中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

産業医の判断は重い

2012年08月07日 | 情報
これまでは、主治医の診断書は「重い」としてきました。今回は、産業医の判断は「重い」です。
精神疾患を罹患した労働者(従業員)が、病状が回復して、復職申請した場合、
産業医の所見、判断が極めて重要なポイントになります。

企業の人事労務担当者や、産業保健スタッフのみなさんから、
「主治医の診断書は信用できない」という声を多く耳にします。
復職希望者から提出された、主治医の診断書には「復職可」とあるが、本当に復職して、
従前どおりの業務を遂行できるのだろうか、はなはだ疑問だ、という主張ですね。
経験が豊富な人事労務担当者や、産業保健スタッフのみなさんならば、当然にいだく疑問です。
ですから、ここで産業医の所見、判断が重要になってきます。

もし、産業医が主治医の診断書通りに、復職を認めたならば、当然に復職させなければならないからです。
主治医が復職可能、産業医も復職可能としているのですから、反論の余地はありません。
しかし、このような場合で、人事労務担当者が過去の経験から、復職希望者を復職させないとしても、
復職希望者が復職したいとして、裁判で争うことになったら、会社側は、間違いなく敗訴するでしょう。
従前どおりの業務を遂行できるのだろうか、という人事労務担当者の疑問はよく理解できますし、
事実、本当に従前どおりの業務を遂行できるか、というとほぼ出来ないと考えるのが自然でしょう。
なぜ従前どおりの業務を遂行できそうにもないのに、復職させなければならないのか?当然の疑問です。

次に、産業医が診断書を診て「やはり、復職は無理でしょう」と云った場合はどうでしょう。
人事労務担当者が産業医の意見に従って、単純に(重要)、復職希望者を復職させなければ、
上述した場合と同様に、会社側は、ほぼ敗訴することになるでしょう。
なぜなら、多くの産業医は、精神科専門医ではありません。
それなのに主治医の「復職可」の診断を否定するのですから、それなりの根拠が必要です。
産業医には、合理性、正当性のある正しい判断をしていただくことが重要です。

それでは、どうすればよいのか。
詳しくは、拙著『中小企業の「うつ病」対策』を参照してください。


企業の人事労務担当者の中には、産業医は、外部の人だから、出来るだけ「遠い関係」でいたいという、
考え方をもっている方がいらっしゃいます。
しかし、このような考え方では、大きな問題を引き起こす可能性があります。
たとえ、月1回1日の委嘱業務であっても、産業医の先生とは、日常的にコミュニケーションをとりながら、
会社の考え方や実態を理解いただかなければなりません。
会社にとっても、従業員にとっても納得できる、正しい判断をしていただくような産業医との関係づくりが必要です。
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