野口町をゆく(69) 平木橋(ひらきばし)
淡河川(おうごがわ)・山田川から分水された水は、各地を潤しながら、やがて練部屋(ねりべや・神戸市西区神出町)に集められ、さらに分水され、特に印南野台地(いなみのだいち)潤しました。
練部屋から分かれた一つの支流は稲美町の池に流れ、凱旋池(現在、埋め立てられ県立東播磨高校になっています)・万歳池(稲美町)・鳥が丘池に流れ、そして最後に平木池に到達しました。
しかし、平木池は山田疎水の末端に位置していたため十分な水が得られませんでした。
昭和24年頃には放置されたままになり、昭和40年頃に埋め立てられました。
平木池に水を運んだ平木橋も、やがて人々から忘れ去られて、雑木林の中にひっそりとたたずんでいました。
突然のことでした。
この平木橋のある場所に、東播磨南北道路が計画され、にわかに平木橋が注目を集めるようになりました。
平木橋には「HIRAKI AQUEDUCT BUILD SEP. 1915」、裏には『平木橋大正四年九月架之」、とありレンガの赤と御影石のコントラストが美しい橋です。
土木工学的にも貴重であることが分かり、平木橋は専門誌にも紹介され、訪問する人も増えました。
保存運動がたかまり、兵庫県と加古川市は、橋の移設保存工事に着手し、水足の公民館横の前ノ池(まえのいけ)に移転され保存されることになり、平成22年3月、工事は無事完了しました。
*写真:現在(移転後)平木橋