今日のタイトルは、「思うようにはいかぬ」です。
就職試験の時、面接官は「わが社に入っていただけたら、あなたはどんな仕事がしたいですか」
技術系なら、設計、開発と花型に見える職種を皆が希望します。
私一人だけ、「現場がよい」です。
社長の目がきらりと光った。
机の下で、密かに脱いでいた靴を履きなおした。
なんでとは、聞かれなかった。
現場に答えが落ちている。
先輩社員から教えてもらった。
不具合の解決方法なのか。
職人の知恵なのか。
熱い寒いの待ったなしの現場です。
上(顧客)から無理難題を望まれ、
下(職人)からこづかれ、
這いずり回った現場です。
「思うようにはいかぬ」から、頭を下げ知恵を絞った。
プロジェクトは、わが子のように可愛かった。
門前の小僧、経を詠み。
毎日のことだから、いつしか耳で覚えてしまった。
理屈じゃないんだ、身体で覚えろと叩き込まれた。
東大以外は、大学じゃない。
馬車馬のごとく、両親から強いられた。
できたから、さらに勉強した。
永い間、そんなことをした。
現場は辛いところ、でも我慢しろ。
後輩にも同じようなことを言った。
ずーっと、家業や社業が続くときはそれでよかった。
「思うようにはいかぬ」もの、新しいことを始めるときは役に立たなかった。
言われるままに、現場を生き抜いた。
目的意識のない、働く人の喜びを置き去りにした、
上に都合のよい修練の場だったようにも思う。
使われ損で、疲弊していった。
情報を一元化し、権力を一定のグループに集中する。
強く見えるかもしれないが、ありの穴で崩れる脆さがある。
回り道かもしれないが、
なんでと聞いて欲しかった。
お前はそれでよいのか、そうじゃない時もあるよと言って欲しかった。
物事には、裏と表がある。
どんな人にも気づかぬ事情がある。
言っても分かってもらえないだろうと、自分に言い聞かせてきた。
「思うようにはいかぬ」
気づいてしまった。
迷わずに言ったら、案外わかってもらえた。
使う側にとって期待した人材にはならなかったが、なんと生き生きとしていることか。
ドロップもアウトなんて怖くない。
「思うようにはいかぬ」時は、迷わず楽しい方に舵をきれ。
振り子さえ 戻る力で 前にいく
2019年1月28日