山本さん、というのは私の大学時代の恩師です。
教養課程の哲学の教授だった山本先生は学生に「山本さんというように」と1年生の初めの授業でいいました。
医学も学んでいない、10代の私に、実感はないもののいろんな言葉が飛び込んできたって感じの授業でした。
「母乳は共鳴現象」
「赤ちゃんは生まれてきた納得がほしい」
この二つは、仕事の折々に、特に今でも思いだす言葉です。
共鳴現象がうまくいっているときは、だれになにを言われなくっても、本能でやっているという状態で問題は全くない状態です。
やることに迷いがなくって、自分のしたいようにしてそれでうまくいっちゃう。
お産がよくって自然にそうなった人もいます。
妊娠中にすべき準備もしている人、お産に納得できている人、妊娠出産を通して大事にされた人は自然に子育てできるように感じます。
母としての誕生に際して、大事にされた人は、自分の大事にすべき存在を大事にする力になり、かわいがる力になります。
だから、母は大事にされなければならないのです。
母が大事にされ、余裕があり、笑顔で元気があったら、赤ちゃんにも「生まれてきた納得」をあげられるケアができます。
私たちの仕事はそこですね。
お母さんが赤ちゃんに納得をあげられるような状態にすること。
私たちだけの力では無理ですけれど。少しでもお役に立ちたいな、とおもいます。
山本さんのことを、今日のねんねクラスでのお母さんたちのお話を聞いていて、ふいに思いだしました。
今日は、二人目三人目のママの参加が4人あって、その大変さをいろいろ教えていただきました。
上の子がイヤイヤ期で大変で、でもその子を優先してるという方、
逆に下の子をかわいがって我慢してるみたいな上の子の様子が切ないという気持ちの方、
子どもと接することができるように下の子の機嫌のいい時間帯に夕方の家事を先にやっちゃう方、
後で本を読んであげるからねという約束はその時だけのいいわけにしないで、必ず読むようにしてるという方・・・
えらい!
本当にえらいなぁと思いました。
子どもを思っての生活の中の行為や工夫の一つ一つが貯金みたいですね。
ささやかだけれど、その子を大事にしてちゃんと向き合った短時間であっても、
その積み重ねは、「子どもの生まれて来た納得」になります。
自分は大事な存在だと信じられるからです。
大事な大好きなママに大事にされてるのは自信になります。
子育ての究極な大きな目標は生まれてきてよかった~という気持ち「生まれてきた納得」なんです。
自分は大事にされてるという自信は自己信頼感になります。
この世はいいところだという世の中への信頼感にもなります。
人生への肯定にもなります。
ひだまりクラスのねんねクラスで、自分の状況の中で、
いろいろ工夫して日々、子どもの幸せに心をくだいているお母さんたちの話を聞いて、
山本さんの言っていたことを思いだしました。
日々、こもごまとしたお世話をして、子どもを安全に守りぬく、安心感をあげる、それだけで十分すごいことをしているんですね。
お母さんたちは。