眠る前に目を閉じて、窓の外の音に耳を澄ませば、野生のオーケストラが聴こえてきます・・・
かん高いシカの叫び、重低音のふくろう、軽快な虫たちのさえずり、喧嘩する野良猫たち、狼に憧れているかのような犬の遠吠え、不眠症かもしれない深夜のコケコッコー、そして玄関先を走り抜けていくひづめの音(たぶんイノシシ・・・)
それらの音を聴いていると、広大な自然の中にポツンとたたずむ我が家が、いろんな動物に囲まれている風景が、まぶたの裏に浮かび上がり、少し心細くなったりもします・・・
“野生のオーケストラが聴こえる”
という本があります。
その内容は、我々が目で見る以上に、自然を“聴く”ことの大切さを教えてくれます。
「生物が声を発するのは、種の保存を図るためである。
そのため、それぞれの生物は、他の生物が使っていない周波数帯域を選ぶ必要がある。
発声が重なっては、声が届かないから他の生物とは微妙にタイミングをずらして自らの声を奏でるようになる。
それが自然特有のハーモニーを創りだす。」
など、野生から届けられる音たちのことが、素敵な言葉でつづられています。
ただ心配な指摘も・・・
「人間が作る人工の音が、同じ周波数や同じタイミングで重なったら、それだけで種の存続が危ぶまれる生物が出てくる・・・
廃液や排ガスを出さずとも“音”だけでも環境は壊れる」
とも・・・
同じ周波数やタイミングではないにしても、伐採時の音や地中を破壊する音とともに野生動物の生活環境は追いやられています。
夜のシカの鳴き声は、とても寂しく悲しげです・・・
皆さんにも是非一度、聴いてほしい・・・