奇跡への絆

図師ひろき

東南アジア研修を振り返って9

2009年12月05日 22時02分45秒 | Weblog


 トゥールスレンは、拷問のための施設でした。

 実際、虐殺のほとんどが行われたのは“キリングフィールド”と呼ばれる郊外にある湿地帯でした。

 このキリングフィールドと呼ばれる虐殺現場は1ヶ所だけではなく、カンボジア国内にいくつもあり、130万人もの尊い命が奪われました。

 キリングフィールドの1つに行ってきました。

     

 入り口に、記念塔がそびえ立っていました。

 その記念塔に花をお供えして、中に入りました。 


     

 その塔の1階部分から天井まで積み上げられていたのは、頭がい骨でした。

 そこで虐殺された方々の本物の頭がい骨です。

 その数・・・数1000・・・いや数10000・・・

 頭がい骨には直径2cmほどの穴が開いているものもありましたが、多くは叩き割られた跡が残るものでした。

 これは射殺する時使用する銃弾の費用を抑えるため、棒きれで叩き殺された証とのことでした。

 積み上がる頭がい骨を見上げた時、一人の頭がい骨と目が合いました・・・合ったような気がして・・・語りかけてくる言葉に耳を傾けました・・・

 しかし、その雑然と並ぶ頭がい骨が本物であるとは肌で感じることができず・・・

 “どれだけの無念があっただろう・・・”

 と推し量ることすら軽薄に思えるほど、現実離れした光景に放心のまま、ただただ立ちすくんでいました。

 園内に入ると、いくつかのたて看板があり、当時の状況が説明されていました。

 ・(10m×5m×5mほどの穴の前)ここで次々に殺害され、この穴からだけでも450体分の骨が掘り出されました。

 ・フェニックスの尖った枝葉で、頚動脈を切り、殺害していました。

 ・女性はレイプされ、叩き殺されていました。

 ・(大木の少し膨れたこぶの部分)ここに子どもを叩きつけて殺していました。

 やはりとても写真に収めることはできず、それでもガイドの説明を少しも聞き逃すまいと目で言葉を追い、記録しました。

 「皆さんの足元に見える布きれは、当時の方の服です。

 そして白く見えるものは、人骨です。」

 ハッと足をどけると、シャツの切れ端のようなものが・・・歩いてきた道を振り返ると、石灰石と思われた人骨が、至る所に表出していました。

 園内には鶏が放し飼いされており、やせ細り枯れ果てたその鳴き声は、苦しみを映し出す、はかなく悲しい泣き声に聞こえました・・・

 園を出ると、すぐに物乞いの子どもたちに取り囲まれました。

      

 この無邪気な子どもたちを利用して、物乞いをさせる組織があるとのことでした・・・

 悲劇と貧困。

 日本から飛行機で、約4時間しか離れていない国の現実です。

 私は言葉にならない、整理もできない感情のままキリングフィールドを離れました・・・












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4 コメント

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よくぞ・・・ (銀木犀)
2009-12-05 23:43:06
文字になさいましたね。。

昨日今日のブログを綴られるのは、さぞ、お辛かったでしょう。

長崎・広島の原爆記念館や知覧の特攻平和祈念(記念?)会館でさえ、
まともに直視するのが辛いわたくしですので・・・心中察するに余りあります。

ひとつだけ、思うことには。

日本は、自分達がやられたことのみを強調し、
自分達がやったことをきちんと後世に伝えようとはなかなかしない。

そういう意味では、ドイツやカンボジアのように、
戒めの意味を込めてきちんとそういう施設をつくる国には敬意を表します。

いつか・・・訪れてみたいものです。 カンボジア。

あなたが肌で感じたことを、わたしも肌で感じてみたい。
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Unknown (Fit)
2009-12-05 23:50:17
同じ時を生きているのに、国や歴史の違いで今このような事実があるという事にハッとしました。 
どこに居ても誰しも悩みや不安を様々抱えていると思います。
人の悩みと自分の悩みは比べられないとは思いますが、この子供達の笑顔を見るとなんだか希望や将来といった明るい光が射してきそうな予感がします。

なんとかできないのでしょうか。
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Unknown (SAKURA)
2009-12-06 13:23:19
考えたら、他の国でも(日本でも) 同じような事が行われていましたよね…
人はなんにでもなれるのかと思うと恐ろしいです。
同じ人間なのに…
一人の考えで多くの人を支配し、殺人者に仕立て上げ、罪のない人を沢山殺させる…


私達はこのような事をどう考えれば良いのでしょうか…



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痛い・・・ (なかよ)
2009-12-07 10:48:30
とても痛いです。
日本にも過去に同じようなことがありましたし、何故に人間は人間同士を傷つけあるのか・・・
人間だけがあるエゴなのでしょうか。
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