うつ病を克服するには、家族の支援を欠かすことができません。
その家族には、当然にペットの存在も含まれます。
なお、拙著『中小企業の「うつ病」対策』においても、その必要性・重要性を提起しています。
因みに、その効用を説いている類書は、今の処目にしていません。
毎日新聞 中部朝刊 2012年08月11日
女の気持ち:私の使命 愛知県半田市・匿名希望(主婦・46歳)
ある雑誌で著名人数人が「人生で一番幸せだった日」を語るという特集を見た時、
私は一瞬の迷いもなく「2005年6月4日」と心の中で答えていました。
うつ病を患い、その中途でさらに複雑なそううつ病であると診断され、通院すること10年。
2度の自殺未遂もあり、家族には苦労をかけてきました。
そんなさなか、夫が犬を飼おうと提案。気が進みませんでしたが、当時の家庭環境を思うと、
夫にも安らぎが必要なのだという申し訳ない気持ちも手伝って、同意しました。
そして、夫の望む甲斐(かい)犬を求めて、山梨へと向かい、犬舎で対面したのは生後3週間の子犬たち。
片手で持てるほど小さく、真っ黒で丸々とした姿は子熊そっくり。
その中の雌一頭を抱いた瞬間、かつてない感覚に襲われました。
心の奥底にあった氷の塊が溶けていくようで、手のひらから全身にじんわりと広がっていくぬくもりに、思わず泣きそうになったのです。
それが05年6月4日の出来事です。
あれから7年余り。犬の紗良(さら)を迎えた我が家は、すっかり変わりました。万事がうまく運んだわけではありません。
私はそううつの波に苦しみ、繰り返し自殺願望にとらわれましたが、その度にそっと寄り添って来る紗良の不安げな目を見て、
物言えぬ家族にまで心痛を負わせている罪の重さに気付き、何とか踏みとどまらねばと自戒するのです。
あの6月4日を忘れないこと、それが私の使命です。
注目される散歩の効果 一緒にいきいき健康ライフ 朝日新聞 2012年7月24日
ペットとして根強い人気の犬は、日本で推計1193万6千頭が飼われています(ペットフード協会)。
どんなことに気を付けると、人生のパートナーとして、より健康に一緒に過ごすことができるのでしょうか?
健康増進の効果が高いのではないかと、研究が進められている一つが「犬の散歩」。
1人で歩くよりもリラックスできるそうだ。酪農学園大学(北海道)などの研究グループが、
健康なお年寄りの男女13人(平均年齢67.5歳)に3日間、犬を連れて30分の散歩をしてもらい、
リラックスした状態を示す副交感神経の活性値などを測定した。1人で歩くより数値は倍近く上昇し、日を追うごとに増加した。
犬の散歩は、リラックスもできる一石二鳥の運動だ。
では、どのような散歩が効果的なのか。麻布大学の太田光明教授は「10分間で1千歩のペースで歩くと
運動効果が上がるという米国の報告がある。犬の集中力は45分ほどなのでそれ以内の時間で、朝夕に2回ほどがベスト」と話す。
「だらだら散歩」よりも「運動する」と意識することが大事。裏技は、犬の「おやつ」を携帯すること。
犬に集中力がなくなり、寄り道など気が散漫な散歩になると運動効果が下がる。犬の気が散っている時は、
進行方向におやつを置いて集中力を戻してあげよう。
ただ、どんな犬でもうまくいくわけではない。飼い主に忠実に従う「良好」な関係のあることが前提。
そのためには食事や散歩前に犬と目を合わせ、「座れ」といった指示に従うように飼い初めから毎日訓練することを太田教授は勧める。
「良好な関係」があれば犬とふれあうことによって、飼い主の側に「オキシトシン」というホルモンが出ることも注目されている。
これは、陣痛促進や母乳の分泌を促すホルモンで、母子など親しい関係の人が接する際に分泌される。
30分間、犬とふれあった後の飼い主の尿中のオキシトシン濃度を測定したところ、
ふれあい前より55人中13人でより活発に分泌されていた。この13人は、
事前アンケートで犬との関係を「良好」と評価された人たちだった。太田教授は「アイコンタクトなどで、
人が犬をいとおしく思うことでホルモンが分泌され、ストレスの軽減や癒やしなどにつながる」と分析する。
ただ、一緒に楽しく過ごせる時間はそう長くない。犬の平均寿命は13年程度。失う悲しみにも向き合わなければならない。
帝京科学大学の横山章光准教授は「ペットに過度に依存すると、亡くした際にペットロス状態に陥り、
罪悪感や抑うつ状態を強く起こすことがある」と話す。ペットロスを研究する臨床心理士の中川真美さんは
「普段から犬とは一定の距離感を保ち、他に信頼できる人など日常の支えを作っておいて欲しい」という。(森本未紀)
◆インフォメーション
犬が与えてくれる癒やしなどの健康効果については欧米で研究が進んでおり、
病院への通院回数の減少や血圧の低下といった効果が報告されている。日本でも、精神病やうつ病の人への効果などが期待されている。
ペットフード協会のホームページ(http://www.petfood.or.jp/)には、犬の飼育の効果やノウハウなどが紹介されている。
その家族には、当然にペットの存在も含まれます。
なお、拙著『中小企業の「うつ病」対策』においても、その必要性・重要性を提起しています。
因みに、その効用を説いている類書は、今の処目にしていません。
毎日新聞 中部朝刊 2012年08月11日
女の気持ち:私の使命 愛知県半田市・匿名希望(主婦・46歳)
ある雑誌で著名人数人が「人生で一番幸せだった日」を語るという特集を見た時、
私は一瞬の迷いもなく「2005年6月4日」と心の中で答えていました。
うつ病を患い、その中途でさらに複雑なそううつ病であると診断され、通院すること10年。
2度の自殺未遂もあり、家族には苦労をかけてきました。
そんなさなか、夫が犬を飼おうと提案。気が進みませんでしたが、当時の家庭環境を思うと、
夫にも安らぎが必要なのだという申し訳ない気持ちも手伝って、同意しました。
そして、夫の望む甲斐(かい)犬を求めて、山梨へと向かい、犬舎で対面したのは生後3週間の子犬たち。
片手で持てるほど小さく、真っ黒で丸々とした姿は子熊そっくり。
その中の雌一頭を抱いた瞬間、かつてない感覚に襲われました。
心の奥底にあった氷の塊が溶けていくようで、手のひらから全身にじんわりと広がっていくぬくもりに、思わず泣きそうになったのです。
それが05年6月4日の出来事です。
あれから7年余り。犬の紗良(さら)を迎えた我が家は、すっかり変わりました。万事がうまく運んだわけではありません。
私はそううつの波に苦しみ、繰り返し自殺願望にとらわれましたが、その度にそっと寄り添って来る紗良の不安げな目を見て、
物言えぬ家族にまで心痛を負わせている罪の重さに気付き、何とか踏みとどまらねばと自戒するのです。
あの6月4日を忘れないこと、それが私の使命です。
注目される散歩の効果 一緒にいきいき健康ライフ 朝日新聞 2012年7月24日
ペットとして根強い人気の犬は、日本で推計1193万6千頭が飼われています(ペットフード協会)。
どんなことに気を付けると、人生のパートナーとして、より健康に一緒に過ごすことができるのでしょうか?
健康増進の効果が高いのではないかと、研究が進められている一つが「犬の散歩」。
1人で歩くよりもリラックスできるそうだ。酪農学園大学(北海道)などの研究グループが、
健康なお年寄りの男女13人(平均年齢67.5歳)に3日間、犬を連れて30分の散歩をしてもらい、
リラックスした状態を示す副交感神経の活性値などを測定した。1人で歩くより数値は倍近く上昇し、日を追うごとに増加した。
犬の散歩は、リラックスもできる一石二鳥の運動だ。
では、どのような散歩が効果的なのか。麻布大学の太田光明教授は「10分間で1千歩のペースで歩くと
運動効果が上がるという米国の報告がある。犬の集中力は45分ほどなのでそれ以内の時間で、朝夕に2回ほどがベスト」と話す。
「だらだら散歩」よりも「運動する」と意識することが大事。裏技は、犬の「おやつ」を携帯すること。
犬に集中力がなくなり、寄り道など気が散漫な散歩になると運動効果が下がる。犬の気が散っている時は、
進行方向におやつを置いて集中力を戻してあげよう。
ただ、どんな犬でもうまくいくわけではない。飼い主に忠実に従う「良好」な関係のあることが前提。
そのためには食事や散歩前に犬と目を合わせ、「座れ」といった指示に従うように飼い初めから毎日訓練することを太田教授は勧める。
「良好な関係」があれば犬とふれあうことによって、飼い主の側に「オキシトシン」というホルモンが出ることも注目されている。
これは、陣痛促進や母乳の分泌を促すホルモンで、母子など親しい関係の人が接する際に分泌される。
30分間、犬とふれあった後の飼い主の尿中のオキシトシン濃度を測定したところ、
ふれあい前より55人中13人でより活発に分泌されていた。この13人は、
事前アンケートで犬との関係を「良好」と評価された人たちだった。太田教授は「アイコンタクトなどで、
人が犬をいとおしく思うことでホルモンが分泌され、ストレスの軽減や癒やしなどにつながる」と分析する。
ただ、一緒に楽しく過ごせる時間はそう長くない。犬の平均寿命は13年程度。失う悲しみにも向き合わなければならない。
帝京科学大学の横山章光准教授は「ペットに過度に依存すると、亡くした際にペットロス状態に陥り、
罪悪感や抑うつ状態を強く起こすことがある」と話す。ペットロスを研究する臨床心理士の中川真美さんは
「普段から犬とは一定の距離感を保ち、他に信頼できる人など日常の支えを作っておいて欲しい」という。(森本未紀)
◆インフォメーション
犬が与えてくれる癒やしなどの健康効果については欧米で研究が進んでおり、
病院への通院回数の減少や血圧の低下といった効果が報告されている。日本でも、精神病やうつ病の人への効果などが期待されている。
ペットフード協会のホームページ(http://www.petfood.or.jp/)には、犬の飼育の効果やノウハウなどが紹介されている。