熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

残念ながらあぜくら会退会

2024年02月27日 | 生活随想・趣味
   残念ながら、とうとう、日本芸術文化振興会の国立劇場のチケットセンターあぜくら会を退会することにした。
   先日、都響の定期会員券を放棄したのと同じ理由で、東京への行き帰りが不自由になってきたからである。
   毎年鑑賞していた2月の「式能」さえ諦めたので、決心がついたのである。

   2010年頃から、国立能楽堂に通って、能狂言鑑賞に馴染み始めて、事前予約の可能なあぜくら会に2012年から入会したので、ほぼ、12年間お世話になった。
   歌舞伎や文楽は、あぜくら会とは関係なく、1993年の帰国以降歌舞伎座や国立劇場や国立文楽劇場に通っていたのだが、それまで、無関心であった能狂言に入れ込み始めて、頻繁に国立能楽堂に行くようになったので、あぜくら会に入会したのである。
   それ以前に宝生能楽度などに行って能狂言を見た(?)記憶はあったのだが、食わず嫌いで避けていた能狂言に馴染めずして何の古典鑑賞かと、意を決して能楽堂に通い始めた。
   月4回くらい開かれる能楽堂主催の定期公演などを殆ど鑑賞し、他の特別公演などにも足繁く通ったので、少なくとも、2~300回は能楽堂に通って、分かってか分からずか、相当の曲を聴いて観たことになる。
   幸い、京都で学生生活を送り、古社寺行脚や歴史散歩に明け暮れて、平家物語や源氏物語などの古典の世界にドップリと浸かった生活に馴染んでいたので、能舞台の背景などその思い出を反芻しながら、能楽事典や解説書の助けを借りてバックグラウンドを補強して、二重にも三重にも楽しむことができた。

   そのお陰もあって、隣の国立演芸場にも通い始めて落語の面白さ奥深さも楽しむことが出来たのは幸いであった。
   秒単位のチケット争奪戦を制して聴いた小三治の国宝級の語り口が忘れられないし、歌丸の地味深いしみじみとした話芸の温かさにも感動した。

   少しでも良い席で鑑賞したいと思うのがファン心理、
   1日早く先行予約できるとしても、あぜくら会のチケット購入サイトは、開始時間の10時には、殆どアクセス不可能で悪戦苦闘、
   そんな話も、今は昔、懐かしい。
   そう言えば、ロイヤル・オペラも、ミラノスカラ座も、ボリショイオペラも、オペラ座の怪人も、・・・すべて、このパソコン1本で予約を取ってきた。悲喜こもごもであったのを思い出す。

   しかし、ロンドンに5年間住みながら、そして、会員権を持ちながら、一度もゴルフのクラブを握らずに、シェイクスピアやオペラやクラシック鑑賞に明け暮れていた私には、30年ほどの日本古典芸能鑑賞のうち、後期の10年くらいのあぜくら会でお世話になった古典芸能の舞台が、特に質の高い貴重な生活空間を与えてくれたと感謝している。
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