“朝三暮四”とは・・・
“朝令暮改”とは・・・
この2つの故事成語があてはまる出来事がありました。
介護保険の介護報酬改定がそれです。
この度、介護報酬が見直され、在宅サービスの充実や介護人材の確保などの基本方針のもと“24時間対応の訪問介護・看護の導入”や“老人保健施設の在宅復帰率を高める”などが改定項目として掲げられ、介護報酬全般で1.2%の引き上げになるようです。
改定のたびに福祉の現場は、複雑な事務処理作業に追われ、1.2%の引き上げになるとはいえ、逆に今まで通りでは算定できなくなるサービスや今まで以上に職員を確保しなければならない等、経営面には必ずしもプラスにはならないという反面もあります。
小手先ばかりの改定では、表向きには改善されたように見えても、結果的にはプラスマイナス0になってしまうばかりか、介護報酬を引き上げることは必然的に介護保険料を引き上げることになりますので、どう考えてもマイナス面の方が大きくなってしまいます。
そもそも2000年に介護保険制度が導入された目的は、施設型福祉から在宅型福祉の転換を目指すものであったにもかかわらず、リハビリ中心であった老人保健施設はすっかり特別養護老人ホームと区別がつかなくなり、地域密着型サービスの地域間格差は日に日に大きくなっており、住み慣れた地域で、自宅で人生をまっとうしたい高齢者のニーズはすりかえられ、有料老人ホームが乱立する状況となっています。
今頃になって、在宅サービスの充実や24時間対応サービス導入といわれても、どこまで実践されるのか、果たしてマンパワーの確保ができるのかは、全く説得力のない改定にしか、私は見えません。
真の実りある改定、そして一貫性のある改定にならないのであれば、もう介護保険制度をぶっ壊さなければならいと考えています。