中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

厚生労働省労働基準局長通達

2012年05月30日 | 情報
厚生労働省労働基準局長発の、当面のメンタルヘルス対策の具体的推進について
( 基発第0326002号 平成21年3月26日)のうち、
「第3 事業場におけるメンタルヘルス対策の具体的推進事項」を以下に改めて紹介します。
昨日の渋谷労基署の指導内容は、すべて当通達に基づいて実施されたものです。
具体的な実施にあたっては、橋本社会保険労務士事務所がお手伝いします。
s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで

事業場における具体的なメンタルヘルス対策の推進に当たっては、特に以下に留意の上、
指針に基づき、必要な指導等を行うこと。

1 衛生委員会等での調査審議の徹底等
(1) 衛生委員会等での調査審議の徹底
衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」という。)において、「労働者の精神的健康の
保持増進を図るための対策の樹立に関すること」が労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。
以下「規則」という。)第22条第10号に基づく付議事項とされているところである。
特に、「心の健康づくり計画」の策定に当たっては、衛生委員会等において十分調査審議を
行うことが必要であることから、その調査審議の徹底について指導等を行うこと。
また、衛生委員会等で調査審議された議事概要については、規則第23条第3項に基づく労働者への
周知が規定されているところであるが、労働者の積極的な協力を促す観点も含め、議事概要の周知の
徹底について指導等を行うこと。
(2) 事業場における実態の把握
衛生委員会等における調査審議に当たっては、あらかじめ、メンタルヘルス上の理由による休業者の有無、
人数、休業日数等心の健康問題に係る事業場の現状を把握するよう指導等を行うこと。
(3)「心の健康づくり計画」の策定
指針4に基づく「心の健康づくり計画」を策定するよう指導等を行うこと。
特に、「心の健康づくり計画」には「事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明」、
「事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任」及び「教育研修の実施」について定めるよう指導等を行うこと。
なお、常時50人未満の労働者を使用する事業場については、衛生委員会等の調査審議に代え、
規則第23条の2に基づく関係労働者の意見を聴くための機会を利用して、メンタルヘルス対策について
労働者の意見を聴取するように努め、その意見を踏まえつつ「心の健康づくり計画」を策定するよう指導等を行うこと。
(4) 調査審議の充実
心の健康問題に係る事業場の現状の把握、心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直し等について、
衛生委員会等において調査審議し、審議の充実を図るよう指導等を行うこと。

2 事業場内体制の整備
(1) 事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任
指針5(3)に基づき、衛生管理者、衛生推進者等から事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する
「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任するよう指導等を行うこと。
(2) 専門スタッフの確保
法に基づき選任が義務づけられている産業医、衛生管理者、衛生推進者及び安全衛生推進者については、
指針5(3)に基づく役割を担うよう指導等を行うこと。
必要に応じ、担当者の育成が必要と認められる事業場に対しては、委託事業や都道府県産業保健推進センター等で
実施する所要の研修への参加勧奨を行うこと。
また、衛生管理者については、管内で「労働災害の防止のための業務に従事する者に対する
能力向上教育に関する指針」(能力向上教育指針公示第1号)に基づく衛生管理者能力向上教育
(初任時、定期又は随時)が実施されている場合には、必要に応じ、その受講を促すこと。
なお、産業医にあっては規則第14条第1項各号において、衛生管理者にあっては法第12条第1項において、
衛生推進者及び安全衛生推進者にあっては法第12条の2において、各々行うべき職務が
規定されているところであり、当該規定に基づき、メンタルヘルスケアに関する事項を含めた職務を
徹底するよう指導等を行うこと。

3 教育研修の実施
指針6(1)に基づき、メンタルヘルスケアを推進するための教育研修を実施するよう指導等を行うこと。
特に、管理監督者(ラインによるケアを行う上司その他労働者を指揮命令する者をいう。)は、
日常的に労働者の状況や職場環境等を把握しうる立場にあり、ラインによるケアを適切に行う上で
重要な位置づけであることから、管理監督者への教育研修を実施するよう指導等を行うこと。
なお、規則第35条に基づく衛生のための教育の実施に当たっては、パンフレットを活用する等により、
メンタルヘルスケアを推進するための教育研修についても実施するよう指導等を行うこと。
また、衛生教育の実施計画の作成に関しては、規則第22条第4号に基づき衛生委員会等において
調査審議しなければならないことから、その徹底を図るよう指導等を行うこと。

4 職場環境等の把握と改善
指針6(2)に基づき、職場環境等を把握し、評価することにより問題点を把握し、
それに対する改善を行うよう指導等行うこと。
なお、職場環境等の評価と問題点の把握に当たっては、指針に示すストレスに関する調査票のほか、
必要に応じ、快適職場調査(ソフト面)の活用もあること。

5 メンタルヘルス不調者の早期発見と適切な対応の実施
(1) 相談体制の整備
指針6(3)に基づき、相談体制を整備するとともに、整備された相談体制が正規・非正規を問わず
全ての労働者に活用されるよう、相談体制の周知を行うよう指導等を行うこと。
相談体制の整備に当たっては、必要に応じ、事業場外資源の活用を促すこと。
なお、メンタルヘルス不調者を把握した場合には、必要に応じ医療機関やメンタルヘルス相談の
専門機関に迅速に取り次ぐことが重要である。今後、メンタルヘルス対策支援センターにおいて
地域にある事業場外資源とのネットワーク化を図ることとしているので、その活用を促すこと。
(2) 長時間労働者に対する面接指導の実施の徹底
法第66条の8又は法第66条の9に基づく長時間労働者等に対する面接指導にあっては、
メンタルヘルス面のチェックも行うこととしていることから、これら長時間労働者に対する医師による
面接指導及び事後措置を徹底するよう指導等を行うこと。
なお、労働者が面接指導の申出を行いやすくする観点に立って、平成18年3月17日付け基発第
0317008号(一部改正平成20年3月7日付け基発第0307006号)「過重労働による健康障害防止のため
の総合対策について」別紙1「過重労働による健康障害防止のための総合対策」別添「過重労働
による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」中に示す5(2)イ「面接指導等を実施する
ための手続き等の整備」について指導等を行うこと。
(3) 健康診断実施時におけるメンタルヘルス不調の把握
法第66条第1項及び規則第43条から第45条の2までの規定に基づく健康診断実施時に、メンタル
ヘルス不調を把握した場合には、法第66条の5第1項の規定に基づく事後措置及び法第66条の7第1
項の規定に基づく保健指導の実施を徹底するよう指導等を行うこと。
(4) 心身両面にわたる健康保持増進対策(THP)の活用
メンタルヘルス不調の未然防止として、必要に応じ、「事業場における労働者の健康保持増進
のための指針」(健康保持増進のための指針公示第1号)に基づく取組を促すこと。

6 職場復帰支援
(1) 職場復帰支援プログラムの策定
指針6(4)に基づき、あらかじめ当該事業場の実態に即した職場復帰支援プログラムの策定、
策定された職場復帰支援プログラムの事業場内での周知を行うよう指導等を行うこと。
なお、職場復帰支援プログラムの具体的策定に当たっては、「心の健康問題により休業した
労働者の職場復帰支援の手引き」の活用を促すこと。
(2) メンタルヘルス対策支援センターの活用
今後、メンタルヘルス対策支援センターにおいて事業者等からの職場復帰支援に関する相談対応、
相談内容に応じた適切な助言、職場復帰支援を行う事業や事業場外資源の教示を行うことしているので、その活用を促すこと。

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