熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

アニメ映画「メアリと魔女の花」

2017年08月14日 | 映画
   ジブリの雰囲気を濃厚に残した綺麗で感動的なアニメ映画「メアリと魔女の花」。
   「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を監督した米林宏昌のスタジオジブリ退社後の初めてのファンタジーアニメで、イギリス人作家メアリー・スチュアート作「The Little Broomstick」を基にして、魔女の花を見つけたことから魔法世界に引き込まれた11歳の少女メアリの冒険を描いたロマンあふれる物語である。

   メアリが、田舎の赤い館村に、引っ越してくるのだが、二匹の不思議な猫に誘われて、7年に1度しか咲かないと言う美しい花・房状のスズランの形をした光を放つ「夜間飛行」を森の中で見つける。この花は、魔女の国から盗み出された禁断の花で、これに触れて一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、空飛ぶ箒に導かれて、魔法の国に連れて行かれる。奇跡的にも、魔法王国最高学府のエンドア大学への入学を許され歓迎されるのだが、誤って、学長マダム・マンブルチュークに、花にゆかりのピーターの住所を教えたばかりに、ピーターは、魔法の国に拉致されて、多くの動物たちと同じように、変身実験されようとする。
   偶々、メアリは、王国で得た「魔法の神髄」と言う呪文集を持っているのを思い出して、これを使って魔法を体得して、ピーターや動物たちの救出に向かう。
   大叔母や赤毛の魔女との関りなど「魔法の花」の秘密が明かされ、途中、メアリが、魔法の力を失うなど、可愛いい少女の大活劇が繰り広げられて行くのだが、畳み掛けるようなスピード感あふれる心地よいテンポの、詩情豊かでスリリングな展開が非常に面白い。

   映画で描かれるのは、〈驚き〉と〈歓び〉、〈過ち〉と〈運命〉そして、〈小さな勇気〉だと言う。
   メアリが「魔法の花」ゆかりのピーターの住所を魔女に教えると言う過ちを犯したばかりにピーターを不幸に陥れたので、ピーターを救い出して一緒に故郷へ帰ろうと約束する。
   そして、その約束を守るために、「魔法の神髄」によって魔法の力を得たメアリが、ピーターを救うためにすべての魔法を終わらせるべく活躍するのだが、途中、一切の魔法が利かなくなり、動物たちの助けを借りてエンドア大学に乗り込み、自力で魔女たちに立ち向かおうとするのだが、幸運に恵まれるものの、この勇気と使命感の発露が、米林監督のメッセージなのであろう。

   箒の活躍は、「魔女の宅急便」を、メアリはアリエッティなどジブリの少女を、活劇や美しい風景や幻想的な物語展開などは、これまでのジブリのファンタジック・アニメのDNAをそのまま受け継いだ感じで、同じような感動の反芻を楽しめて、鑑賞後の余韻も、中々、清々しくて良い。
   魔法にかかって変身された動物たちが、魔法が解けて一斉に逃げ出す風景や糾合してメアリを助けて魔法の王国に突進するシーンなどは、ディズニー・アニメ張りで、高度な科学技術を駆使して変身実験を展開するドクター・ディの雰囲気はピクサーアニメのムードを彷彿させるのも興味深い。
   
   このアニメで重要なのは声優の活躍だが、夫々のキャラクターの声を、杉咲花がメアリ、神木隆之介が少年ピーター、天海祐希がエンドア大学の校長を、満島ひかりが赤毛の魔女、大竹しのぶがメアリの大叔母役、小日向文世がドクター・デイを演じていて、適役であり爽快さが格別である。

   何と言っても手書きの背景美術の美しさは秀逸で、半世紀以上も前に感動したディズニー・アニメの世界よりは、はるかに豊かで濃密であり、一幅の高級な風景画が、躍り出て、どんどん展開されて行くような贅沢さは、格別である。
   それに、SEKAI NO OWARI主題歌「RAIN」など、全編に流れる素晴らしいサウンドの魅力も、特記すべきであろう。

   この映画だが、少女やその家族の観客が大半であったが、私は、孫とではなく、家内と行った。
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