楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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散歩に出て思うこと 3

2004年01月14日 09時32分00秒 | つれづれなるままに考えること

(96歳:叔母の才能)
前回96歳の叔母さんを見舞った話をした。この叔母が転んで大腿骨を折る大怪我をして、これまた運良く、自宅から100メートルほどのところに出来た老人ホームに入ることが出来た。

老人ホームに入ると、安心したのか三人の子供たちは、殆ど寄り付かなくなった。姪に当たる我が家のカミさんが、年に四回ほど、お墓参りのついでにと訪ねるのが、年寄りの叔母の楽しみの一つになった。

寂しいものである。

生活の場は、ベッドと簡単なテーブルと椅子2客、テレビを置く台に、小物を入れておく整理ダンスが置ける八畳ほどの部屋と、台所の二畳とトイレがある部屋に住んでおり、なかなか快適そうである。住人は車椅子の人もいるが、日常生活が一人で出来るのが条件で入所している。33室が満室で埋まっている。

病院の個室に入院しているようなもので、三食、電気、ガス、
水道代込みで、毎月の経費は15万円ほどという。年金で十分まかなえ小遣いもでると、当初はニコニコ顔で暮らしていた。物珍しさも手伝って、子供たち三人が、代わる代わる顔を見せたのは言うまでも無い。

時が経つにつれ、週に二回来ていた子供たちも、週一回になり、
二週に一回になり、月に一回も来ることは無くなった。
子供たちは自分たちの生活が優先するから、ある程度止むを得ないところもあるが、せめて週に一度でよいから電話でもしてやればよいのにと、門外漢のボクでさえ思う。

おだてられて、花の写真を撮ることに夢中になっていたボクが、
下手な写真を誰かに見せたくなって、考え付いたのが叔母さん。
ボクは電話をしても話が合わず、「元気?」くらいで話題が無い。
そこで叔母さんに、撮った写真を絵葉書にして送ることにした。

毎週一枚。

ところが叔母は若い頃、芸大に行かせてくれと、親にねだったほどの、美的感覚の持ち主。写真のはがきに季節の挨拶を入れて送ると
大変喜んでくれ、その返事に色鉛筆で官製はがきに四季の絵を書いた絵手紙を送ってきた。ボクの写真よりよほど上手である。
しかも叔母は元写真屋さんの娘であるから、写真のことはかなり詳しい。したがって、叔母の描くはがきより、美しい花の写真を撮ろうと懸命になり、だんだん力がついてきたように思う。

しかし週一枚の写真を撮るのは並み大抵ではない。何でもよければいくらでも撮れるが、花の写真を送るとその写真について、
必ず感想が添えられているのだ。自分ではあまり出来栄えがよくないと思って「やや不満ですがお送りします」などと、書き込もうなら、
返事に「左一センチほどを切り取るようにトリミングすれば、
この写真も見られるようになりますよ」と返事が来る。

先日、訪ねた時は、色紙にちぎり絵を描いた、チューリップ、
葡萄棚、椿、ユリ、トケイソウ、などなど見せてもらったが、
実に見事(プロになれるか?と思うほど)でとてもボクなどの写真の比ではない。

しかし、ボクの写真を見て、季節を感じ、批評を下して、食事の時などに、時には写真を見せて、写真談義に花咲かせて、時間の過ぎるのを紛らして、叔母の長生きを、少しでも手助けになれば本望である。



美しく老いたいと思う!

老いへの道を手探り、訪ねるが、きっと見本は見つからないだろう!

人の人生がそれぞれ同じでないように、この道も一つとして同じものは

ないだろう!





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