熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

NHK ACADEMIA  千玄室(裏千家前家元)を聴く

2023年12月23日 | 学問・文化・芸術
   大宗匠・千玄室の素晴しいNHKの講演を聴いた。観たと言うべきかも知れないが、私には聴いたと言うべき感激であった。
   60歳代の大学教授だと言ってもおかしくない、100歳とは信じられないような矍鑠とした頭脳明晰かつ理路整然とした語り口は驚異とも言うべきで、母親の胎内から濃茶を飲み続けていて、体内には緑色の血が流れているのだと言って、一腕の楽茶碗を握りしめながら、茶道の奥深い哲学思想から、世界平和への希いをネツっぽく1時間半にわたって語り続けた。

  千利休の四規 [和敬清寂]の掛軸をバックにして、茶道の精神や心得を語っていたが、まず、裏千家のHPによると、この「和敬清寂」とは、
 この4つの文字の中には、すべてのお茶の心がこめられているといわれています。
 「和」とは、お互いに心を開いて仲良くするということです。
 「敬」とは、尊敬の敬で、お互いに敬まいあうという意味です。
 「清」とは、清らかという意味ですが、目に見えるだけの清らかさではなく、心の中も清らかであるということです。
 「寂」とは、どんなときにも動じない心です。
 お茶を飲むとき、お点前をするとき、また、お客様になったとき、お招きしたときなどに、この「和敬清寂」ということばを思い出し、おけいこに励みましょう。

   冒頭、イグサの畳表の清潔さを語り、日本の伝統文化の貴重さから説き起こして、家族交流の場であった茶の間が消えた家を語り、情の国である筈の日本人が、分をわきまえずに忍耐や寛容を忘れ、頂きます、ごちそうさまと言う精神が薄れてしまって、口先だけのおもてなしになってしまったと、決して難しいことでも何でもないと、茶道の作法が、如何に日本文化に根ざした公序良俗、日本人の精神を教えているかを語った。

   地球温暖化で食べ物がなくなる心配がある。
   ウクライナやパレスチナなど悲惨な戦争が起こっているが、第二次世界大戦の悲惨さ凄惨さはこれらの比ではなく、特攻隊員として実際に経験した人間でないと分からない。平和が如何に大切か、
   茶道とは、あらゆる宗教をも超越した総合的な文化であると、一腕の茶碗に託して、世界平和と人類の安寧を願い続けて世界を行脚してきた熱烈な思いを語り続けた。

   メモを取れずにこのブログを書いたので、大宗匠の思いを伝え得たかは心許ないが、100年の貴重な茶道への限りない情熱と激しい平和への希いを肝に銘じたNHK ACADEMIA の講演であった。

   ところで、これは、私自身の悲しい反省だが、日本の歴史や文化などの頭でっかちの勉強はしてきてそれなりの知識はあるが、実際に、茶道や華道、謡曲や音曲などと言った日本文化の実際に全く触れず、習いもせずに過ごしてきてしまったことである。
   千利休がどうだとか、茶道の歴史的位置づけは、等といった歴史や文化的知識はあっても、悲しいかな、茶道を習ったこともなければお茶碗に触れたこともなかったので、
   友人の英国人夫妻を京都に招待したときに、参考になろうと思って軽い気持ちでお茶席のある場所に案内して、お茶が出された時に、どのように茶碗を受け渡しするのか、その作法が分からなくて、普通に恭しく頂いたものの、相客の手本にもならなくて、恥をかいてしまった。

   とにかく、コーヒー、コーヒーの毎日、
   一寸、昔、椿の絵柄が気に入って買った茶碗を引き出して、濃茶を飲んでみようと思っている。
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