奇跡への絆

図師ひろき

最近の読書4

2014年08月07日 23時16分48秒 | Weblog
 出張中の移動時間は、私にとっては最高の読書タイムです。

 研修先の資料にしっかり目を通した後は、日頃買い置きしていた本や空港や駅で買いあさった本をむさぼるように読みます。

 今回は以前、DVDで観たことのある作品でしたがあらためて本を読みました。

 記憶が正しければ、映画では寺尾あきらさんが主演をつとめられ、主題歌を森山直太朗さんが歌っていたような…

 横山秀夫さんの『半落ち』です。

 横山作品で、一番好きなのは何と言っても『クライマーズ・ハイ』で、これは本も映画も最高で、多くの作品は映画になるとイメージが変わってしまうものですが、堤真一さんと堺雅人さんの迫真の演技は今でも印象に残っています。

 今回の『半落ち』はDVDを先に観ていおり、その作品も良かったので、原作からはどんな印象を受けるのかワクワクしながらページをめくりました。

 ご存知の方も多いと思いますが、簡単にストーリーを…

 アルツハイマーの妻を介護する主人公が、記憶が薄れていく妻を哀れみ自ら殺め、自首します…

 妻も息子のことをも忘れ、自らが壊れていくことを悲観し、殺害を懇願します…

 夫は妻の希望を叶え、そして“嘱託殺人”で裁かれていくのです…

 しかし、主人公には自首して来るまでに空白の2日間が…

 警察、検事、弁護士、記者、そして看守…主人公を取り巻く関係者のあらゆる因果関係が次々と浮き彫りになりながらストーリーは展開していきます。

 そして、最後に希望の光が…

 社会的問題を的確に捉えつつ、圧倒的な現場情報に基づいた迫力満点の文体は、読む者の心をわしづかみにしたまま一気に読破させるエネルギーが秘めれた傑作です。

 また章立てが、登場人物ごとの視点で描かれており、ストーリーが幾重にも重なった重厚な作品のなっています。

 本を読みながら涙することは少ないのですが、『半落ち』は間違いなく泣けます!

 この作品で重い涙を流される方もおられるとは思います…

 それでも繰り返しになりますが、最後に光が差し、希望を抱かせてくれる『半落ち』…イチ押しです!