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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

みずほフィナンシャルグループ第9期定時株主総会

2011年06月21日 | 経営・ビジネス
   東京フォーラムで開かれたみずほフィナンシャルグループの株主総会に、久しぶりに出た。
   いつも、総会集中日に開かれていたので行けなかったのだが、今年は、他のメガバンクよりも1週間早い開催なので、あの広い会場も、2階後方まで株主が入っていて、盛況(?)であった。
   今年は、大震災時のシステム障害問題に加えて、みずほ証券が、カネボウの評価価格に異常な安値を付けたとかで、定款変更の株主提案が提示されていて、その説明などもあった所為で、3時間19分とかなり長い総会になった。
   私は、どうにか、株主の最後の質問内容を聞いた段階で、会場を出たのだが、会社提案は承認され、株主提案は否定されたようである。
   当日、夕刻、みずほのホームページを開いたが、株主総会について一切記事はなかった。
   みずほの広報政策の在り方を疑わざるを得ない。

   私の今総会の第一印象だが、塚本隆史社長が、みずほ銀行社長&みずほFG会長として、創業的出直しとして不退転の決意でやり抜きたいことが3つあるとして提示したのが、
   1.システム障害
   2.ONE BANK
   3.顧客および株主との信頼関係の回復 と言った事後処理、後ろ向きの業務目標ばかりであったのだが、これに象徴されているように、
   本来企業があるべき姿としての使命や目的と言った大袈裟なことを言わなくても、とにかく、どのような戦略で経営を行って利益を追求して行くのか、企業としての前向きの姿勢などについては、「みずほの変革プログラム」と言った抽象的で意味不明の能書きばかりで、一切語らなかったことへの失望である。
   ビジネス戦略には、グローバル、グローバルと、何でもかんでも枕詞としてグローバルと言う形容詞が連呼されているのだが、国内のビジネスさえまともに実施できずに信用を失墜していて、どうして、激烈な競争場裏の世界へ打って出れると思うのであろうか。

   株主から激しい怒号さえ飛び交っていたのだが、今回の2度目のシステム障害などは、言語道断であろう。
   本来、まともに機能していて当たり前の筈のシステムが、あれだけ世間を騒がせたにも拘らず、再び障害を起こすなどと行ったことは、誇り高きみずほにとっては、屈辱中の屈辱であろうが、余程、経営の質が悪いか、ガバナンスの欠如であるとしか思えない。
   昔は、ATMシステムにしても、すべて、銀行の窓口で銀行員が行って来ていたのだが、ACTデジタル革命によって、アルビン・トフラーの言う「生産消費者」よろしく、すべて、顧客に代行させておきながら、厚顔にも手数料さえ取ると言う精神が間違っているのだが、
   尤も、このシステムなどは、銀行のトップ経営者には、水や空気と同様で、手足のように機能しておれば良しと言うことで、経営の重要問題だと言う認識さえなかったのであろうが、健康と同じで、一たび失えば、そのダメッジは致命的となる。

   ONE BANKと言葉で意図する経営の一本化などは、合併当初からの最も基本的かつ最も重要な戦略戦術である筈で、恐らく、あまりも当然過ぎて、ビジネス・スクールの教材にさえもならない程だと思うのだが、2000年9月の創業だから、10年以上も経ってから、寄り合い所帯のオリジナル3行の人事面などの抜本的改革で統一しようと言うことであろうが、それも、臆面もなく、株主総会で、あたかも、大改革のように経営戦略の目玉として世界に向かって発表すると言うのだから、経営者の神経を疑わざるを得ない。
   これまで、みずほグループの業績が思わしくなかったのも、2度にわたるシステム障害を惹起した問題も含めて多くの問題の大半は、一本化されなかった3行並立の経営にあったことは、疑いもない事実であろう。
   三菱のように殆ど吸収合併に近い形の合併なら問題は少ないだろうが、合併会社の経営の一本化は、必須中の必須である筈だが、多くの金融機関が殆ど瀕死状態に陥った金融危機やリーマンショック以降の世界的金融危機などで死地を彷徨っていたにも拘わらず、懲りずに、役員を均等に割り振った3行並立混交経営(?)から、本来なら単純なルーティン・ワークにしか過ぎない筈のシステム障害に至って、やっと、目覚めたと言うのだとしたら、寂しい。

   ところで、ONE BANK構想の柱として、みずほ証券をみずほコーポレートに、みずほインベスターズ証券をみずほ銀行に、そして、みずほ信託を直接、株式交換で完全子会社として吸収して、将来3行の統合を図ることとしているようだが、この戦略の是非については、経営如何にもよるのだが、問題点の多い経営戦略であり、疑問なしとしない。
   私などは、今でさえ組織が巨大過ぎて、知恵が総身に回りかねて経営に齟齬を来しがちなのに、統合すればする程、益々、動脈硬化を起こすのではないかと思っている。
   どうも目的は、意思決定の迅速性や戦略の機動性を高め、環境変化に対応できるグループ経営体制の構築や、総合金融サービスのフルライン機能をシームレスに提供するグループ連携体制の強化や、業務の集約やコスト削減などによるグループ経営効率の向上などを企図しているようだが、そのグループ体制、グループ体質、グループ意識、そして、総合システムが、今日のグローバルビジネスにマッチしたものなのかどうか、大いに疑問だと思っているのだがどうであろうか。
   ONE BANK構想が、経営の一本化と、組織の統合とを同一視しているとは思わないが、もし、そうなら深刻である。
   

   お客様第一主義と言う言葉を、あたかも金科玉条のように塚本社長は連呼していたが、最も大切なことは、今回のような後ろ向きの経営ばかりに注力するのではなく、グローバル企業としてまともに通用する価値ある経営を追及して、経営の質の向上によって顧客に報いることであることを忘れてはならない。

   ひとつ、気になったのは、株主が、システム障害についての金融庁の評価と経営の判断などの違いなどについて、監査報告との関連で監査への質問を行った時に、回答を監査役に振らずに、副社長に答えさせていたいたのは、問題ではないかと思っている。
   また、役員の報酬開示について、社外取締役主体の報酬委員会が公正に対応しているので問題ないと回答していたが、委員会制度を導入していないし、株主からお飾りの社外取締役は無用だと言う発言があったように、このような面でも、コーポレート・ガバナンスには、多くの問題があるように感じた。
   
   株価についての質問もあったが、経営が一向に改善せず、業績もパッとしない状態で、自己資本比率アップのために増資に増資を重ねて、今回も、また、授権資本枠の拡大を目論んだ定款変更を行うのであるから、上がる筈もなく、今日の終値は121円、PERが6・06、PBRが0.70だから、何をか況やである。
   間違って株を買ったと発言した厳しい株主がいたのだが、私など、興銀が最盛期の頃に買った株を売りそびれて持っているので、損失も甚だしいのだが、これも資本主義だから仕方がないのであろう。
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