木城町議会の常任委員会で上勝町を訪れたときの、横石さんのレクチャーは丁寧ではありませんでした。
それもそのはずです…全国から無数の行政関係団体が彩(いろどり)事業の視察に押し寄せていたからです。
私たちが訪問した時も、他に6団体が調査に来ているということで、案内役の横石さんのスケジュールは分刻み状態でした。
「駆け足の説明となりましたので、彩事業のすべては伝えきれませんでしたが、事業内容を詳しく説明した本がありますから、あとはそちらを読んでください。」
私はすでに調査前に、本を購入して勉強していました…
部屋を出て行かれようとした横石さんが
「もし良かったら、彩の情報ネットワークから生産者が利用されているソフトなどが入っているCDがありますが、持って帰られますか?」
私は即、食いつき
「是非、購入させてください!」
と手をあげました。
「いいえ、無料で差し上げますよ」
私は、彩事業の心臓部ともいえるシステムやソフトがもらえるなら、木城でも同様な事業ができるかもしれないとほくそ笑みました。
横石さんは、私の浅はかな笑みを見透かしたかのように
「あなたの町にも葉っぱはいくらでもあるでしょうから、このCDの中のシステムを使って、遠慮なくつまもの事業に参入してください。
でも間違いなく、成功しませんから。
なぜなら、私がいないから。」
カッコよすぎる!!
それまでのレクチャーは、無表情のまま義務的に淡々と進められていたのですが、“なぜなら、私がいなから”と言われた片方の口角を少し上げて、度や顔をされた横石さんに、私は惚れました。
男が男に惚れるとは、まさこういうことなんだと初めて実感した瞬間でした。
戦国時代の武将や幕末の志士たちの生き様に学び、歴史的改革を成し遂げてきた政治家の功績は大いにリスペクトするものですが、成熟しきった日本社会の中では、なかなか理想とする政治家や行政マンには会えずにいましたが、とうとう出会ってしまいした。
与えられた自分の職責をただ全うするのではなく、地域住民から慕われ、経済面も健康面も改善していくことは並大抵ではないことは、政治に携わり10年以上がたった今だからさらに深く理解できます。
しかも田舎で、それを実現できている横石知二さんを私は追いかけていきます!
そしていつか
「なぜなら、私がいないから」
このセリフが言えるような仕事をしていきます!