矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

手洗いの遵守率 80-90%を目標に!

2018-08-05 17:15:43 | 感染症関連
耐性菌のなかでももっとも制圧が困難なアシネトバクター。

自身も在米中の救急病院で、外傷・熱傷ユニットで、アシネトバクターのアウトブレイクを経験し、当時の指導医が大変な作業をしていたのを思い出します。
一端、集中治療室はClosedして、再開後も2年間ぐらい厳重monitorをしていました。

前々職でも、アシネトバクターのアウトブレイクが起こりましたが、感染対策のプロ集団として部署で懸命な対応をしたため、汚染源もわかり、終息に向かいました。

先日報道された今回の大学病院での大きなアウトブレイクも、マットレスが汚染物と判明しており、水にも乾燥にも強いアシネトバクターの性質を反映しております。

微生物の側面のみならず、日ごろの標準予防策の遵守が、国内施設で十分にされていない現状があります。

もちろん、国外でも、標準予防策の遵守は常に問題になります。

先進国の医療者の学生は、体系的な教育をカリキュラムとして受けていることが多いです。

医療従事者は、自身が病院にいるときと自宅にいるときでは、手洗いの意味が異なること(病院内での手洗い、手指消毒がいかにクリティカルであるか)を理解し。病院内では確実に実践する必要があります。

一方で、感染対策の意味(なぜ手洗いが必要なのか、いつ行う必要があるのか)や実践の重要性(遵守することにどのような意味があるのか)に関する教育が十分に広く普及していない現状もあります。

座学でなく、実践として(パフォーマンスとして)、標準予防策が十分に認識され普及し、これほど重要な「手洗い」をしていなければお互いに声をかけあう診療文化が望まれます。

19世紀、細菌学が確立する前に、セメルワイスが提唱した手洗いは、21世紀の感染対策でもその根幹をなしており、すべての医療従事者が実践する必要がある基本手技です。

遵守率80-90%が目標となります!

手洗い(手指消毒)の5つのタイミング

患者ケアの前、とケアの後

患者の病室の環境に触れたあと

清潔操作・無菌操作の前

体液に曝露したあと

標準予防策の一環で、

採血時には、手袋着用してください。

体液が飛び散るリスクがある場合(手術室、救急の外傷患者など)では、
ゴーグルが必須となります。

医療従事者の職業感染対策のためのワクチン

すべての医療従事者は、

麻疹、風疹、ムンプス、水痘、B型肝炎ワクチン

毎年の季節にはインフルエンザワクチン

を接種しましょう!


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