次に訪れたのは、木質バイオマスつながりで『木質バイオマス暖房機』を導入されているハウス農家さんです。
先ほどの木質バイオマス発電所は、木材チップを燃焼させて発電する施設でしたが、木質バイオマス暖房機は“木質ペレット”を燃焼させて、ハウス内の温度管理をする機械のことです。
このミニトマトを栽培しているビニールハウスの中で勉強をさせてもらいました。
全国的にこの木質バイオマス暖房機のハウス導入はまだ少なく、平成24年10月現在383台しか稼働しておらず、そのうちの都農町では5件のトマト農家で9台が使用されています。
都農では“都農町木質ペレット研究会”が立ち上がっており、国および県の補助金を活用し、徐々に導入農家が増えています。
なぜ一気に導入が増えないのか・・・
答えは簡単です・・・暖房機が高いからです。
従来の重油暖房機の価格が、約70万円であるのに対し、木質ペレット暖房機は300万円台です・・・
国や県の補助金がついたにしても、農家の自己負担はまだ100万円を超えています・・・
暖房コストは、重油暖房と比較すると約20%ほど削減できるものの、購入費用がさらに抑えられなければ導入スピードはなかなか上がらないと考えられます。
都農町では、独自に木質ペレット購入費用に補助をしており、また町内に木質ペレット工場が建設される予定もあり、さらに安価でペレット供給ができる可能性があります。
何より、生産者の声から
「重油に比べて温度管理がスピーディかつ安定的にできるため、トマトの品質と収量が向上している。」
また随行していただいた役場職員からは
「今後、木質ペレット使用ハウスから出荷されたトマトは、“エコトマト”として付加価値をつけていく。」
など導入コスト高を補って余りある成果と取り組みが実を結ぼうとしています。
そして、ペレットを燃焼させて出てきた灰は、肥料として再利用されるため環境にも配慮した産地としてのPRもできます。
今、ようやく重油価格は下がってきましたが、まだまだハウス経営は厳しい状況にあり、価格がいつまた上昇するか分かりません・・・
今後、ハウス農家と林業に携わる生産者だけではなく、行政、農業団体、企業がより一層連携し、生産方法の選択肢を増やし安定させることの必要性を学ばせていただきました。