楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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極める(人、その生と死と 8)

2006年06月26日 06時39分00秒 | つれづれなるままに考えること
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(極める)
以前にも書いたが、ボクの人生観は、「今を精魂込めて過ごす」である。
一言でいうと禅宗の言葉でいう「而今(じこん)」である。
だから、どんな事でもやるからには、その理想像に挑戦する。
やり始めると寝食も忘れてしまうことが多い。問題を夢で解決するようになったら、
没頭も頂点に来ていることが多く、ここでいったん反省することにしている。

JR中央線の新大久保の裏手のしもた屋で、女性用の下着の製作を
生業としている元学生運動の活動家の男女にお会いすることがあった。
もう45年も前のことである。
そんな仕事をひっそりと営んでおられた。
お二人は卒業するころに就職活動をしたが、学生時代の経歴がものを言い
採用する会社がなかったのである。

当時はまだ、ブラジャーやパンティが実用的なものが優先していたころで、
可愛いいとかおしゃれなとかで形容される品物もなく、ブラジャーなど
利用する人たちもやっと増え始めた時代であった。

お二人もまだ若かったが、それ以上に若者が好きな方達であった。
あるとき招かれてすき焼きパーティをすることになったが、
ボクの友達を連れてきても良いというので、数人、無料だからと言って
連れて行った記憶がある。

当時はまだ牛肉が高価な食品であったことも手伝い、食い意地の張った
独身の男性たちで押しかけた部屋には、天井から無数のブラジャーが
ぶら下がっており、異様な光景であったが、お二人はにこやかに
招き入れられた。

食事中の話の中で、ブラジャーなど下着類は製作すると
問屋を経由して小売店から販売されていくとか、
製作者の利益、問屋の利益、小売店の利益を合計して一般の顧客に販売されていくという話が出た。
さらに製作者から問屋へ、問屋から小売店へ輸送する輸送費も掛かる。

そこで、ボクは製作者からいきなり消費者に渡る方法がありそうだと
話したことを記憶している。
そうすれば中間の利益、輸送費が削減され、
製作者から小売店、小売店から消費者へとわたる間に、
中間利益と費用が減り、製作者はより高く売ることが出来、
消費者はよりやすく購入することが出来るようになると話した。
しかし、当時はいきなり小売店へ降ろすことは、
資金調達の上でも困難なことであった。
いまでこそ一流会社になっている松下電器でも、当初は松下幸之助が
製品を問屋に納めていたことは知られている。

その他、いろんな話題が出たが、最後になって招かれたぼく達
一人ずつをご夫婦がどのように見ているのか聞くことになった。
そしてボクの番が来た。
「君は理想主義者だ」とずばり言われた。

ここで指摘されたとおりボクは理想主義者である。
どんなことでも、出来る出来ないは別として、
これ以上のことはボクには出来ないと考えるところまでやろうとする。
出来もしないのに、いつも極めようと思っている。

たとえばゴルフ。
ボクの目標はハンディキャップ14である。
もう十年経過しても、まだハンディキャップ29である。
いつまでたっても上達しない。それには訳がある。

「これがゴルフのスイングだ」というスイングが、やっとわかり始めてきた
ところだからである。十年かかってではあまりにも遅い。
一つには、教えるプロが教え下手だということがある。
なぜかと言うと彼らが覚えたスイングは感覚的なものであり、
その基本を教えるのに、感覚的に覚えたものを言葉で表現するのが
難しいからである。
スイングの教本では、それぞれのプロが覚えた基本を言葉で表現しているが、
言いたい内容は同じなのに、それぞれ異なった表現をしている。
だから、覚えようとする生徒は異なった表現通り再現しようとするから、
正しいスイングを身につけるのが難しい。
しかも、部分部分で教えるからなお解からない。
科学的に教えている教本に出会ったことがない。
もっとも科学的に近いのがレッド・ベター(ゴルフ・トレーナー)の教本であるが、
これも完全に科学的なものではない。

ゴルフのスイングは、簡単な話が、立った体を軸に左右に回転させ、
クラブを持った腕は、上下に振り上げ振り下ろすのが基本である。

たったこれだけを、グリップはこうで、トップ・オブ・スイングはこうで、
インパクトはこうで、その寸前に腕首のコックをリリースする、
フォロウスルーはこうで...これでは何のことやら解からない。
結局は、ダンプカーの荷台一杯分のボールを打つと、上手くなるなんてことになる。
つまり、その分量だけ打っている間に、これがスイングだと分かるというのである。

話が脱線してしまったが、女性用の下着を作るのも、それ相応の苦労がある。
人の体格は千差万別に出来ている。乳房にしても、有るように見えない人から
乳牛のオッパイもかくやあらんと思われるようなものまで、
また、上向き下向き、内向き外向きとある。体型の痩せ型、太り気味。
さらに女心は複雑で、小さな胸を大きく見せるブラジャー、大きな胸を小さく見せるもの、
下向きの胸を上向きにするものetc.が要求される。
それらの組み合わせを平準化して、創っていくというのである。
また、パンティにしても同じで、単に大中小では終わらない。

そのサイズや大きさは、想像で作ることが出来ないから、
実際に手で確かめて、型紙を作るという。
誰が確かめるかと言うとご主人であるらしい。
キャバレー、クラブ、バーのホステスに触らせてもらうらしい。この仕事
「君もやってみないか?」と誘われたが、純情だったころのボクには、
とてもそんな芸当は出来ない。(内心では、面白い仕事だなあと思っていたが)即座に断った。
今では、一流の下着メーカーに成長しているが、創業当時はこんな苦労をされていた。
一流となるの(極めるの)は並大抵のことではない。

最近では,いろいろある商品の内で、使い捨てのものが多くなっているが
どんなものでも、商品は製作者の苦労を知って、
その価値を大切にしなければならない。




コメント
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