中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

うつ病治療 初の指針

2012年08月21日 | 情報
日本うつ病学会が、うつ病治療の指針を発表しました。

朝日新聞7月27日朝刊より転載

うつ病治療 初の指針 安易な薬使用 自制促す

うつ病を適切に診断して治療につなげようと、日本うつ病学会は26日、医師向けの治療指針をまとめた。
うつ病の治療指針は初めてで、学会として勧める診断、治療法を示した。患者数が70万人と増え続ける中で、
治療法の目安を示すことで、問題になっている誤診や安易な薬物療法をなくすことをめざす。

「新型」は対象外に

うつ病は、社会的に広く知られるようになった影響や、長引く不況などで患者数が急増。
厚生労働省は、2008年に70万人を突破、約10年で3倍に増えたと推計している。
国内では、うつ病を含めた気分障害の薬物治療に限った指針(03年改訂)しかなく、うつ病の診断から
治療に役立ち、最新データを踏まえた指針が必要との声が出ていた。
指針では、軽症の場合、抗うつ剤を使った治療の有効性について、科学的根拠が不十分として
「安易な薬物療法は厳に慎まなければならない」と明記した。中等症・重症では、1種類の抗うつ薬を
十分な量と期間で使うことを基本として、合理的な理由なく、複数の抗うつ剤を使うべきではないとした。
治療薬ごとの特徴も説明した。
うつ病か診断する際に、患者に聞くべき情報の目安も示した。そううつ病や不安障害、発達障害などを
誤診しないよう、受診時の症状や睡眠の状態だけでなく、病気になる前の性格の傾向、職場や学校での状態を、
本人だけでなく家族らにも確認することが望ましいとした。学歴、職歴、婚姻歴の確認も有効とした。
また、最近、注目を集めている若者特有の「新型(現代型)うつ病」については、今回の指針の対象外とした。
出社はできないが、旅行や飲み会などの余暇活動は楽しめるという症状だが、指針は「マスコミ用語であり、
精神医学的に深く考察されたものではない」「医学的知見の明確な裏打ちはない」と記述。何らかのケアが
必要な場合もあるが、現時点で明確な分類、定義はできず、科学的に根拠のある治療法はないと判断した。

原文に当たりたい場合は、以下を参照してください。
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/0726.pdf

なお、個人的な感想ですが、「新型」は対象外にしましたが、
「科学的に根拠のある治療法はない」としたら、患者、家族、一般の精神科医、
並びに雇っている企業は、どのようにしたらよいのか困りますよね。
以下原文より引用
「専門家の間では、若年者の軽症抑うつ状態の研究が盛んに行われている。
この一側面を切り取った『現代型(新型)うつ』は、マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではなく、
治療のエビデンス(筆者注:証拠、根拠、証明、検証結果。たとえば医学においては、
その治療法が選択されることの科学的根拠、臨床的な裏づけをいう。)もないので、取り上げていない。」
コメント
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