中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

定期健康診断の結果

2012年08月01日 | 情報
前項で、定期健康診断について述べました。
しかし、法令通りに定期健康診断を実施さえすれば、それで終わりというわけにはいきません。
特に、事業者及び労働者は、健康診断結果の有所見率の改善に取組んでください。
具体的には、

①事業者は、定期健康診断の結果を、必ず労働者へ通知してください。

③定期健康診断実施後の措置として、有所見について医師から意見聴取し、
事業者は、労働者の作業の転換や、労働時間の短縮等の措置を講じてください。

②事業者は、労働者に対して、定期健康診断の結果に基づく保健指導として、
食生活等の指導や、健康管理に関する情報提供を十分に行うようにしてください。

授業員の、肉体と精神の健康があって、はじめて企業活動が成り立ちます。
戦国時代の武将、武田信玄が残したとされる有名な言葉、
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」。
今日的な表現に言い換えれば、「人は企業価値を生み出す資産である」。

(参考)定期健康診断における有所見率の改善に向けた取組について
通達平成22年3月25日基発0325第1号 (抜粋)

(2) 事業者及び労働者は、次の事項について取り組むよう努めること。

ア 定期健康診断の結果に基づく保健指導
(ア) 法第66条の7第1項の規定に基づく医師又は保健師による保健指導(以下単に「保健指導」という。)は、
これにより有所見者が、食生活の改善等に取り組むこと、医療機関で治療を受けることなどにより、
有所見の改善に資するものであることから、事業者の努力義務であることも踏まえ、
事業者は適切に実施するよう努めること。
したがって、保健指導は、再検査若しくは精密検査又は治療の勧奨にとどまらず、有所見の改善に向けて、
食生活等の指導、健康管理に関する情報提供を十分に行うこと。
(イ) 保健指導は、事業者が実施するだけでなく、これに基づき労働者が自ら健康の保持に
取り組まなければ予期した効果を期待できないことから、労働者は、法第66条の7第2項の規定に基づき、
定期健康診断の結果及び保健指導を利用して、その健康の保持に努めること。
  
イ 健康教育等
(ア) 法第69条第1項の規定に基づく健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため
必要な措置(以下「健康教育等」という。)は、これにより労働者が栄養改善、運動等に取り組むことにより、
有所見の改善に資するものであることから、事業者の努力義務であること等も踏まえ、
事業者は適切に実施するよう努めること。
なお、健康教育等は、有所見者のみならず、毎年検査値が悪化するなど有所見者となることが
懸念される者についても重点的に行うこと。
おって、健康教育等の実施においては、脳・心臓疾患関係の主な検査項目の有所見率がおおむね増加傾向にあることから、
当該有所見の改善に係る健康教育等を重点的に行うこと。
(イ) 健康教育等は、事業者が実施するだけでなく、これに基づき労働者自ら健康の保持増進に取り組まなければ
予期した効果を期待できないことから、労働者は、法第69条第2項の規定に基づき、事業者が講ずる措置を利用して、
その健康の保持増進に努めること。
  
ウ 留意事項
事業者は、保健指導及び健康教育等においては、個々の労働者の状況に応じて、労働者が取り組むべき
具体的な内容を示すとともに、その後の労働者の取組状況を把握し、必要に応じて指導を行うこと。
また、(1)イの際、事業者は、保健指導及び健康教育等において示された労働者自身が取り組むべき事項を
実施するよう労働者を指導すること。

労働安全衛生法第66条の5第2項の規定に基づく健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(抜粋)
(健康診断結果措置指針公示第6号 平成18年4月1日から適用する)

2の(3) 健康診断の結果についての医師等からの意見の聴取
事業者は、労働安全衛生法第66条の4の規定に基づき、健康診断の結果(当該健康診断の項目に
異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)について、医師等の意見を聴かなければならない。
イ 意見を聴く医師等
事業者は、産業医の選任義務のある事業場においては、産業医が労働者個人ごとの健康状態や作業内容、
作業環境についてより詳細に把握しうる立場にあることから、産業医から意見を聴くことが適当である。
なお、産業医の選任義務のない事業場においては、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を
有する医師等から意見を聴くことが適当であり、こうした医師が労働者の健康管理等に関する相談等に
応じる地域産業保健センター事業の活用を図ること等が適当である。
ロ 医師等に対する情報の提供
事業者は、適切に意見を聴くため、必要に応じ、意見を聴く医師等に対し、労働者に係る作業環境、
労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果等に
関する情報及び職場巡視の機会を提供し、また、健康診断の結果のみでは労働者の身体的又は精神的状態を
判断するための情報が十分でない場合は、労働者との面接の機会を提供することが適当である。
また、過去に実施された労働安全衛生法第66条の8及び第66条の9の規定に基づく医師による面接指導等の
結果に関する情報を提供することも考えられる。
また、二次健康診断の結果について医師等の意見を聴取するに当たっては、意見を聴く医師等に対し、
当該二次健康診断の前提となった一次健康診断の結果に関する情報を提供することが適当である。
ハ 意見の内容
事業者は、就業上の措置に関し、その必要性の有無、講ずべき措置の内容等に係る意見を医師等から聴く必要がある。
(イ) 就業区分及びその内容についての意見
当該労働者に係る就業区分及びその内容に関する医師等の判断を下記の区分(例)によって求めるものとする。

・「通常勤務」= 通常の勤務でよいもの

・「就業制限 」=勤務に制限を加える必要のあるもの
(就業上の措置の内容)
勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、
作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じる。

・「要休業 」=勤務を休む必要のあるもの
(就業上の措置の内容)
療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。

(ロ) 作業環境管理及び作業管理についての意見
健康診断の結果、作業環境管理及び作業管理を見直す必要がある場合には、作業環境測定の実施、
施設又は設備の設置又は整備、作業方法の改善その他の適切な措置の必要性について意見を求めるものとする。
ニ 意見の聴取の方法と時期
 事業者は、医師等に対し、労働安全衛生規則等に基づく健康診断の個人票の様式中医師等の意見欄に、
就業上の措置に関する意見を記入することを求めることとする。
なお、記載内容が不明確である場合等については、当該医師等に内容等の確認を求めておくことが適当である。
また、意見の聴取は、速やかに行うことが望ましく、特に自発的健診及び二次健康診断に係る意見の聴取は
できる限り迅速に行うことが適当である。

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