催することを決め、今年八月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議には自ら参加することを検討中とされるが、核廃絶に向けた本気度は伝わってこない。
 締約国会議へのオブザーバー参加は二十カ国以上で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツとノルウェー、NATO加盟を申請したばかりのフィンランドとスウェーデンも含まれる。
 米国の「核の傘」の下でもオブザーバー参加は不可能でない。
 核兵器廃絶を訴える日本政府が核禁条約会議だけを無視するのは矛盾する。国際社会の理解を得るためにも、せめて次回からオブザーバー参加するよう求めたい。