岐阜知事選告示 「主役」示す投票率に (2021年1月7日 中日新聞))

2021-01-07 10:33:51 | 桜ヶ丘9条の会

岐阜知事選告示 「主役」示す投票率に

2021年1月7日 中日新聞

 いよいよ激戦の火ぶたが切られる。七日に告示される岐阜県知事選は有力候補が激突する保守分裂選となる。一票で郷土の未来を変えられる選挙だけに、高い投票率で「県民が主役」を示したい。
 県政史上初の五選を目指す現職の古田肇氏(73)に、元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英(よしひで)氏(56)が挑む構図が選挙の主軸だ。二氏の支持で自民党県連の国会議員と県議が割れ、一九六六年九月以来、五十四年ぶりの保守分裂選となる。
 共産党などでつくる「県民が主人公の岐阜県政をつくる会」は知事選初の女性候補の稲垣豊子氏(69)を擁立。元県職員の新田雄司氏(36)も出馬する。
 岐阜県知事選では、投票率の低下が深刻だった。古田氏の三選目は戦後最低の33・92%、四選目は二番目に悪い36・39%だった。
 古田氏の四選はいずれも与野党相乗りでの勝利だった。低投票率の連続は、なかば勝敗の見えた選挙戦に有権者が冷めた視線を向けてきた結果であろう。
 その意味で、保守分裂選は自民党県連内の政争に根差すとはいえ、自らの一票で県のリーダーを選ぶことを有権者が文字通り実感できる選挙となる。
 古田陣営は「50%前後」、江崎陣営は「50%以上」の投票率を見込む。ぜひ投票所に足を運んでほしい。少なくとも有権者の過半数によって「県の顔」を選ぶなら、県民が主役の選挙といえよう。
 主要な候補者の公約は出そろった。古田氏は五日に記者会見し「生命(いのち)を守る。新しい日常を創る」を柱とする公約を発表。「コロナや災害から県民の生命を守ることこそ今や知事の最も重要な役割」と、政治家人生の最後を懸けて取り組む決意を述べた。
 江崎氏の公約の柱は「『人生百年時代の幸せのかたち』をつくる」。昨年末の会見で「まずはコロナをきっちりと終わらせ、その先の明るい未来を実現していく」と述べ、閉塞(へいそく)感打破に力を込めた。
 稲垣氏は特に思い入れのある政策として男女差別是正を挙げた。
 コロナだけが課題ではなく、県の行く末をどう導いていくのか具体的に語るべきだ。有権者も各候補の「違い」を見極めるため、訴えに耳を澄ましてほしい。
 感染深刻化で、候補者が有権者の前で熱弁をふるう機会が激減するのは残念だ。しかし、コロナ下の選挙であっても、SNSやリモート集会なども活用し、民意がきちんと反映されるものにしてほしい。民主主義が試されている。