衆院選10月に 「安倍政治」に下す審判(2017年9月20日中日新聞)

2017-09-20 09:12:34 | 桜ヶ丘9条の会
衆院選10月に 「安倍政治」に下す審判 

2017/9/20 中日新聞
 議員任期を一年以上残しているとはいえ、閉塞(へいそく)感が漂う日本政治を転換する機会でもある。政権側の思惑に惑わされず、五年近くにわたる「安倍政治」に対する審判をしっかりと下したい。

 自民党の二階俊博幹事長が、安倍晋三首相から早期の衆院解散を検討していると伝えられたことを明らかにした。二十八日召集予定の臨時国会の冒頭にも衆院を解散し、十月中旬に公示、下旬に投開票が行われる見通しだという。

 衆院解散は、全国民の代表である国会議員の身分を行政府の長である首相が奪う行為だ。内閣不信任決議案の可決または信任決議案の否決という憲法に定めがある場合や、国民に信を問うべき重要な争点がある場合を除き、首相の「解散権」は、乱用を厳に慎むべきものである。

 首相の今回の解散に、そもそも急ぐべき「大義」はあるのか。

 臨時国会召集は、森友学園への国有地売却、加計学園による獣医学部新設、防衛省・自衛隊の日報隠しなど安倍政権をめぐる疑惑追及のため、野党側が憲法五三条に基づいて要求していたものだ。

 それを三カ月も放置して野党に追及の機会を与えず、召集した途端の冒頭解散なら、憲法軽視、疑惑隠しと批判されて当然だ。

 解散するにしても、せめて首相の所信表明演説と各党代表質問、衆参両院予算委員会での総括的質疑を終えてからにすべきである。

 解散検討の背景には、民進党の低迷のほか、野党共闘をめぐる協議や小池百合子東京都知事と連携する国政新党の準備が進まないうちに解散した方が、自民党に有利との判断もあるのだろう。

 それが政治の現実とはいえ野党の混乱に乗じた解散は、やはり解散権の乱用との誹(そし)りは免れまい。

 とはいえ、私たち有権者は傍観するだけではいけない。むしろ衆院選は、そうした政権の在り方を含めて「安倍政治」全般にわたって審判を下す機会でもある。

 例えば、安全保障や経済政策。安倍政権の下で進められている軍事偏重、成長重視の政治に歯止めをかけるには、選挙で民意を示すしかない。


 政治の主導権を握る安倍自民党に比べ、野党には厳しい選挙情勢であることは間違いないが、大義なき解散と批判するだけでは、有権者の支持は集まるまい。

 短期間だが、各党内で徹底的に議論し、「安倍政治」に代わる政権や政策の選択肢を示す。それが野党に課せられた責務である。

衆議院解散どう思う?(2017年9月20日中日新聞)

2017-09-20 08:45:44 | 桜ヶ丘9条の会
<中日ボイス> 衆院解散どう思う? 
   
2017/9/20 中日新聞  

 安倍晋三首相が二十八日召集の臨時国会冒頭で衆院解散に踏み切る可能性が高まり、政局は一気に慌ただしさを増している。突然、降って湧いた「解散風」に読者は何を思うのか-。本紙がインターネットを通じた読者アンケート「中日ボイス」で解散への賛否を聞いたところ、約七割が「反対」と答え、国政や外交の難題が山積する中での解散に否定的な意見が多数を占めた。解散の名称も考えてもらった。

 アンケートには中部九県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、滋賀、石川、富山)の四千二百四十四人が回答。「反対」が72・8%で、「賛成」の14・8%を大きく引き離した。「どちらともいえない」は12・4%だった。

 解散に否定的な回答者に目立ったのが、安倍首相や与党の森友学園や加計学園問題などへの対応だ。

 愛知県の男子学生(22)は問題が解決していない現状で「国政に穴をあけるほどの必要性が見えない」と批判。解散の大義名分がない「ご都合解散だ」と断じた。福井県の男性会社員(53)も「国民の目をそらすためだ」と反発した。さらに安倍首相に対し、このタイミングでの解散・総選挙よりも、国際社会の反発を押し切り、核兵器開発を進めミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応を求める意見も出た。

 一方で現政権を評価する声も。三重県の公務員男性(49)は解散は「賛成」とし、安倍政権は「外交や経済面では良くやっている。より現政権が強固になってほしい」と期待した。

 解散時期については賛否が分かれた。

 「今でしょ解散」と名付けた愛知県の主婦(48)は「野党の混乱、弱体化に乗じている。内閣改造する前にやるべきだった」と否定的。一方で岐阜県の無職男性(64)は「今なら(与党が)三分の二を確保できそう」と解散に賛成。他党の隙を突く安倍首相の戦略を「仁義なき解散」とした。

 民進党など野党のふがいなさを指摘する意見も。長野県の会社員男性(56)は森友、加計学園問題などを受け、自民党が支持率を落としたにもかかわらず「民進党の追及が甘い」と指摘。最近は民進党で離党者が相次ぐなど「自民もどっちもどっちだが野党がふがいない」と手厳しい。

 「与野党とも個人攻撃に走ってるようにしか見えない」と指摘した滋賀県の男性会社員(62)はこう求めた。「政治の原点に立ち返り、国民の将来を見据えた運営をして」

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