矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

臨床教育医Clinical Educatorを増やす

2014-10-25 12:27:28 | 医学教育
北米で、医学教育機関において、”臨床教育”をかなりの時間担当する人を、Clinical educator, Clinician educatorと呼んでいます。

(欧州の医学部や大学教員の職務内容の規定や昇進基準などは内部に職員としてはいったことがないのでわかりません。)

日本でも、このような”医学教育のプロ””臨床教育の実践プロフェッショナル”の養成とポジションを創設することが益々求められています。

高校生の大学入試も改革が予定され、”偏差値の数字評価”から、”活動内容や将来性などの質的評価”にシフトする方向になりました。(ちなみに、患者も”質的に経過を評価する”ことが大切で、バイオマーカーの”数字の上下評価のみ”では十分な評価とは言えません)。

北米の状況では、教員は個人ごとの就業契約で、例:臨床50%, 教育20%, リサーチ20%, 管理administrative 10%など、時間配分を決めて、給与の出所が決まり(臨床や教育は大学へのサービス提供で給与が保証される)や昇進基準が決まります。各大学では、リサーチトラック、臨床医トラック、など各時間配分に応じた昇進基準が定義され公開されているのが一般的です。リサーチは大学支給のスタートアップ経費はもらえますが、一定の期間が終了すれば、各自研究費を自身の給与も含め獲得することが必要となります。

リサーチベースの契約では、リサーチ80%, 臨床5%, 教育10%, 管理5%など。
臨床に比べて時間は自由に使えますが、給与は自前で獲得するサバイバルになります。

各個人で年収、契約期間、昇進基準(公開された昇進トラックによる)が多様です。
常に”自力本願”で昇進基準をクリアする必要がありそれを”形にする”必要があります。

これはプレッシャーですが、業績を自分の記録としても残せるし、昇進、昇給として社会からも承認されるという意味で、ポジティブにはかなりの動機付け(サバイバル)になります。

日本でも、少しずつ大学教員ポジションは任期付職務が増え、私のいまの職位も任期付ですので、4年間の期限で毎年一定の成果報告は義務づけられています。臨床業務や教育内容を業績の一部として評価して頂けるシステムがあるのはありがたいです。

大学教員の評価も、従来の”論文インパクトファクターの単純足し算”と”科学研究費の獲得額の単純足し算”のみならず、”活動内容と成果の質的な評価”にシフトする方向性に少しずつですが、変わってきています。

私の肌感覚・直感で、世界の多くの大学(医学部も含め)は、ポジションはオープンコンペティションでほぼ全世界公募の時代となっています。学生の争奪戦と同様に優秀な教員は全世界で争奪戦になっています。

日本で、いろいろなバックグランドの人が、多様性を維持しながら、多様な形で医学教育に携わることができ、
学生も多様なバックグランドの、多様な将来性を持つ人たちが、双方向性で切磋琢磨できる環境をつくりたいです。

年齢、役職、立場でなく、”何をオファーできるのか、専門領域は何なのか” が双方の関係性でもっとも重要だと思います。




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